人口1万7000人の町からテクノロジーで世界展開を狙う、農業用収穫ロボット開発のAGRISTが資金調達

今回は「人口1万7000人の町からテクノロジーで世界展開を狙う、農業用収穫ロボット開発のAGRISTが資金調達」についてご紹介します。

関連ワード (日本(国・地域)、資金調達(用語)、農業 / アグリテック(用語)、食品(用語)等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


農業用自動収穫ロボットの開発を行う、宮崎県拠点のAGRISTは3月3日、第三者割当増資による資金調達を発表した。調達額は非公開。引受先は、ドーガン・ベータおよび宮崎太陽キャピタルがそれぞれ運営する投資事業組合、ENEOSイノベーションパートナーズ、宮銀ベンチャーキャピタル、ジャフコ グループおよびインキュベイトファンドがそれぞれ運営する投資事業組合。

同社は今後、ピーマンの生産地として知られる茨城県神栖市でピーマン自動収穫ロボットの実証実験を開始する。また埼玉県深谷市主催の「DEEP VALLEY Agritech Award」(ディープバレーアグリテックアワード)で最優秀賞を受賞しており、深谷市できゅうり自動収穫ロボット導入を予定。2021年春には関東にオフィスを開設し、2021年末までに合計25名のエンジニアを宮崎県と首都圏で採用予定としている。

代表取締役兼最高経営責任者の齋藤潤一氏によると、この人材募集について、外資系含め大手企業出身の方からの問い合わせもあるという。最大年収を2000万円としており、スタートアップだから給与が安い、地方企業だから安いということはなく、本気で世界を目指す人を採用したいと明かした。

AGRISTは、「テクノロジーで農業課題を解決する」をミッションに掲げるスタートアップ。齋藤氏は、2017年から宮崎県新富町の農家と勉強会を開催し、その中で現場の農家からロボットの必要性、DXの必要性に関する声を聞き続けてきたという。取締役・最高技術責任者の秦裕貴氏との出会いの後2019年に試作機を開発し、地域金融機関やベンチャーキャピタルなどから資金調達を実施した。

2020年には、国のスマート農業実証実験で6台のロボットを農研機構に販売したそうだ。また、国内のビジネスプランコンテストで8つの賞を受賞。2021年からは、宮崎県から全国に販路を拡大し、地方から世界の農業課題を解決するグローバルベンチャーへと成長し、同社ビジョンである「100年先も続く持続可能な農業」を実現するという。

齋藤氏は、「人口1万7000人の町から上場企業を生み出したい」「地方を元気にしたい」と考えており、また「テクノロジーこそが地域・地方という壁を越えてオールフラットで勝負できる強みになると証明したい」と明かした。

同社の農業用自動収穫ロボット「L」は、ビニールハウス内で自分の位置を把握しつつ、ワイヤーから吊り下がった状態で移動する方式を採用している(露地栽培は不可)。有線で電力を供給し、モーターにより駆動する。

地面にはレールなどを敷設する必要はなく、ワイヤーも一般的な農業資材の鋼線を利用しているという。この吊り下げ式については、世界展開を想定し国際特許(PCT国際特許)を出願しているそうだ。

また、カメラ画像からピーマンとサイズを認識し、画像データを蓄積しながら深層学習を行うようにしており、利用頻度と並行しロボットの能力が向上するという。ハウス内の現在位置を基にハウス各所の収量分布データ化も実施している。

収穫時には、アームにより野菜(ピーマン)を収穫。アームは上下・奥行き方向に伸縮、ピーマンの茎を巻き取りながら切断する。切り取ったピーマンは、本体のリザーブタンクで一時保管し、ある程度溜まったらコンテナに放出する。収穫を行うアームのハンド部分は2段切りという手法を採用しており、こちらも国際特許を出願している。

農業用自動収穫ロボットは、ハウス内の20%を8時間で収穫可能で、年間累計で一般的なパート以上の収穫を実現できるという。一般的なパートと比較した場合、時間あたりの収量は落ちるものの、夜間・休日も作業可能なため、年間累計収穫量はパート水準を上回るそうだ。またこの点については、24時間対応を目指しているという。

齋藤氏によると、他にも収穫ロボットはあるものの、同社ロボットは機能性や究極のシンプルさを追求しているという。

同社は、農家のハウスを実証実験の場として借り、その隣に開発拠点を設けて、農家の声を徹底的に聞くことにこだわり続けている。顧客である農家の課題解決を目指す「顧客ドリブン」により、道具のようなシンプルさにたどり着いたそうだ。

軽トラ奥が開発ラボという

最初から完璧さを目指すのではなく、プロトタイプを出して農家の反応を確認し改良を繰り返すという、いわば「アジャイル型のロボット開発」を行った。

またロボットのソフトウェア面も、オープンソースソフトウェアのROS(Robot Operating System)を採用することでソフトウェア構成のシンプルさを追及しているという。

さらに「agris」(アグリス)というOSの開発も進めており、将来的には、ロボットが収集した野菜のデータを集積・活用し、病害虫の早期発見サービスなどのビジネスも手がけ、データドリブンの企業として世界展開することを考えているとした。セールスフォースなどのCRMソリューションのアグリ版といったイメージだ。

そういったテクノロジーをフル活用することで、小さな町からでもアフリカやアジアなどへの進出も狙えると考え、事業を展開しているとしていた。

関連記事
・果菜類の植物工場および完全自動栽培の実現を目指すHarvestXが5000万円を調達
・米の銘柄判定をAI搭載スマホアプリで実現する「RiceTagプロジェクト」の実証実験が成功
・水田向けスマート農業サービス「paditch」開発・運営を手がける笑農和が1億円を調達
・個人農家向け栽培管理アプリ「アグリハブ」がJA全農「Z-GIS」向けサービス開始
・農業×AIにより独自の農産物栽培方法を確立し農家支援を行うHappy Qualityが資金調達
・産業用リモートセンシングのスカイマティクスが日本初のAI米粒等級解析アプリ「らいす」公開
・農業用土壌水分センサー・灌水制御・ビニールハウスソリューションのSenSproutが資金調達
・自動野菜収穫ロボのinahoが実証事業・補助金プロジェクト3種類に採択
・プロ農家の栽培技術を動画で継承するAGRI SMILEが4000万円調達、JA蒲郡市で導入へ

COMMENTS


8006:
2021-03-04 22:31

アレルギー用語集【コンタミネーション】食品を製造する際に、機械や器具からアレルゲンが意図せず混入すること

8005:
2021-03-04 21:52

食品業界、辛さの多様化……外出自粛のストレス解消(天地日報、韓国語) 4段階の辛さに分かれたプルムウォンのトッポッキ。「맵칼(맵고 칼칼하다)」が3段階で、「매운 화끈」が4段階。ここしば…

8002:
2021-03-04 19:33

マルチ用語 予防医学(よぼういがく) 健康食品をガンガン買って、ガンガン食うと健康になれるという呪術信仰のこと。 それでも病気になってしまうと「もっと買え、もっと食え」と言われ、それでも病気になってしまうと今度は「運動不足」だの「食生活が悪い」だの「生活習慣が悪い」と言われる。

8012:
2021-03-04 19:31

『「健康食品」のことがよくわかる本』(畝山智香子 日本評論社)がおもしろい。 「『免疫力』は医学用語ではありません」 「栄養に関しては、毎日がエイプリルフールである」

8009:
2021-03-04 16:57

【ゾロ・技1/2】ゾロの技名は、動物・食品・仏教用語などに由来する語呂合わせが多い。由来が公表されていない技も、由来が何であるかを推測しやすいような名称になっている。動物の名前が入っている技は、その動物をイメージさせる構えから繰り出されることが多い。

8003:
2021-03-04 13:06

納豆やしょっつるの臭さを食品用語では「不精臭」と呼ぶって書いてある…!!!不精者の臭さって言ってる…!!

8011:
2021-03-04 09:30

スーパー用語 日配・デイリー食品とは : スーパー夜物語 スーパーに並ぶ食品とか機械とか   火曜19:50

8010:
2021-03-04 08:18

そうか スーパー用語 日配・デイリー食品とは : スーパー夜物語 スーパーに並ぶ食品とか機械とか    火曜19:50

8001:
2021-03-04 07:06

マルチ用語 予防医学(よぼういがく) 健康食品をガンガン買って、ガンガン食うと健康になれるという呪術信仰のこと。 それでも病気になってしまうと「もっと買え、もっと食え」と言われ、それでも病気になってしまうと今度は「運動不足」だの「食生活が…

8008:
2021-03-04 06:59

スーパー用語 日配・デイリー食品とは : スーパー夜物語 スーパーに並ぶ食品とか機械とか 水曜 5:43

8004:
2021-03-04 06:14

爽やかな感じは伝わりますw いりこだしとか、べっこう飴とか和の食品の香りにたとえる表現も見かけますけど、そのあたりも世界共通のテイスティング用語ではないし、何となく伝わる感じはするけど、どうなんだろうとか思ったりもします。

8007:
2021-03-04 02:14

そうそう スーパー用語 日配・デイリー食品とは : スーパー夜物語 スーパーに並ぶ食品とか機械とか 水曜 5:43

Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
NEC社長が通信イベント「MWC」で語った「C&Cが進化した未来」
IT関連
2022-03-12 19:57
マイクロソフト、Eclipse Foundationの「Jakarta EE」および「MicroProfile」ワーキンググループに参加表明。Javaへのコミットメントをさらに強める
Eclipse
2022-07-15 06:34
Future Acresがブドウ収穫を助ける自律農作物運搬ロボット「Carry」を発表し起ち上げ
ロボティクス
2021-02-25 05:58
携帯大手新プランのコスト構造分析へ 総務省、格安業者支援で緊急措置
IT関連
2021-01-27 22:42
Enjinとエイベックス・テクノロジーズがブロックチェーン事業に関するパートナーシップ契約締結
ブロックチェーン
2021-05-16 04:36
「巨人用 進撃の巨人」巨大コミック発売 縦1m・重さ13.7kg・15万円 ギネス目指す
くらテク
2021-03-05 15:20
Google、過去15分の検索履歴を削除する「過去15分を削除」をまずはiOSアプリで開始
アプリ・Web
2021-07-17 07:20
Airbnbが米大統領就任式週のワシントンD.C.における宿泊予約をすべてキャンセルに
ネットサービス
2021-01-15 08:26
CruiseとWaymoを追う中国の自律走行車企業AutoXがサンフランシスコでテスト開始へ
IT関連
2022-02-13 01:38
水力発電所の保守・点検業務にIoTやAIを活用–日立らが実証実験
IT関連
2022-03-25 22:05
スマホで次世代型決済と販促をハイブリッド化–東芝テックとデジタルガレージが実証実験
IT関連
2022-03-04 07:13
GoogleとNVIDIA、5G活用のクラウドAI導入支援ラボを共同開発
企業・業界動向
2021-06-29 11:17
第3回:Sales DX総点検–データドリブン型営業マネジメントのススメ
IT関連
2022-10-14 23:54
Facebook、東南アジアと北米を結ぶ海底ケーブルを構築する計画
IT関連
2021-03-30 00:17