ServiceNow、生成系AIに対する2つの戦略を発表–企業向けに特化したAIの構築

今回は「ServiceNow、生成系AIに対する2つの戦略を発表–企業向けに特化したAIの構築」についてご紹介します。

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 ServiceNowの年次イベント「Knowledge 23」が、米国時間5月16~18日にネバダ州ラスベガスで開催された。2日目の基調講演では、プレジデント 兼 最高執行責任者(COO)のChirantan CJ Desai氏が登壇した。同氏はServiceNowの注力領域として「ITオートメーション」「デジタルエクスペリエンス」「インテリジェンス」――の3つを挙げ、パートナー企業の事例を交えながら「Now Platform」の展開について紹介した。

 同氏は冒頭、同社が提供してきた製品のポートフォリオを提示し、「私たちはワークフローの自動化を行う会社だ。ワークプロセスをデジタル化し、皆さまが多くのタスクを自動化できるように支援するプラットフォームの会社である」と、改めて強調した。

 同社はこれまでITサービス管理(ITSM)やDevOps、構成管理データベース(CMDB)の自動化など、さまざまなITオートメーションに取り組み、顧客がアジャイルかつ、サービスを最大限に活用できるように取り組んできた。講演では、Now Platform上における工程でボトルネックを特定し、ワークフローにおける解決を自動で行うデモを行った。同氏は、「ITオートメーションにより、より高い価値と顧客体験をユーザーに提供できている」と話す。

 次にデジタルエクスペリエンスについて同氏は、「顧客や従業員の体験にもつながるものだ」と説き、チームの効率性を向上するとともに体験の改善が重要だという。

 ここでは「M&M’S」などの製菓を販売するMARSで、グローバルビジネスサービスを担当するAngela Mangiapane氏が登壇し、従業員の体験改善の施策を紹介した。

 Mangiapane氏は、各部署の経理業務や人事業務などのバックオフィス機能のデジタル化や効率化、高度化を推進している。同社ではこれまで、ITを駆使した業務の効率性を考えてきたという。一方、幅広い業務に対応したポータルが多数あり、例えば支払いにはどのポータルを使えば良いか分からないといった課題が従業員から挙がり、社内で調査をしてみると60%がストレスを感じているという結果が出た。

 そこで同氏はまず、従業員からの意見を聞き、問題を特定。そして従業員のために摩擦の少ない環境を作り出し、ケイパビリティーの構築やグローバルサービスにおける能力を向上させた。これを実現するには、Now Platformを通してテクノロジーやAIを駆使し、ヒューマンセントリックの体系を構築することが重要だと話した。

 3つ目の注力領域であるインテリジェンスでは、生成系AIに対するServiceNowの戦略を発表した。具体的には「汎用AI(General purpose)」と、各ユースケースに特化した大規模言語モデル(LLM)に基づく「用途特化AI(Domain-specific)」の2軸で進めるという。CJ Desai氏は「Now PlatformのワークフローではカスタマーサービスのエージェントやITエージェントなど、さまざまなエンドユーザーが生成系AIを活用できるようになるだろう。ServiceNowの未来やこれからの将来、そして生成AIとの未来は明るいと考えている」と、生成系AIに対する期待を述べた。

 汎用(はんよう)AIでは、Microsoftの「Azure」やOpenAIと連携する「Generative AI Controller」を発表。Now Platform上で汎用AIの機能を提供し、顧客のセルフサービスやインシデント対応などに生成AIを用いることで、体験や生産性の向上を図るとしている。

 用途特化AIでは、企業向けに特化した生成系AIの実用化に向けてNVIDIAとの協業を発表した。ServiceNowでは、NVIDIAのソフトウェアやサービス、インフラを利用し、Now Platform専用のデータでトレーニングしたLLMの開発を進めている。これにより、IT部門や従業員、開発者など、企業全体で生成AIの新たな用途に対応し、ワークフローの自動化の強化や生産性を向上させることで同プラットフォームのAI機能を拡張しているという。

 NVIDIAのモデル生成プラットフォームと連携することで、生成系AIによる課題の自動解決や顧客事例の要約、「ServiceNow Assist」を利用したチャット形式でのアプリケーション開発など、さまざまな活用事例を提案できるという。

 講演に登壇したNVIDIAの創業者 兼 最高経営責任者(CEO)であるJensen Huang氏は、「どのようにServiceNowと協業すれば、顧客に対して生成系AIを提供できるか」という質問に対して、「社内では業界や専門分野に応じたAIを作ってきた。それによってインテリジェンスとしてスキルの向上につながり、自社で作られたドメインの情報や専門性がある。このようなことをAIにしてほしいと考えている」と話す。

 続けて「そのためには、例えばAIがチップのアーキテクチャーを設計するなど、人間ができない方法でAIが担当することで全体的なデザインスペースを担当できる。そこからエンジニアとコラボレーションすることで、人間が可能性を広げられると思う」と生成系AIの展望について述べ、「企業向けに特化した生成系AIを構築する私たちの協業は、Now Platformを利用する人々の能力と生産性を向上させるだろう」と協業に対する期待を口にした。

(取材協力:ServiceNow Japan)

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