世界的にサブスクリプションモデルに購買の方向性がシフト–ピュア・ストレージ
今回は「世界的にサブスクリプションモデルに購買の方向性がシフト–ピュア・ストレージ」についてご紹介します。
関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ピュア・ストレージ・ジャパンは3月16日、決算報告を含むビジネス状況の最新状況と製品のアップデートについて報道機関向けにオンライン説明会を開催した。
まずビジネス状況を説明した代表取締役社長の田中良幸氏は、2021会計年度(FY21)第4四半期(2020年11月~2021年1月)のハイライトとして「サブスクリプションサービスが顕著な伸びを示し、既存と新規も含めて対前年比32%の成長となった」と紹介。「世界的にサブスクリプションモデルへと購買の方向性がシフトしてきている」との見解を明かした。
なお、同社では大口の案件も増加しているとのことで、1000万ドルを超える取引を8件記録したとのことだが、このうちの1件は同社のサブスクリプションサービスである「Pure as-a-Service」の契約だといい、大規模案件でもサブスクリプションモデルが選択される例が出てきていることを示すものとなった。
同社FY21の期間は2020年2月~2021年1月であり、まさにコロナ禍の時期と重なっている。同氏はFY21を「パンデミックに見舞われて、チャレンジングな年だった」と振り返ったが、2020会計年度(FY20)との比較では2%の成長を記録、製品売上は微減という結果だが、前述の通りサブスクリプションが32%の成長を遂げて補った形になっている。コロナ禍にあっても対前年比でプラス成長ということで、堅調な成長が継続しているとみていいだろう。
また、同氏は最新情報として日本国内のエンタープライズストレージ市場の成長率(IDC調査)を紹介した。2020年第4四半期(10~12月)は市場全体がマイナス7.8%成長のところ、同社はプラス24.9%の成長を記録。2020年通年でも、市場全体はマイナス5.4%のところ、同社プラス13.3%と「たいへん目覚ましい成長を遂げることができた」(田中氏)という。同氏は「コロナ禍が続く現状を踏まえ、従業員やパートナー、お客さまの安全を確保しつつ、多岐にわたるサービスを提供していく」とした。
続いて、同社の主力ストレージ製品「FlashArray」と「FlashBlade」に搭載するストレージOS「Purity」のアップグレードに関する説明が行われた。最新版は「Purity 3.2 for FlashBlade」(Purity//FB)と「Purity 6.1 for FlashArray」(Purity//FA)となる。
FlashBladeのアップデート詳細を説明したエマージング・テクノロジー・ソリューション・セールス データ・アーキテクトの城野英彦氏は、FlashBladeを「UFFO(Unified Fast File and Object:統合型高速ファイル/オブジェクト)プラットフォーム」と位置付け、「非構造化データのモダンデータエクスペリエンスを大規模に提供する」ものだとした。
同氏は「2025年には生成されるデータの80%はファイルかオブジェクトデータになると予測されている」と紹介し、ファイルストレージとオブジェクトストレージを統合したFlashBladeがこうしたニーズに応えるものだとした上で、FlashBladeの特徴として「ファイルプロトコル(NFS/SMB)もオブジェクトプロトコル(Amazon S3)もネイティブサポート」「大規模に分散された独自のキーバリューストア上にファイル/オブジェクトを展開」などのポイントを挙げた。
また、Purity//FB 3.2の強化点としては、SMBのパフォーマンス向上やオブジェクトストレージの機能強化のほか、VMware環境でシンプロビジョニングを実現するためのスパースファイル(Sparse File)のサポ-トが追加された。なお、Purity//FB 3.2は「今後数ヶ月以内にリリースされる予定」(城野氏)という
次に、プリンシパル・システムズ・エンジニアの岩本知博氏がFlashArrayのアップデートについて説明した。同氏が機能強化ポイントとしてまず挙げたのは「GB(ギガバイト)単価が安く、HDD市場にアプローチできるオールフラッシュであるFlashArray//CシリーズでPACS(Picture Archiving and Communication Systems:医療用画像管理システム)に挑戦できるようにした」点を挙げた。
かつてはオールフラッシュのブロックストレージ製品だったFlashArrayでもファイルプロトコルのサポートが追加されてユニファイドストレージとなっているが、CシリーズでもSMBの強化などにより、SMBでのアクセスが多いPACS製品への対応が強化されたという。また、今回からCシリーズは第3世代になり、モデル名にもそれを明示的に示す“R3”の文字が追加された。エントリーモデルとして追加された「FlashArray//C40 R3」はより小容量、より安価で、GB単価重視の用途に対応する。
Purity//FA 6.1のその他のアップデートとしては、「従来EthernetのみだったActiveClusterの同期作業がFibreChanelでも実行可能になり、FC-SAN環境でも利用可能になった」「NVMe-oFサポートにもFibreChanelが追加(FC-NVMe)」がある。
また、FlashArrayとFlashBladeの両方に共通するアップデートして、ストレージ機能によるスナップショット/レプリケーションを実行した際に、データ保存を書き換え不可能な領域に対して行うことができるようになった。ストレージ管理者であっても書き換えや削除が不可能になるため、ランサムウェア対策として有効だという。
さらに、追加でPurity//FAとPurity//FBでは何が違うのかと言う点についても説明を聞いたので、ここで紹介しておきたい。
両者は基本的には“Purity”という同一の名称を与えられているが、同社の最初の製品としてずっと開発が継続されてきたFlashArray用のソフトウェアであるPurity//FAがベースで、後に製品ラインに追加されたFlashBlade用にカスタマイズされたものがPurity//FBという関係になる。両者は基本的に統一されたアーキテクチャを維持している。
同社のオールフラッシュストレージ製品は、半導体メーカーが用意するモジュールとしてのSSDは使用せず、NANDフラッシュチップをPurityから直接制御し、ガベージコレクションやセルの寿命管理なども全て独自に行う。また、フラッシュメモリーを管理するために必要なメタデータ管理の最適な方法なども同社が独自に開発しており、まさにPurityに投じられたソフトウェア技術が同社の競争力の源泉となっているわけだが、こうしたPurity OSの中核となるコードベースはPurity//FAとPurity//FBでほぼ共通だという。
一方、FlashBladeが目指しているのは超並列処理であり、分散型アーキテクチャーやキーバリューストアの活用など、FlashArrayとは明らかに異なる要素がある。そのため、Purity//FAをベースとしつつ、FlashBlade特有の機能を盛り込んだものがPurity//FBという関係になるという。また、Purity//FAでは「重複排除を極める」(岩本氏)という設計意図があったのに対して、Purity//FBは「非構造化データに最適化する」ことを目指したため、重複排除機能は実装されていないという違いもあるという。なお、暗号化やデータ圧縮については共通して実装されている。
UFFOというのは同社独自の用語のようだが、従来は「GB単価が極めて安価だが低速なクラウドストレージ」として発展してきたオブジェクトストレージを高速なスケールアウトNASに統合した形になっているFlashBladeは製品企画としてユニークな存在だが、それを実現するためのソフトウェアに関しても極めて高度な技術に基づいているといえるだろう。
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