ふくおかFGのみんなの銀行が事業発表–勘定系は国内初のパブリッククラウド採用

今回は「ふくおかFGのみんなの銀行が事業発表–勘定系は国内初のパブリッククラウド採用」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の「みんなの銀行」は1月14日、東京都内で事業方針を発表した。同行はアクセンチュアと共同で、日本で初めて勘定系システムをパブリッククラウドサービスのGoogle Cloud上に構築している。2020年12月に銀行免許を取得し、2021年1月4日にシステム稼働を開始した。5月下旬に事業を開始する。

 FFGは、2016年にデジタル技術を活用したサービス開発などを手掛けるiBankマーケティングを設立。2017年からデジタルベースの次世代銀行と位置付ける「みんなの銀行」の設立準備を進め、2019年5月にシステム開発を担当する「ゼロバンク・デザインファクトリー」、同8月に「みんなの銀行設立準備株式会社」をそれぞれ設立していた。

 アクセンチュアは、iBankマーケティングとの協業などを通じてFFGでの「みんなの銀行」の設立を支援、Google Cloudをベースにした次世代金融システム「アクセンチュア クラウドネイティブ ソリューション(通称:MAINRI)」を開発した。ゼロバンク・デザインファクトリーが「みんなの銀行」の勘定系システムとしてMAINRIを採用し、アクセンチュアと構築している。

 同日の記者会見でみんなの銀行 代表取締役頭取の横田浩二氏は、福岡銀行において2010~2020年に銀行の窓口来店客数が約4割減少した一方、同行のインターネットバンキング残高照会件数が約2.4倍に増加し、顧客の行動が大きく変容していると説明。また、非金融業の金融サービスへの参入が急速に進み、キャッシュレス決済など新たな顧客体験が拡大していることから、全く新しいモデルの銀行をゼロベースで生み出す必要があったという。

 「今後データやコネクティビティーが指数関数的に増大していく。競争相手を超えるUI、UX(ユーザーインターフェース、ユーザー体験)、サービスをアジャイル、DevSecOpsで常に改善し続けていく。デジタルネディティブな若い世代に顧客としてファンになってもらい、コミュニティーを広げていきたい」と横田氏は抱負を述べた。

 近年は、Fintechとして金融関連のさまざまな新サービスが普及しているが、横田氏は「約140年の銀行業としてのノウハウを元に、銀行免許を取得して銀行にしかできない預金を中心にしたサービスを展開する。預金口座はデータの宝庫であり、外部とも連携して与信などお金にまつわるさまざまな仕組みを実現したい」とする。

 こうしたことから伝統的にオンプレミスで構築される勘定系システムは、日本では初めてパブリッククラウドで構築され、全国銀行データ通信システム(全銀システム)とも日本で初めて接続された。同システムは、マイクロサービスとAPIをベースにしたアーキテクチャーを採用しており、ビジネスロジックや業務プロセスも自動化を前提に設計されているという。

 横田氏によれば、日本で前例のないシステム開発となったことから、「7ベンダーの提案の中から世界的な技術力を持つアクセンチュアをパートナーに選定した」という。FFG社内でiBankマーケティングを起業した取締役副頭取の永吉健一氏は、「アクセンチュアのソリューションはとても高いので、早く内製化のノウハウを獲得したい」と笑いを誘いつつ、「アクセンチュアと協力しなければなし得なかったこと。この仕組みを世界にも展開していきたい」と語った。

 みんなの銀行の事業では、「B2C(消費者向けサービス)」「B2B2X(異業種を含む法人エコシステム)」「バンキングシステム提供」を掲げる。B2C事業は、2010年以降に生まれたデジタルネディティブ世代あるいは2020年時点で38歳までのデジタルに素養のある世代を主要顧客に据え、モバイルアプリを通じて口座開設や入出金、振り込み、目的別預金サポート、収支管理、デビットカード、起業時や当座の資金にまつわる機能を提供する。

 永吉氏によれば、主要顧客層の人口は約4280万人で、アクセンチュアの調査ではそのうち83%がネットバンキングやオンライン決済といったデジタルベースの金融サービスに慣れ親しんでおり、同行の潜在顧客は約3500万人という。「全生産年齢人口に占める割合は現在33%ほどだが2030年には60%になる。その時に選ばれる存在となるべく今から取り組む」と話す。

 また、「みんなに価値あるつながりを。」を企業理念に掲げ、顧客ごとにパーソナライズしたサービスを提供しつつ、デジタルマーケティングを駆使して顧客ニーズに基づくサービス開発を強力に推進していくとした。現在の同行行員数は約100人だが、6割が金融以外の出身で、そのうち半数をITエンジニア、データサイエンティスト、マーケターが占める。顧客データを活用し、B2B2X事業を通じてさまざまな価値を創造、提供していくとした。

 バンキングシステム提供事業では、デジタルビジネス化を推進するほかの金融機関向けに、MAINRIをベースとする勘定系システムやその機能を販売する。

 永吉氏は、「FFGではiBankマーケティングが従来の銀行ビジネスのデジタル化やUI、UX開発に取り組んできたが、みんなの銀行はその先のデジタルネディティブを切り開く。銀行の新しい形を追求していく」と抱負を語った。


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