超小型衛星用推進機開発の東大発「Pale Blue」が研究開発型スタートアップ支援助成金NEDO STSで採択
今回は「超小型衛星用推進機開発の東大発「Pale Blue」が研究開発型スタートアップ支援助成金NEDO STSで採択」についてご紹介します。
関連ワード (NEDO(組織)、Pale Blue(企業)、日本(国・地域)、東京大学(用語)、資金調達(用語)等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Pale Blueは4月1日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した2020年度「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」(最大助成額:7000万円。NEDO STS事業)第3回公募において、助成対象として採択されたと発表した。2020年4月の設立後1年で累計調達額は約2億円となった。
これにより、宇宙産業を革新するメガコンステレーションの実現に必要な安全かつ安価な超小型衛星向け水統合エンジンの開発および実用化に挑む。
現在、技術革新によって超小型衛星の市場が拡大している一方で、現状の小型衛星のほとんどは推進機を搭載していないため、能動的に軌道や姿勢を維持して運用寿命を長引かせたり、軌道を離脱させたりすることができず、とりわけ、後者に起因する宇宙ゴミ(デブリ)増大は深刻な問題になっているという。
こうした課題は推進機の搭載により解決可能なものの、大型衛星搭載の推進機は体積・重量・コストの観点から小型衛星への適用が難しく、また高圧ガス・有毒物を推進剤として使うため、環境への配慮や持続可能性の点でも問題があるという。
Pale Blueはこの解決策として、水を推進剤とした小型推進機を開発。従来の高圧・有毒な推進剤から脱却し、低圧貯蔵可能、安全無毒で取り扱い性と入手性の良い水を推進剤として利用することで、前述の課題を解決し、圧倒的な小型化と低コスト化を実現するとしている。
小型衛星実用化のボトルネックとなっている小型推進機にイノベーションを起こすことで、小型衛星群によるビジネスや深宇宙探査を実現し、科学技術による人類の幸福の最大化や文明レベルの向上を目指す。
東京大学は長年にわたって宇宙推進機の研究を行ってきており、推進機内における複雑なプラズマ物理の解明や電気推進の性能評価に関して、世界をリードする研究機関のひとつという。Pale Blueメンバーは、東京大学在籍時から推進機の基礎研究に加えて、高周波電源や高電圧電源の小型化・高効率化に取り組み、成果を上げ、さらに実際の小型衛星に搭載する推進システムの開発を多数経験してきたという。同社は水統合推進システムの実現において、東京大学のエンジン基礎研究の成果を社会実装・実用化する役割を担い、その収益をアカデミアに還元することを目指すとしている。
関連記事
・水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達
・ゴミテック、道路点検AI、小型衛星エンジンなど、東大IPC起業支援プログラムが新たな支援先を発表