日立製作所、介護予防を支援する新事業–高齢者の「社会参加」を促進
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日立製作所は、日本老年学的評価研究機構(JAGES機構)との共同研究のもと、高齢者の社会参加行動を測定し、データに基づく介護リスクの予測や介護予防のための行動介入を支援する新たな事業を立ち上げた。
事業の中核ツールとして、高齢者の社会参加を促進するスマートフォンアプリ「社会参加のすゝめ」を春にリリースし、一般向けに無償公開する。これにより外出・行動状況の測定・可視化や、そのデータに基づいた健康アドバイス、JAGES機構の先行研究に基づくコンテンツ配信などを提供する。
事業化に先立ち、2020年に社会参加行動の測定と行動変容に関する実証実験を行った。スマートフォンをもつ約90人の高齢者にテスト用アプリをインストールしてもらい、4カ月間データを計測しつつ社会参加を促す情報提供を行ったところ、一定の割合で社会参加行動が活発化したことが確認できた。
日立は、高齢者の社会参加が活発であるほど要介護認定の割合が低いというJAGES機構の20年にわたる調査結果に着目し、医療ビッグデータから将来の入院発生リスクを予測する「Risk Simulator for Insurance」の開発などに取り組んできた。さらにこれらのノウハウを社会参加データに応用し、介護リスクや行動介入による介護予防効果をデジタルに評価・分析できる仕組みの検討を、JAGES機構と共同で進めている。
社会参加のすゝめは、スマートフォンの位置情報や歩数などのデータを用いて、疑似的に社会参加状態を計測できる。またアプリ内に設けたコラム機能から配信される、JAGES機構の優れた先行研究の論文を一般の高齢者にも分かりやすい内容に要約したコラムを読むことができる。
さらに高齢化社会を支える商品やサービスを開発する企業と連携することで、同アプリから得られるさまざまなデータから、任意の施策の介護予防効果を定量的に測定し、PDCAサイクルを回すことが可能となる。
日立では、同アプリを通じ、高齢者をターゲットとしたさまざまな事業者が支援事業に参画でき、高齢者がそれを享受できるといった仕組みづくりを目指していく。
新たなプラットフォームを通じて創出される新サービスとして、例えば保険会社とは、社会参加の状態が活発で介護リスクが低いと認められる場合に、保険料の割引や他サービスの特典を付与するなどの仕組みの開発が期待できる。また交通事業者や小売事業者などと連携し、高齢者の積極的な外出を推奨するイベントの開催や、自治体の介護予防施策の効果を社会参加の側面から定量的に測定するなど、さまざまな業界とのコラボレーションを図っていくことが期待できる。