創業30年を迎えたIIJの社長が発した感慨深い「普通のコメント」
今回は「創業30年を迎えたIIJの社長が発した感慨深い「普通のコメント」」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、IIJ 代表取締役社長の勝栄二郎氏と、パロアルトネットワークス チーフサイバーセキュリティストラテジストの染谷征良氏の発言を紹介する。
インターネットイニシアティブ(IIJ)は先頃、2021年度(2022年3月期)第3四半期累計(2021年4〜12月)の決算を発表した。勝氏の冒頭の発言はそのオンライン発表会見で、業績が好調に推移している背景の動きとして述べたものである。
今さら当たり前のように聞こえる発言だが、日本にインターネットを持ち込んだ立て役者である同社が1992年に創業して今年でちょうど30年。創業当初から知る筆者には、IIJならではの感慨深い一言に聞こえた。
2021年度第3四半期累計の連結業績の前年同期と比べた伸びは、表1に示すように、売上高が6.1%増、営業利益が60.9%増、当期利益が96.1%増と好調に推移した。コロナ禍を契機とした国内企業におけるIT利用の進展が継続するとともに、インターネット接続サービスやセキュリティサービスなど主にネットワークサービス群を中心に売り上げが伸長し、営業利益の増加をけん引したという。
こうした業績の好調ぶりについて、勝氏は「当社も注力しているデジタルトランスフォーメーション(DX)やIoTを推進する動きが活発になってきた」と話した上で、冒頭の発言を続けた。勝氏の思いを端的に代弁するならば、「いよいよインターネットが本当に社会基盤になってきた」といったところか。
会見には、創業者で代表取締役会長の鈴木幸一氏も登壇。鈴木氏に招かれて、財務省の事務次官を務めた勝氏が2013年にIIJ入りした時は、珍しいトップ人事だけに話題を呼んだ。その勝氏も社長在籍9年近くになり、最近では鈴木氏の功績とともにIIJの歴史について意識的に語る機会も多くなったようだ(写真1)。
そんな鈴木氏と勝氏に、重みのある「インターネット時代」という言葉が出たのを機に、会見の質疑応答で唐突なことを聞いてみた。質問は「メタバースをどう見ているか。IIJとしてどう取り組んでいくか」。今やバズワードとなっているデジタル仮想空間「メタバース」は、「インターネットが進化した姿」とも目されているからだ。
これに対し、勝氏は「メタバースの実験を先頃見る機会があり、たいへん興味深い分野だと感じた。ただ、今の時点でゲームなどに生かせるのは想像できるが、社会としてビジネスとしてどのように進展していくかはまだ分からない」。IIJとしては引き続き注視していきたいとのことだ。
鈴木氏は、「おもしろいとは思うが、具体的な話になるとまだ雲を掴むような印象がある」と短くコメント。同氏がメタバースについてどう見ているのか興味津々だったが、素っ気ない回答にむしろ書き残しておこうと思った次第である。