テラスカイ社長が語る「新事業を担うグループ会社をボコボコつくる理由」とは
今回は「テラスカイ社長が語る「新事業を担うグループ会社をボコボコつくる理由」とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏と、EY Japan コンサルティング エンタープライズリスク パートナーの川勝健司氏の発言を紹介する。
テラスカイは先頃、グループ連結子会社で企業の基幹システムをマルチクラウド対応で実現するBeeX(ビーエックス)が東証マザーズに2月に上場したのを機に、グループとしての成長戦略やBeeXの事業戦略についてオンラインで記者説明会を開いた。佐藤氏の冒頭の発言はその会見で、テラスカイグループとしての成長に向けた投資への変わらぬ意欲を示したものである。
テラスカイグループの特徴は図1に示すように、「Salesforce」「Amazon Web Services(AWS)」「Google Cloud Platform(GCP)」「Microsoft Azure」といった4つの代表的なパブリッククラウドサービスの利用をカバーする企業群であることだ。もともとはテラスカイがSalesforceを主体としたクラウドインテグレーターとして2006年に創業したことから、16年を経た今でもグループとして事業のおよそ7割がSalesforceベースだというが、一方で、それ以外の3つが合わせて3割まで伸びてきており、グループのビジネスとしては「一本足打法」から脱却しているといえる。
佐藤氏はグループのビジネスとして、「現在14社からなるテラスカイグループとして、お客さまのクラウドに関するご要望にワンストップでお応えできる体制を整えている」と胸を張った。さらに、4つの代表的なパブリッククラウドサービスの利用に加え、このほど上場したBeeXが提供する「SAP ERP」のクラウド移行や量子コンピューターの応用、そして最近ではIT人材の育成・派遣といったビジネスに向けても新会社を設立し、積極的に乗り出している。
佐藤氏はグループの成長戦略として、図2を示しながら次のように話した。
「クラウドインテグレーターとしてこれまでやってきた目利き力で、テクノロジーおよびビジネスの観点から今後伸びていきそうな分野や社会的意義のある分野に投資してきた。外から見れば、ボコボコと会社をつくっているようなイメージがあるかもしれないが、グループとしての伸びしろを広げていくためにも成長分野へは積極的に乗り出していきたいと考えている。したがって、これからも伸びそうな市場にはどんどん投資して新しい会社をつくっていくつもりだ」
テラスカイグループの売上高は2022年2月期で約132億円の見込み。前期比2割近い伸びで、ここ数年も「高成長が続いている」(佐藤氏)が、ビジネス規模からすると、まだベンチャー企業群の域を出ない。ただ、逆にベンチャー企業群ならではのスピード感で成長分野に向けて「増殖」を続けているというのが、筆者の印象でもある。既にクラウドインテグレーターとしての評価は確固たるものがあるだけに、グループとしてこれからどう進化していくか。注目していきたい。