マルチクラウド導入を推進した自動プロビジョニングツールの現状
今回は「マルチクラウド導入を推進した自動プロビジョニングツールの現状」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド、調査で読み解くマルチクラウド化の現状と課題等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
現在、世界のさまざまな業界、規模の企業がマルチクラウドの利用を進めています。本連載は、HashiCorpが実施した調査を結果まとめた、「クラウド戦略実態レポート(State of Cloud Strategy Survey)」から、企業のクラウド活用状況や今後の利用方針、課題点、クラウドの成功に関連する主要なテクノロジーなど、さまざまな洞察を解説していきます。最終となる今回は、マルチクラウドの導入を促した自動プロビジョニングツールを取り上げます。
今回の調査から、Infrastructure as Code(IaC)とプロビジョニングツールがマルチクラウドへの移行の強い推進力となっていることが明らかになりました。IaCとは、インフラの管理とプロビジョニングをコードにより行うもので、IaCが生成する設定ファイルを編集し配布することにより、常に同じ環境をプロビジョニングできるようになるツールです。
マルチクラウド時代は既に進展しており、IaCとプロビジョニングツールを中心に、大規模な導入が進んでいます。この傾向は地域、業界、クラウドへの投資規模に関係なく見られました。また、プロビジョニング、セキュリティ、アプリケーション導入、ネットワーキングといったクラウド導入の主なワークフローにおける具体的な課題も調査結果から明らかになっています。
今回の調査では、大半の企業や組織が「クラウドの課題を克服するためにインフラ自動化ツールが不可欠」と回答しています。特にプロビジョニングは最も人気の高いカテゴリーで、回答者の約90%が「自動プロビジョニングツールを既に利用している」、または「今後1年以内に利用を開始する予定」と回答し、「利用する予定がない」と回答したのは約3%でした。
また、自動プロビジョニングツールの利用とクラウドのコストに相関性があることも分かりました。クラウド予算が年間10万ドル未満の企業では、回答者の65%が自動プロビジョニングツールを既に利用していました。クラウド予算が年間200万ドル以上の企業では、この割合が79%に拡大しており、相関性があるのは当然のことかもしれません。
地域別で見ると、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の企業で自動プロビジョニングツールの利用が最も多いことが分かりました(78%)。これまでもEMEA地域は「少ない予算で多くの目的を達成」する傾向があり、大手企業とのソフトウェアライセンスにはあまり費用をかけずに、オープンソースソフトウェアを用いてプロセスやツールのギャップを解消しています。
実際にEMEA地域は、プロビジョニングツールに関して「オープンソースを基本に自社で運用する」と回答した人の割合が最も高くなりました(全世界:39%、EMEA地域:48%)。他方で、アジア太平洋地域は「プロビジョニングツールを利用する予定がない」と回答した人の割合が最も高くなりました。