AIOps、成否を分けるデータ品質の問題をいかに解消するか
今回は「AIOps、成否を分けるデータ品質の問題をいかに解消するか」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
人工知能(AI)を利用したIT運用「AIOps」は、窮地に立たされているIT部門が抱える問題を解決する処方箋になり得る。高度な自動化によって、無数にある定型のIT業務を処理することができれば、IT部門のスタッフは、デジタルトランスフォーメーションやソフトウェアのCI/CDの推進といった、もっと重要で有意義な仕事をするための余裕を作ることができるだろう。
しかし問題もある。AIOpsは、適切なタイミングで適切なデータを得られなければ成立しないが、そのようなデータの多くは、収集の準備が整っていないか、品質面での見直しを必要としているのだ。AIOpsは、システムログやさまざまな計測指標、過去のパフォーマンス、イベントデータ、ストリーミングのリアルタイム運用イベント、インシデント関連データ、チケットなどのデータを元に機能するが、これらのデータは情報が不十分だったり、情報サイロの中に隠されてしまっていたりすることが多い。要するに、データが十分な水準に達していなければ、AIOpsは失敗に終わるかもしれず、最悪の場合は技術的な判断を誤らせてしまう可能性さえあるということだ。
そこで登場するのが、この問題を解決するための新たな技術だ。Forbesの記事でShailesh Manjrekar氏が触れているこの技術は、「RDA(ロボティックデータオートメーション)」と呼ばれている。この技術は、業務プロセスやデータ処理のワークフロー、ユーザーの作業を自動化する「RPA(ロボティックプロセスオートメーション)」と似ているが、RDAはボットによるデータパイプラインの自動化に焦点を当てている点が異なる。
RDAによるAIOpsの支援をテーマとして最近開催されたウェブキャストでは、Enterprise Management Associates(EMA)のリサーチディレクターであるValerie O’Connell氏とCloudFabrixの最高製品責任者Bhaskar Krishnamsetty氏が、この新しいアプローチについて議論している。
RDAには、どんな形態のビジネスアプリケーションでもAIで利用されるデータの可用性と品質を向上させられる可能性があるが、O’Connell氏とKrishnamsetty氏の議論は、RDAがIT運用に与える影響に重点を置いたものだった。O’Connell氏が最初に紹介したEMAの最近の調査では、AIOpsで支援している自動化の形態を尋ねたところ(複数選択可)、もっとも多かった答えは「IT部門のワークフロー全体」(60%)で、次点は「ランブックまたはITプロセスの自動化」(48%)だった。また、回答者の43%は、AIOpsをアラートに基づくよりインテリジェントな通知に利用しようとしていた。
またO’Connell氏によれば、調査に回答したIT部門の責任者の多くはAIOpsで得られる成果には価値があると考えており、62%が価値が「高い」または「非常に高い」と評価していたという。AIOpsは、IT部門と事業部門の連携や、ITサービスやビジネスサービスの品質、エンドユーザー体験や顧客体験の向上にも役立つ。
ただし同氏は、AIOpsの導入は難易度が高いと述べている。「多くの人が導入は非常に困難だと感じていた。導入に恩恵やメリットがあることはほぼ確実だが、ほぼ例外なく複雑で難しい作業になる」と同氏は言う。主な課題には、データの正確性やデータへのアクセス可能性、IT部門内での対立、AIに対する不安感や不信感、必要なスキルを持つ人材の有無などがある。