Google Cloudとシンガポール金融庁、気候フィンテックで提携–サービス開発を支援
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シンガポールは、Google Cloudと共同で立ち上げた新しいイニシアチブを通して、気候フィンテック製品およびサービスの開発を推進することを目指している。このイニシアチブでは、100種類のソリューションを最終候補に選出し、それらをGoogle Cloudのオープンソースプラットフォームで開発およびテストする。
「Point Carbon Zero Programme」(ポイントカーボンゼロプログラム)と呼ばれるこのイニシアチブは、シンガポール金融管理庁(MAS)の「Project Greenprint」(プロジェクトグリーンプリント)の下で進められ、気候フィンテックサービスを最終候補に選出して、それらの企業が「正確かつ詳細な」気候関連データにアクセスできるように支援する。MASによると、これにより、環境に配慮した持続可能なプロジェクトへの資金配分の効率化が促されるという。
MASが現地時間7月26日の共同声明で述べたところによると、Googleはフィンテックソリューションの開発と採用をサポートするために、気候ファイナンスの開発促進のためのオープンソースクラウドプラットフォームを提供するという。
フィンテックは世界のスタートアップ投資の半分以上を占めるが、気候フィンテックは依然として初期のサブセグメントである、とMASは述べた。MASによると、新しいイニシアチブは、アジアで今後3年間にわたって予想されるそうしたソリューションの成長を促すことを目的としているという。
このプログラムでは、シンガポール国内で環境に配慮した持続可能なプロジェクトへの資金の流れを促進できるかどうかに基づいて、100種類のソリューションを最終候補に選出し、それらのソリューションの開発をさらに進めていく。MASによると、応募企業は気候ファイナンスのさまざまな問題に取り組む必要があるという。
選出された企業には、シンガポールにあるGoogleのオープンソースクラウドプラットフォームで自社のソリューションを展開する機会が与えられる。その後、その気候フィンテックソリューションは、1000の金融機関で構成されるコミュニティーによってテストされる。
MASによると、このプログラムでは、1万社の多国籍企業と中小規模企業が自社の持続可能性の目標を定めて追跡できるように支援することも目指すという。
さらに、新しいイニシアチブは選出された企業に対して、Googleからの指導および助言と資金のほか、Project Greenprintが気候開示や環境、公益事業に関して集めたデータへのアクセスも提供する。さまざまなセクターの200以上の公開データセットから取得され、Google Cloudでホストされるそのデータは、炭素排出量の測定に関する気候フィンテックソリューションの精度と、炭素排出量を削減する組織の取り組みの影響を改善するのに利用できる。
最終候補に選出された企業は、Google Cloudの「Carbon Sense」サービスにアクセスして、自社のクラウド使用状況に関連する二酸化炭素排出量を追跡することもできる。これらの新しいソリューションからキュレートされた新しい気候関連のデータセットは、データ所有者の同意を得た上で、Project Greenprintのパートナーに公開される。MASによると、これは、金融機関の持続可能な金融と投資の決定をサポートする高品質な持続可能性データの「高信頼かつ効率的な」流れを促進するという目標に沿ったものだという。
MASの最高持続可能性責任者のDarian McBain氏は、「シンガポールの金融およびフィンテックセクターは、長期的な持続可能性への影響に焦点を当てた持続可能なプロジェクトおよび企業に対する民間資本の効率的な配分において、極めて重要な役割を果たすことができる。テクノロジーを効果的に利用すれば、これらの資金の流れを促進するのに必要なESGデータの品質、可用性、および比較可能性を大幅に向上させ、低炭素経済への移行を加速させることが可能になる」と述べている。
Google Cloudのシンガポールおよびマレーシア担当カントリーディレクターのSherie Ng氏によると、ESGイニシアチブはほとんどのグローバル組織にとって優先事項となっているが、現時点で自社の取り組みを測定および最適化できている企業は10社中2社以下であるという。
Point Carbon Zero Programmeを通して、Googleは環境に配慮した金融データの流れを推進し、国家や組織がカーボンフリーの未来に向けて定量化可能な一歩を踏み出せるようにしたいと考えている、とNg氏は言い添えた。
シンガポールには、持続可能な開発を推進して、ネットゼロ排出の目標を可能な限り早く達成することを目指す10カ年ロードマップがある。シンガポールの「Green Plan 2030」では、年間35万世帯に電力を供給できるだけの太陽エネルギーを導入する計画や、埋め立て地に送られる廃棄物を30%削減する計画、少なくとも20%の学校をカーボンニュートラルにする計画など、さまざまな分野のさまざまな目標の概要が説明されている。
シンガポールは、高い資源効率を実証しない限り、国内での新たなデータセンターの建設を認めない、と2022年初頭に述べた。その発表の前にも、シンガポールはデータセンターの拡大を「持続可能なやり方」で管理する方法を検討する間、データセンターの建設を一時的に停止した。これは、気候変動に取り組む同国の方針とも一致していた。