オブザーバビリティーとセキュリティが注力領域–Elastic日本法人が2023年度の事業戦略

今回は「オブザーバビリティーとセキュリティが注力領域–Elastic日本法人が2023年度の事業戦略」についてご紹介します。

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 Elasticsearchは5月24日、2023会計年度の事業戦略説明会を開催した。オブザーバビリティー(可観測性)とセキュリティの各領域で活用を進め、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の次の一手として、ビジネス価値の最大化を支援していく姿勢を示した。

 米Elastic 最高経営責任者(CEO)のAsh Kulkarni氏はビデオメッセージで、グローバルビジネスの最新状況について説明した。同社の主力製品「Elastic Search Platform」は、セキュリティ、オブサーバビリティー、エンタープライズサーチなどの最新のニーズに対応し、バリューチェーン全体にまたがる検索ベースソリューションを提供する単一のデータ分析プラットフォームで、全世界で約1万8000のサブスクリプション顧客を抱えるという。

 同氏によると、現在、Elasticのセキュリティソリューションは全事業の25%以上を占めているという。「その成長を後押ししているのは、セキュリティが引き続き最高情報セキュリティ責任者(CISO)の重要な関心事であることだ。そして、組織のどこに脅威が潜んでいるか分からないため、企業が全てのデータの保持を求めている点にある。それを経済的に実現できるのがElasticの強みであり、競争優位性となっている」

 Elasticのオブザーバビリティーソリューションでは、顧客のビジネス基盤であるインフラストラクチャーに関するインサイトを提供する。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行をきっかけに企業がデジタル変革を遂げる中、急速にニーズが拡大してきた領域だという。

 「ログ解析は企業にとって特に重要だ。システムの可視性がなければ、潜在的な問題領域の特定やソフトウェアサプライチェーンの課題に対する迅速な対処、ミッションクリティカルなビジネスアプリケーションの常時稼働を確保することができない」とKulkarni氏は語る。オブザーバビリティーソリューションは事業全体の40%を占めており、アプリケーションパフォーマンス管理(APM)製品への引き合いによってさらなる成長を続けているとのこと。

 事業の35%を占めるエンタープライズサーチは、多くのユースケースで利用が進んでいるといい、世界の公共機関や大企業、電子商取引(EC)企業で大規模なデータレイクの検索インターフェースとして活用されているという。

 Kulkarni氏はまた、注力分野の一つとしてマネージドサービスの「Elastic Cloud」を挙げた。同社の差別化要因の一つは大規模なデータを摩擦なく取り込むことができる点にあるとし、Elastic Cloudは現在、1日当たり1.5ペタバイトのデータを取り込んでいるという。「これはハッブル宇宙望遠鏡が生成する140年分のデータに匹敵する」(同氏)

 Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google Cloudとの協業関係も強化している。Kulkarni氏は「ハイパースケーラーと一緒にビジネスを進めていくことで、顧客を支援することができる。データの量と重要性が増し続ける中で、Elastic Search Platformは顧客の成功に欠かせないものになると確信している」と語った。

 日本市場の事業戦略については、Elasticsearch 日本法人代表の山賀裕二氏が説明した。「日本で本格的に活動を開始して5年になる。計画を上回るペースで成長を続けており、デジタル化の急速な進展がビジネス成長の背景にある」

 また、多くの日本企業はデータをため込んでいる一方で、ビジネス価値に転換できていないと指摘する。SaaSやPaaS、オンプレミスの混在環境やマイクロサービス/コンテナーの利用拡大ばど分散システムアーキテクチャーによるデータ収集・可視化の難しさがその背景にあるといい、そうした課題解決のカギとなるのがオブザーバビリティーだと語った。

 セキュリティ領域では、横河電機での導入事例が紹介された。同社はDX戦略のため制御技術(OT)と情報技術(IT)の融合を前提とした、セキュリティの強化が重要課題となっていた。そのため、Elastic Cloudでグローバルのセキュリティ監視センター(SOC)基盤を自社で構築した。2020年には世界15カ所に分散する3万台のPC、重要なサーバー、侵入検知システム(IDS)、Azure/AWSのウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)などを監視対象とし、リアルタイムにデータの監視・分析を実施している。

 日本法人の注力領域について、山賀氏は、オブザーバビリティーとセキュリティ領域でのElasticの活用推進、Elactic Cloudの利用促進、パートナーエコシステムの拡充、Elasticコミュニティーの支援強化、日本法人の体制強化を挙げた。

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