サステナビリティーは経済成長のコントロールが必要ではないか
今回は「サステナビリティーは経済成長のコントロールが必要ではないか」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「サステナビリティー」をテーマにした企業の会見が相次いでいる。もちろん、企業にとって重要な取り組みだが、もっと根本的な問題について社会全体で考えるべきではないか。それは、サステナビリティーに向けて経済成長をコントロールする必要性だ。この問題は最近になっていろいろなところで論議されるようになってきており、筆者もこのタイミングで一言もの申しておきたい。
改めてサステナビリティーとは、環境、社会、経済など多岐にわたる持続可能性のことだ。企業にとっては、従来のように収益を追求するだけでなく、サステナビリティーに関わる取り組みを経営の中心に据えることが、社会的責任を果たし、企業のブランド価値向上にもつながるという考え方である。
サステナビリティーが注目される背景には、国連をはじめとした世界的な取り決めとして、SDGs(持続可能な開発目標)の達成が2030年まで、カーボンニュートラルの実現が2050年までとする期限があり、これに向けての取り組みを明示し積極的に活動を進める企業の評価が高まってきていることがある。そして、こうした企業の取り組みをデジタルトランスフォーメーション(DX)によって支援しようというITベンダーの動きも活発化している。
そうした中、日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)が7月21日にオンラインでメディア向けに開いた同社システム研究開発センターの研究成果発表会で、同センター所長でフェローの南悦郎氏が説明したDXとサステナビリティーの話が興味深い内容だったので紹介したい(写真1)。
南氏によると、まずDXとは「変化に強いビジネスやシステムへと変革するとともに、データドリブンな経営へと移行し、物理(時間・空間)や論理(組織)の壁をデジタルで超える」ことだと説明。そのDXが求められる背景として、さまざまな「不連続な変化」が起きていると指摘。不連続な変化とは、新型コロナやウクライナ情勢などの「社会の変化」、人工知能(AI)をはじめとした「技術の進化」、サステナビリティーに代表される「価値観の変化」を指すとした。
その上で、「こうしたさまざまな壁を超えて全体を見据えた最適性が求められている」と強調した。
特に、DXとサステナビリティーの関係については、まず「社会が持続できるようにビジネスを変革しなければならない」とし、「変化に対応できなければビジネスを持続できない」と指摘。したがって「変化に対応できるようにビジネスや企業のシステムを変革しなければならない」と訴えた。
その上で、「変化を察知し、将来を予測し、最適なプランを立て、対象をコントロールするためにデジタル技術を駆使することが肝要だ」と強調。「私たちの研究開発はこの考え方に基づいて活動を進めている」と南氏は説明した(表1)。