日立ソリューションズが北米スタートアップとの協業を強化する理由
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日立ソリューションズが北米スタートアップとの協業を一段と強化している。国内のシステムインテグレーション(SI)事業を推進する上で、競合他社との差別化を図る商材になるからだ。これら先端技術を駆使したスタートアップの商材の売り上げ(プロダクト販売とSIの合計)は、取り扱いを始めた2007年の2500万円から2021年は147億円に拡大している。スタートアップと販売契約を結んだ件数も累計64社(2022年7月時点)になり、今も46社と関係を続けている。同社が取り組む海外商材の発掘策を見てみよう。
経営戦略統括本部 グローバルビジネス推進本部 戦略アライアンス部 部長の市川博一氏によると、スマートライフソリューションなどの事業部からニーズを聞き取り、それにマッチした海外商材を見つけ出し、提案するために米国シリコンバレー(現地法人はHitachi Solutions America)に6人、戦略アライアンス部に4人をそれぞれ配置する。戦略アライアンス部は事業部とスタートアップをつなぐ仲介役でもある。「両者の文化が違うので、直接会話するのは難しい」(市川氏)からだ。
情報源は、同社が出資する北米のベンチャーキャピタル(VC)2社や日立製作所のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)、北米の展示会などのイベント、北米での影響力や情報力を持つ人たちなどからになる。収集する商材は、テクノロジーと業種、トレンドに分ける。テクノロジーはサイバーセキュリティやDevOps、ノーコード/ローコード、ブロックチェーン、人工知能(AI)、クラウドなど。業種はドローンや360度カメラなどを活用した建設現場の監視やプロジェクト管理、AIやIoT、ロボティクスなどによるサプライチェーンなどになる。注視するトレンドには、Web3/非代替性トークン(NFT)/メタバースや未来の働き方(キャリア、メンタルヘルスなど)、ESG(環境・社会・企業統制)をはじめとするサステナビリティー(持続可能性)などを挙げる。HRテックやフィンテックも注目する。
シリコンバレーの6人はこれらを分担し、事業部が求める商材を探す。一方、日本の戦略アライアンス部はスタートアップの調査から協業支援、市場トレンド、そして商材発掘のタスクフォース運営、情報発信などを担う。タスクフォースには、事業部や調達部門、営業統括、日立製作所など総勢40~50人が参加し、スタートアップとの連携や失敗事例などの情報を共有する。大手ITベンダーとは異なるスタートアップとの契約の可視化などもする。契約率を高めるために、年2回(4月と10月)、各事業部の事業の整理と関心事などを聞き出し、そこから商材地図を作り上げて、優先順位を付けて商材の発掘に取り掛かる。
発掘に当たるシリコンバレーの担当者は約3年ごとに交代するものの、半年から1年の長めの引継ぎ期間を設ける。加えて、スタートアップとの協業関係作りは15年になるものの、「紆余曲折あったが、一度も進出を止めようとなったことはない」(市川氏)という。その継続性がスタートアップらの信頼を勝ち得たということもあったのかもしれない。例えば、3年ほど前に販売契約を結んだConsenSysのWeb3周りの商材は最近になって、引き合いが出てきたという。