ハイブリッドワークやデジタル活用に注力–日本HPの2023年事業戦略

今回は「ハイブリッドワークやデジタル活用に注力–日本HPの2023年事業戦略」についてご紹介します。

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 日本HPは1月19日、2023年の事業戦略説明会を開催した。国内でも拡大が見込まれるハイブリッドワークに対応したソリューションの展開や印刷分野でのデジタル化などを推進する。

 説明を行った代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏は、冒頭で同社が注目する世界的な動向に、ハイブリッドワークやデジタルと物理世界の融合、サブスクリプションエコノミー、製造業のデジタル化を挙げた。脱コロナ禍に向けてリモートワーク主体からオフィス勤務を再開させる企業が増える中、自宅やシェアオフィス、自社オフィスなど就業場所を柔軟に組み合わせるハイブリッドワークが今後の主流になるとする。同社の主力事業の1つの商業印刷分野でもデジタル技術の採用が進み、同社製3Dプリンターを用いた製造業などでの造形は1億7000万個に増加したという。

 2022年度の業績は、売上高が約630億ドル、利益は約54億8000万ドルとなり、コロナ禍に拡大したリモートワーク向けPC需要の反動などの影響があったものの、「通期では安定した結果を出せた」(岡戸氏)とする。特に成長分野と位置付ける周辺機器、ワークフォースソリューション、産業用グラフィックス、3Dプリンティングなどは事業規模が110億ドルで2桁成長を遂げているとした。

 2021年11月に就任した岡戸氏は、2022年を同社の「第2創業期の成長の基礎固め」として、戦略事業の成長、ダイバーシティー&インクルージョン(D&I)、サステナビリティー(持続可能性)に取り組み、本社オフィスを東京江東区から港区に移転した。戦略事業では、ハイブリッドワークに対応するセキュリティサービス「HP Wolf Security」や、コラボレーションベンダーのPoly(旧Plantronics)の統合および展開などに注力。D&Iでは、管理職に占める女性の割合が10.6%(2025年目標で12%)に、男性の育児休暇取得率が60%(同100%)と伸長している。サステナビリティーでは、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマとする高校への出張授業の実施や、視覚障害などを抱える子供向け音声電子図書の製作支援など取り組んできた。

 2023年からは「Future Ready」と呼ぶ3カ年の中期計画を推進する。コロナ禍後の安定した経営を確立すべく、成長領域を中心とした製品・サービスポートフォリオを展開する「Future Ready Portfolio」、事業オペレーションを最適化していく「Future Ready Operations」、多様な人材の活躍とそのための育成を図る「Future Ready People」の3つを柱とし、岡戸氏は「環境変化が目まぐるしく先行きの不透明さが増す時代だからこそ基本に立ち返り、グローバル企業ならでは多様性と『東京生産』など日本の強みを生かした経営によって、うさぎ年にふさわしい飛躍を目指したい」と抱負を語った。

 主な事業戦略は、法人PCなどのクライアントビジネスではハイブリッドワークにおけるユーザーの生産性向上と安全性の両立をこれまで以上に高める施策を進める。PC搭載カメラの高画質化やノイズに強いクリアな会話ができる音声処理技術の活用、また、高品質なコラボレーション環境を提供するPolyの周辺機器やサービスに注力するほか、HP Wolf Securityおよび仮想デスクトップサービス「HP Anyware」、PCの資産管理や人工知能(AI)を用いた監視・特定・予防ができるクラウドサービス「HP Proactive Insight / HP Active Care」などに注力する。

 商業印刷領域では、印刷の受注から納品までのプロセスをデジタル化する「HP PrintOS Site Flow」の国内導入を推進する。既にトッパンインフォメディアがこれを活用してシール・ラベルのオンライン印刷販売サービスを提供しており、グローバルでは45カ国で数百社導入済みという。また、保守サービスに拡張現実(XR)技術を用いた「HP xRServices」も導入し、HPのサービスセンターと現場の保守担当者をリアルタイムに接続して修理作業などの効率化を実現しているとした。

 3Dプリンティングでは、製造業を中心に利用拡大が続く3Dプリンターで、新モデル「HP Jet Fusion 5240W」を発表。白色に対応しており、これまで以上に多彩な色を表現できるようにしている。同社製3Dプリンターによる造形アイテムは、2022年11月に累計1億7000万個を達成した。これに4年を要したとのことだが、直近1年では7000万個増加しており、「半日で400個を造形できる(矯正アライナー用歯形モデルの場合)Jet Fusion 5200シリーズへの引き合いが増えている」(3Dプリティング本部 コマーシャルアカウントマネージャーの宮内大策氏)という。

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