海洋プラスチックをBluetoothスピーカーに–環境配慮と雇用創出の両立を図る事業

今回は「海洋プラスチックをBluetoothスピーカーに–環境配慮と雇用創出の両立を図る事業」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、テクノロジーとサステナブルな未来等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 良くも悪くも、プラスチックは現代の世界の重要な原材料になった。食品の包装から、コンピューターと周辺機器、現代建築の建材まで、生活のさまざまな場面でプラスチックが使用されている。

 国際自然保護連合(IUCN)によると、年間3億トンのプラスチックが生産されているという。残念なことに、そのうち少なくとも1400万トンが毎年最終的に海洋に流出している。というのも、プラスチックが何らかの理由で環境に優しくない方法で処理され、廃棄されているからだ。

 世界の一部の地域では、プラスチックをリサイクルする選択肢がある。しかし、多様なスキームが利用できる場所でも、特定の種類のプラスチックはリサイクルが困難な場合があり、さらに悪いケースでは、人々がわざわざリサイクルしようとしない。

 その結果、大量のプラスチックが埋め立て地に捨てられるか、大都市の下水道や排水システムを通って図らずも海岸線にたどり着くことになる。海洋に直接不法投棄されるプラスチックもある。

 この廃棄物は複数の点で環境に悪い。海洋生物がプラスチックごみを食べたり、プラスチックごみのせいで身動きがとれなくなったりすることで、けがをする場合や死ぬ場合がある。分解されたプラスチックは微細なマイクロプラスチックやナノプラスチックになり、海洋生物によって摂取され、それを人間が食べて、最終的に人間の体内にも入り、人間の健康を脅かすおそれがある。

 プラスチック汚染は景観も損ねる。ペットボトルが散乱するビーチは美しくなく、観光業の妨げとなるだろう。これは特に開発途上国において、観光業に依存する経済を危険にさらすことになりかねない。

 このような環境面での検討事項こそが、英国の電子機器設計企業Boompodsが取り組みを進める理由だ。スピーカー、ヘッドホン、イヤホン、モバイルバッテリー、充電ケーブルなどの周辺機器を製造するBoompodsは、リサイクルされた海洋プラスチックを使用して、日常的に使用されるデバイスを構築するとともに、プラスチック汚染との戦いにも貢献しようとしている。

 Boompodsの創設者であるDavid Tansley氏によると、同社が再生海洋プラスチックの使用へと舵を切っている理由の1つは、Tansley氏自身が目の当たりにしたプラスチック汚染の量だという。

 「私はビーチの近くに住んでいるが、ビーチでプラスチックを見ると、いつも嫌な気分になる。ギリシャで休暇を過ごしたとき、ビーチの大量のプラスチックに愕然とした」とTansley氏は説明する。

 「われわれは海洋生物に関する問題が何かを認識している。また、その食物が最終的に私たちのフードシステムに入ることを理解しており、その点にもかなりゾッとする」

 こうした懸念があったため、Tansley氏とBoompodsはスイスの企業Tideと協業することにした。Tideは海洋プラスチックを収集して再利用し、持続可能な製品の原材料を生産する企業だ。

 海岸線や海洋から集められたプラスチックは、電子機器や自動車部品など、多種多様な製品の製造に使用される顆粒に加工される。

 Tideはこれまでに3000万本以上のペットボトルを回収し、さまざまなものに再利用した。同社の製品にバージンプラスチックは含まれていない。リサイクルプロセスのCO2排出量は、バージンプラスチックを生産する場合に比べて最大80%少なくなる。

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