プライバシーやAIの側面を見失うことなかれ–Signal会長のウィッテカー氏
今回は「プライバシーやAIの側面を見失うことなかれ–Signal会長のウィッテカー氏」についてご紹介します。
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メッセンジャーアプリ「Signal」を開発するSignal Foundation プレジデントのMeredith Whittaker(メレディス・ウィッテカー)氏は、Googleやニューヨーク大学のAI Now Institute、米連邦取引委員会(FTC)の要職を歴任し、AIの倫理や政策、AIが必要とするデータや、プライバシーに対する懸念などについてさまざな提言を行ってきた。講演のために来日した同氏に、Signalの取り組みとプライバシーやAIを取り巻く現状について見解を聞いた。
–まずSignalの特徴について教えてください。
Signalはメッセージングアプリです。「LINE」や「WhatsApp」などのメッセンジャーと似ているところもありますが、Signalの特徴は、ユーザーの情報を収集することは一切なく、完全にプライバシーを保護している点です。Signalでは、エンドツーエンド(E2E)で強力な暗号化を採用しており、ユーザーのメッセージは、ユーザーとそれを伝えた相手にしか分かりません。Signalも政府機関などもユーザー同士がどのようなやりとりをしているのかは全く知り得ないのです。
そして、メッセージのコンテンツだけでなくメタデータも暗号化によって保護しています。ですから、Signalとして、ユーザーがどのような人物なのか、ユーザーのアドレス帳にどのような人が登録されているのか、グループチャットにどのような人々が参加しているのかなども知り得ません。このような形でユーザーに安全性とプライバシーの保護を提供しているメッセンジャーは、世界では他にありません。
また、Signalには研究調査のチームもあります。ここでは、他のメッセンジャーがセキュリティやプライバシーの保護をより強化していくために必要なものを研究しており、2013年に「Signalプロトコル」(旧称はTextSecureプロトコル)を発表しました。Signalプロトコルは、E2E暗号化のための手法であり、Signalプロトコルを用いてメッセージのコンテンツを保護します。このプロトコルによってメッセージングを取り巻く環境は大きく変わり、現在ではWhatsAppや「Facebook Messenger」などもSignalプロトコルを(アプリによっては部分的に)採用しています。
このようにわれわれは、Signalとそれ以外を含めたプライベートメッセージングの基盤を確立しました。Signalとしては、メッセージコンテンツのプライバシーとメタデータの双方を暗号化により引き続き保護していきます。