日立の2022年度決算は増収増益–LumadaとGlobalLogicが成長エンジンに

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 日立製作所が4月27日に発表した2022年度(2023年3月期)の連結業績は、Lumadaの好調ぶりを裏付ける内容となった。Lumada事業の売上収益は前年比42%増の1兆9600億円、Adjusted EBITAは59%増の2700億円、Adjusted EBITA率は約14%になった。売上収益で42%増、Adjusted EBITAで59%増という高い伸びは、急激な為替変動とGlobalLogicの連結がポジティブに影響しているのが理由だが、それを抜きにしても成長率の高さが際立つ。

 Lumadaの売上収益の内訳を見ると、GlobalLogicが直接的に影響する「デジタルエンジニアリング」は売上収益が同81%増の2150億円と高い伸びを見せるが、「マネージドサービス」が前年比29%増の6490億円、「コネクテッドプロダクト」が同62%増の6300億円、「システムインテグレーション」が同27%増の4660億円と、いずれも高い成長を見せている。

 業績を説明した執行役社長兼CEO(最高経営責任者)の小島啓二氏は、「Lumada事業がDX市場の拡大を追い風に成長しており、全体の売上収益と利益の成長をけん引している。Lumadaの顧客協創フレームワークにより多くのユースケースやソリューションを創出し、これらを再利用することで、日立全体の利益率向上につなげることができる」と語る。

 2022年度の日立の連結業績は、売上収益が前年比6.0%増の10兆8811億円、調整後営業利益は同1.3%増の7481億円、Adjusted EBITAが同3.4%増の8846億円、税引前利益が同2.3%減の8199億円、当期純利益が同11.3%増の6491億円だった。執行役副社長兼CFO(最高財務責任者)の河村芳彦氏は、「全ての項目で目標をクリアし、特にデジタルシステム&サービスは、為替影響やLumada事業の拡大で増収増益となった」とする。デジタルシステム&サービスは、Lumada事業の約45%を占める主力セクターだ。

 同社は、2021年度に12%だったLumadaのAdjusted EBITA率が2024年度に16%へ上昇すると見込んでいる。これに合わせて日立全体のAdjusted EBITA率を2021年度の9.9%から2024年度に12%にまで拡大させる計画だ。小島氏が言うように、Lumadaが日立全体の利益率向上をけん引する格好となる。

 「特に上流工程となるデジタルエンジニアリング、リカーリング率の高いマネージドサービスの拡大が利益向上に貢献する」(小島氏)。既にLumadaユースケースの登録数が1330件に達し、Lumadaソリューション登録数も202件に達している。

 小島氏は、「過去10年の大型買収で獲得した人材や、お客さまフットプリントを生かして、日立の多様なケーパビリティーを使った『One Hitachi』の取り組みを通じて、Lumada事業を拡大する」とし、「ここまでIT、OT(制御系システム領域)、プロダクトがそろっている企業はないと考えており、やればやるほど差別化になる。DXやGX(グリーントランスフォーメーション)に対するトータル商談が増加しているのはその表れ。各地域で優先度の高い課題をお客さまと一緒に解決することで、Lumadaを中核にした社会イノベーション事業をグローバルに成長させることができる」と成長戦略に手応えを示す。

 日立は、社会イノベーション事業を経営の軸に置き、それを「日立のIT、OT、プロダクトを活用して、顧客とともに社会課題を解決する事業」と定義している。小島氏は、「社会イノベーション事業を推進するための顧客協創フレームワークがLumadaであり、これをグローバルに展開する」と繰り返し強調した。

 そして、Lumadaの成長を支えたGlobalLogicも好調な実績を続けている。2022年度の売上収益は前年比84%増の2073億円、Adjusted EBITAは203億円増の452億円、Adjusted EBITA率で21.8%と高い収益性を維持した。スペインやメキシコに新たなデジタルエンジニアリングセンターを開設したことに加えて、ルーマニアやウルグアイのデジタルエンジニアリング企業の買収を完了するなど、グローバルにフットプリントを拡大したことを成長要因に挙げている。

 またGlobalLogicの存在は、日立グループ全体のデジタル人財の育成にも大きく貢献する。小島氏は、「デジタル人財の採用と育成にGlobalLogicのスキームを活用することで、順調に進んでいる」と語り、2021年度に6万7000人だったデジタル人財を、2024年度には9万7000人にまで拡大する。

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