生成AIを使い世界を変える新しいものを作りたい–ServiceNowのCTOが語る戦略

今回は「生成AIを使い世界を変える新しいものを作りたい–ServiceNowのCTOが語る戦略」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 SeviceNowは、米国時間5月16~18日に開催した年次イベント「Knowledge 23」の中で生成AIに対する戦略を発表した。ここでは、同社で最高技術責任者(CTO)兼 DevOpsのエグゼクティブバイスプレジデントを務めるPat Casey氏に、ServiceNowのAIに対する戦略や生成AIについて話を聞いた。

 同氏によると、同社の生成AIに対する展開としては「パブリックモデル」と「プライベートモデル」の2つがあるという。パブリックモデルでは、Microsoftの「Azure OpenAI Service」やOpenAIの「ChatGPT」との連携を活用する。これにより、「Now Platform」上で「ServiceNow Generative AI Controller」と「Now Assist for Search」の2つの機能を提供できるようになった。ServiceNow Generative AI Controllerでは、質問に対する回答やコンテンツの要約・生成などの生成AIの機能を既存のアプリケーションに適用できる。

 また、Now Assist for Searchでは、ポータル検索やバーチャルエージェントにユーザーが質問を投げかけると、顧客自身のナレッジベースに基づいた自然言語による回答が得られる。この2つの機能により、企業は生産性の向上やスマートな体験を推進しながらコストの削減につなげられるとしている。

 他方で、Casey氏は「生成AIに関して多くのユーザーがポジティブな印象を抱いているが、ナーバスに感じている人もいる。特に、生成AIをパブリックモデルで使いたくなかったり、他者がアクセスできる場所で使いたくなかったりという思いを持っている」と話す。そこで同社が考えるもう1つの戦略は、ServiceNow独自の生成AIだという。

 同社は2020年にカナダのAIスタートアップ企業であるElement AI(エレメントAI)を買収。カナダにAI Innovation Hubを設立し、AIにおけるイノベーションを加速している。ServiceNowではこれを基盤に、独自の生成AIを用いたコードの生成や要約を可能にするとしている。これにより、ユーザーは外部のデータセンターを通すことなく、ServiceNowのデータセンターの中だけで生成AIを利用できる。

 これまでユーザーからは、「AIをプラットフォームに取り入れることでさらに効率を上げたい」という声があったと同氏は話す。今では数多くの人がChatGPTを利用しており、生成AIを使うことで「どこに人間が労力を充てることができるか」といった優先順位付けをするようになってきているという。「実際にChatGPTを用いて、こういうことがしたいというビジョンに向かって使い方は広がっている。これは最近、急速に広まってきたことだが、ユーザーは生成AIがどれほど自分たちに有益なのかを見極めているところではないか」と述べる。

 ServiceNowとしては、十分な資金を費やして結果を出せるように取り組んでいると同氏。「生成AIを使うことで世界を変えるような、新しいものを作りたいと考えている」と、継続して生成AIに対して投資を行う姿勢を見せた。

 また、CTOの立場から見た今後の生成AIの市場について同氏は、「資金を用意できる企業であれば、当社のようにパブリックモデルとプライベートモデルという風に開発を進めると思う。しかし、小規模の会社であれば最初はプライベートモデルを作る資金がないと思う。だからこそ、資金のある会社が率先して開発をしていけば、小規模の会社も追いついてくるのではないか」という。

 さらに、生成AIを用いることで労働時間の短縮や職がなくなるなど、社会に及ぼす影響についても言及。「このようなことを考えると、各国の社会状況も考えなければならないと思う。日本は労働力不足が問題になっているので、生成AIは助けになるだろう」

 米国においては、歴史的にも効率性を追う文化であるため、生産性が良い方向へ移行していった。一方で、自動化が進んだことで工場や手仕事をしていた人が職を失ってしまった歴史を振り返り、その時々の社会経済性も考慮すべき部分だと指摘。「生成AIが介入することで、最終的には利益になるが、そこに行き着くまでには労働力に対する大きな影響など、何らかの変化が伴うと感じている。確実なのは、生成AIというのは良くも悪くも現状を破壊するものになるだろう」と語った。

 最後に、ServiceNow Japanが米本社直轄になったことを受けて、CTOとしてどのような支援をしていくかを尋ねた。

 「ServiceNowとしては、日本により独立性を持たせたいと考えている。だからこそ、(執行役員社長の)鈴木(正敏)氏にマーケティングの予算やセールスの戦略を任せている。というのも、日本市場はとても独特で、他の市場とは同じように取り扱えないと思っている。私自身、日本法人のエグゼクティブスポンサーという位置付けでもあるため、鈴木氏の成功を願っているし、支援という意味ではトレーニングや個人的なアドバイス、米国チームの従業員を送り込むこともできると思う。既に鈴木氏からはトレーニングのための人材を送ってほしい、エンジニアリングに対するサポートなどの要望を受けている。彼から要望があれば、それに応えてしっかりサポートをしていくつもりだ」と、日本市場に対する期待と徹底したサポートを行う体制を見せた。

(取材協力:ServiceNow Japan)

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