付加したのは“リアルの体験”–NTT Comが「AI顔診断」で挑む新領域
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NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、東京都渋谷区の複合施設「WITH HARAJUKU」において、AIを活用した化粧品の体験サービス「Smart Powder Room」を期間限定で提供し、ユーザーの購買意欲に与える影響などを検証した。提供期間は4月23日~5月1日。
Smart Powder Roomは、“顔のタイプ”を診断するサービス「WhoAI」でユーザーの顔を撮影・分析し、一人一人に合った化粧品やメーク方法を提案する。アドバイスを基にユーザーは、その場でメークを試すことができる。今回の検証では、使用した化粧品を気に入った場合、WITH HARAJUKU内の店舗「資生堂ビューティー・スクエア」で購入できるようにした。
WhoAIはNTTの事業モデル「B2B2X」において、EC事業などを展開する企業のマキシムが画像認識AIのAPIサービス「ドコモ画像認識プラットフォーム」を活用して開発した。B2B2Xは、NTTグループが事業者にITツールを提供し、エンドユーザーに価値をもたらす事業モデル。こうした取り組みによりNTTは、通信領域に依存しない事業運営を図っている。
同プロジェクトを担当したビジネスソリューション本部 第三ビジネスソリューション部 ビジネスデザイン部門 OPEN HUB for Smart World Catalyst/Business Producerの川島美由紀氏、ビジネスソリューション本部 ソリューションサービス部 ICTイノベーション部門 第三グループ担当課長の清水恭成氏に、Smart Powder Roomの反響や手応え、課題を聞いた。加えて記者も同サービスを体験し、使用感をレポートするとともに、ビジネスへの活用可能性を考察する。
Smart Powder Roomのアイデアは、川島氏が所属する第三ビジネスソリューション部の企画コンテストで挙がった。着想したのは、自動車関係の顧客を担当しており、化粧品業界とは関わりがなかった男性従業員。アイデアに共感した女性従業員も参画し、プロジェクトを進めていった。
Smart Powder Roomは4月23日~5月1日の提供期間中、210組・275人が利用し、同社が想定していた人数の約1.5倍だったという。同サービスでユーザーの顔を撮影・分析するが、クラウドには保存せずにローカルで処理することで、プライバシーの保護に配慮している。
ユーザーの年齢層は20~50代までと幅広く、メークに関心のある男性も複数人見られたという。「WhoAIは女性のデータのみを蓄積しており、現時点では男性の顔タイプを診断することはできないが、機能拡充の余地がある」と清水氏は述べる。
資生堂ビューティー・スクエアは今回、売上情報を開示していないが、サービス利用後に実施したアンケートでは、8割以上のユーザーが「Smart Powder Roomで使用した化粧品を継続的に利用したい」と回答したという。ユーザーの中には同店舗に直行し、試した商品を複数点購入した人もいたそうだ。そのほか、「似合うメークを気軽に知れてよかった」「メーク初心者なので、アイテムをどのように使えばよいか分からない」など、さまざまな声を収集できたという。
今回の取り組みの手応えと課題について、清水氏は「一定の需要を確認できた一方、今後はターゲットの絞り込みや価値提案を行う必要がある」と述べる。加えて今回は、ユーザー数の集計から衛生管理、盗難対策、アンケートやインタビューの実施までをNTT Comの従業員が現場に立って行ったため、運営における省人化・省力化も課題となっている。
現在はNTT Com本社にSmart Powder Roomを設置しており、従業員にも利用してもらうことを計画している。「当社の従業員数は多く、多様である。彼らの意見も聞きながら、サービスを改善していきたい」と川島氏は語る。