避難所での住民確認時間を数十秒に–防災のデジタル技術の今

今回は「避難所での住民確認時間を数十秒に–防災のデジタル技術の今」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 パナソニックコネクトは、防災DXソリューションの取り組みについて説明会を開催した。顔認証付きカードリーダーを活用した避難所ソリューションなどの提案を強化していることを示した。これはマイナンバーカードの普及などを背景に、医療機関などへの導入を促進しており、同社が得意とする顔認証技術を活用している点が特徴だ。

 パナソニックコネクト 現場ソリューションカンパニー パブリックサービス本部業界ソリューション総括部 自治体ソリューション部 シニアマネージャーの沼隆久氏は、「防災DXソリューションは、2013年度から大阪府のある自治体に納入しているのを皮切りに、全国30以上の自治体に納入している。政府は『防災・減災・国土強靭化のための5か年加速化対策』を2025年度まで進めており、この補助金を活用して自治体の負担を減らした導入が可能になる。防災DXソリューションの提案を強化していく」と語った。

 今後は、AIなどの新たな技術の活用によって、避難指示の判断を支援したり、過去のデータをもとにした危険度の判断を行ったりできるようになるという。

 2023年9月1日は、関東大震災の発生から100年目を迎える。防災意識が高まる中で、同社は防災DXソリューションの訴求に余念がない。まずは、パナソニックグループの防災ソリューションの取り組みについてみてみよう。

 同社のこの分野への取り組みは、1953年に旧浦和市(現さいたま市)に、防災行政無線の第一号機を納入したのが最初だ。これまでに全国600の自治体への納入および運用を行っており、防災行政無線ではトップシェアを獲得しているという。

 沼氏は、「約70年に渡る技術と信頼、防災に対する知見を生かしたプロダクトとソリューションで、全国の自治体の安心、安全な街づくりに貢献している」とし、「かつてのアナログ防災無線は音声で伝えるだけだったが、デジタル防災無線への進化とともに、防災無線放送だけにとどまらず、SNSやアプリ、各種システムと連携させてより多くの方法で情報を伝えるIT化、スマート化が進展している。災害現場の課題をトータルで解決する防災ソリューションに進化させている」と述べた。

 沼氏は、同社が全国63拠点に約1600人のサービススタッフを配置し、迅速に対応できる体制も整えている点も強みの一つに挙げる。

 2011年3月の東日本大震災では、地震被害による故障や停電によって、数多くの防災無線機器が動作しなくなったが、同社はパナソックグループを挙げて代替機器や救援物資の確保、屋外子局用機器の充電やバッテリー交換、燃料補給などを実施し、防災無線の音声が届かない状況を解消するために、仮設の屋外ポールの設置や簡易防災無線機器の設置なども行ったという。

 「当社ソリューションのコンセプトは、災害対策現場の重要な局面で一貫して貢献すること。自治体の現場課題に向き合い、防災システムを改善し続け、現場に強いトータルソリューション力を発揮し提供できる。まずは災害のリスクや経験があるなど災害に課題感を持つ自治体への提案を加速したい。国の補助金などを活用した提案も進めていく。さらに、自治体の規模に合わせたソリューションの品ぞろえも強化していく」(沼氏)

 近年は、自然災害が頻発し、局地化、激甚化が進展しており、災害対策の現場課題に適した基盤整備が求められている。また、自ら被災者でもありながら少ない人数で迅速な初動対応が求められる自治体職員は、これまでに経験がない規模の異常気象や災害に見舞われる場合が増えており、さらに感染症リスクを抱えた災害対応も求められるなど、さまざまな課題に直面している。

 こうした現場課題の解決に向けてパナソニックコネクトは、データに基づく意思決定、オペレーションの省力化、防災システムの安定稼働といった災害対策現場のDXに取り組むことが必要になっていると指摘する。

 「災害対策業務は、気象や観測、被災連絡、避難所などの情報を収集して状況を可視化し、それらの内容を災害対策本部が把握することで最適な意思決定が行える。また、住民や職員に向けて、あらゆるメディアを活用していち早く情報を届けることが重要だ。職員のナレッジに依存せずに、集める、まとめる、届ける、つなげるという観点から、災害業務全般を対象にしたトータルソリューションを提供していく」(沼氏)

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