セールスフォース、信頼性を重視したAI製品を展開–「Einstein 1 Platform」を発表

今回は「セールスフォース、信頼性を重視したAI製品を展開–「Einstein 1 Platform」を発表」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Salesforceは米国時間9月12~14日、年次カンファレンス「Dreamforce」をサンフランシスコで開催している。初日の基調講演に登壇した共同創業者 会長 兼 最高経営責任者(CEO)のMarc Benioff氏は、同社の新たな製品「Einstein 1 Platform」とAIプラットフォーム「Einstein」の次世代版を発表した。

 同社によると、多くのCEOがコスト削減や顧客体験(CX)の改善を期待し、AIを優先事項と考えている一方、消費者の半分は「生成AIに対して信頼していない」「セキュリティに心配がある」との見解を示した。結果として、企業は従業員に生成AIを使わせることが難しくなり、AIへの信頼に対するギャップを課題として抱えているという。

 Benioff氏はこの課題に対し、「私たちは顧客企業にとって、信頼できるAIプラットフォームを構築する。これが使命だ。誰もがアインシュタインになり、より生産的になるように、信頼できるAIプラットフォームや顧客企業を構築したい。その中で最も優先するべきことは、信頼だと考えている」と説明した。

 Salesforceは、顧客がAIを安全に利用するために守るべき原則「Tenets of Trusted, Ethical & Humane AI」として、「あなたのデータは私たちの製品ではありません」「お客さまは自分自身のデータを100%制御すること」「正確で検証可能な結果を提示します」「当社の製品におけるポリシーは人権を保護します」「私たちは責任あるAIをグローバルで推進していきます」「透明性が信頼を築く」ーーといった内容を掲げている。

 今回発表したEinstein 1 Platformでは、データ、AI、顧客関係管理(CRM)を活用して生産性とCXの信頼性を向上させるという。同社は、企業が同プラットフォームを利用することでデータを安全に結びつけ、AIを活用したアプリケーションをローコードで構築し、新しいCRM体験を提供できるとしている。

 同プラットフォームは、Salesforceの基盤となるメタデータフレームワーク上に構築される。同フレームワークは、アプリケーションを横断したシームレスなデータのやりとりを行うために構築された。データを同フレームワークにマッピングすることで、異なる社内システムでのデータ構造に関係なく、企業全体でデータを一元的に把握できるようになる。

 企業は、把握したデータを基に、「Einstein」(AI予測とコンテンツ生成)、「Flow」(自動化)、「Lightning」(ユーザーインターフェース)などを、ローコードプラットフォームサービスを活用してカスタマイズし、データに基づいてアクションを起こすことができる。

 クラウドサービス「Salesforce Data Cloud」(Data Cloud)と「Einstein AI」が同プラットフォーム上に構築されたことで、企業はAIを搭載したアプリケーションやワークフローを容易に生み出し、生産性の向上やコスト削減、より良いCXの提供ができるようになるとしている。

 同社は、Data CloudがEinstein 1 Platformと連携したことでサイロ化されたデータを新たな方法で一元化し、大規模な「データ処理」「自動化」「アナリティクス」といったCRM体験を実現できるようになったと説明。

 同プラットフォームは、顧客ごとに数千件のメタデータ対応オブジェクトをサポートできるように拡張され、それぞれが数兆を超える行を設定可能。これにより、大規模なデータ処理ができるという。また、「Marketing Cloud」と「Commerce Cloud」は同プラットフォーム上で再設計される。

 自動化では、ほかのシステムから膨大な量のデータを同プラットフォームに取り込み、即座に実行できるSalesforceオブジェクトとして利用できるようになった。フローはIoTデバイス、演算により得られた分析情報、AI予測など、多様なオブジェクトに対する任意の変更イベントによって作動する。最大で毎秒2万件のイベントを処理でき、APIプラットフォーム「MuleSoft」を通して企業内のあらゆるシステムとのデータのやりとりが可能になるという。

 アナリティクスでは、同プラットフォームの共通メタデータスキーマとアクセスモデルを通して、同じデータに対して同社が提供する「Tableau」や「CRM Analytics」といった分析ツールを大規模に実行できる。これにより、あらゆるユースケースに関して分析情報を得ることができるとしている。

 ほかにも同社は、「Enterprise Edition」もしくは「Unlimited Edition」を利用する全ての顧客が、Data Cloudを無料で利用できるようにした。既存の顧客はData CloudとTableauを利用し、データの取り込みから一元化、整合性の実現、探索を開始し、さまざまな事業にまたがってデータの力を拡張させ、AIの最大限の活用を開始できるとしている。

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