ヴイエムウェアのエッジコンピューティングの展開–ITとOTの接近進む
今回は「ヴイエムウェアのエッジコンピューティングの展開–ITとOTの接近進む」についてご紹介します。
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米VMwareは、2021年にエッジコンピューティングへの本格参入を表明し、「VMware Edge」ポートフォリオを発表した。2023年8月の年次イベントでは、このポートフォリオに「VMware Edge Cloud Orchestrator」を追加し、9月7日には同社初というエッジコンピューティングのイベントを東京で開催。同イベントでエッジコンピューティングの展開状況を説明した。
サービスプロバイダーおよびエッジビジネス部門 シニアバイスプレジデント ゼネラルマネージャーのSanjay Uppal氏は、「VMwareは『Software-Defined Data Center』(SDDC)の企業。現在はあらゆる場所にエッジのインフラが出現し、そこではソフトウェアが実行され、たくさんのデータが発生し、消費される。エッジでも『Software-Defined』が求められ、VMwareはSDDCのアプローチをエッジにも提供する『Software-Defined Edge』を推進している」と述べる。
2021年に発表したVMware Edgeは、エッジコンピューティングのソフトウェアスタックとなる「VMware Edge Compute Stack」と、論理ネットワークの構成や運用管理とセキュリティ機能を提供する「VMware SASE」で構成される。2023年に追加したVMware Edge Cloud Orchestratorは、GitHubなどを利用して多数のエッジ環境の構築、運用管理をリモートから一括して行え、少ない管理者で多数のエッジを運用する「ゼロタッチ」をうたう。
また同社は、業界別のエッジソリューションとして、2021年に通信事業者向けの「VMware Telco Cloud Platform」をVMware Edgeと同時に発表。2023年は小売・流通向けの「VMware Retail Edge」を追加した。エッジでの重要業界には、製造、建設、物流、エネルギー、食料を挙げている。
ヴイエムウェア 代表取締役社長の山中直氏は、「お客さまのCIO(最高情報責任者)と話をしていると、最近ではOT(制御系技術)環境もIT側で管理することが求められるようになってきた。プラットフォームやセキュリティの重要性が高まり、ITとOTが近づいている」と話す。背景には、AIや機械学習でエッジ環境のデータを分析して高度に活用することと、OTのコスト削減やサステナビリティー(持続可能性)への対応でITの活用が期待されているからだという。
エッジコンピューティングは、日本でもさまざまな業界で多様な活用の概念実証(PoC)が行われ、有効性が認められた用途の本番稼働も増えてきている。
一例として製造では、工場のラインを流れる製品をカメラで撮影し、映像データをAIで解析して不良品を検知する。従来はベテラン人材が目視で判別したが、人口構成比の多くの占めるベテラン人材が退職し、少子高齢化で後継人材の確保や育成も難しいことから、「コンピュータービジョン+エッジAI」のシステムを使って、業務や製品の品質の確保と人材不足への対応を図る。このシステムを稼働させるためのサーバーやストレージといったITインフラはIT側が担当し、AIなどのアプリケーションは生産管理などのOT側が担当する。
現在のエッジコンピューティングは、こうした特定の用途の種類が増加し、各所で用途に応じた個々のシステムの構築や運用が増えている状況だ。では、それらを企業として全体的に運用や管理をしていくにはどうするか――。山中氏が述べたITとOTの接近は、エッジコンピューティングの今後の展開を見据えたものであるようだ。