CIPプロジェクト、Linuxカーネル6.1ベースのSLTSを発表–最低10年のサポート

今回は「CIPプロジェクト、Linuxカーネル6.1ベースのSLTSを発表–最低10年のサポート」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 The Linux Foundationの「Civil Infrastructure Platform(CIP)」プロジェクトは、「Linux」カーネルのバージョン6.1をベースとするSLTSカーネルシリーズにより、超長期安定版(SLTS)カーネルプログラムを延長すると発表した。

 これは初のSLTSカーネルというわけではない。Linuxカーネルのバージョン4.4と4.19、5.10をベースとしたSLTSカーネルが既に存在している。今回の発表の核心は、CIPが少なくとも向こう10年間、カーネルのサポートを続けていくという点にある。

 念のために述べておくが、CIPシステムは汎用のLinuxデバイスを念頭に置いているわけではない。これはCIPカーネルと、「Debian 11」(開発コード名:「Bullseye」)をベースにしたシステムで構成されており、CIPのリファレンスハードウェアに基づく産業用ハードウェア上で稼働するランタイム環境を実現するというものだ。

 この種のカーネルを長期にわたって使用できるよう保証するために、CIPはターゲットアーキテクチャー向けに活発にサポートされているカーネル機能に力点を置くという、効率的なアプローチを採用している。つまり、SLTSカーネルは組み込みシステム向けのLinuxに特化している。これには以下の2つのバージョンがある。

 またこのプロジェクトでは、最近のメインラインカーネルから複数の非侵襲的なバックポートを取り込んでもいる。その大きな理由は、新たに登場してきているハードウェアとの親和性を強化するというところにある。CIPプロジェクトのメンバーは、このようなかたちでスコープを定義している。

 というのも、CIPの主なミッションは、デスクトップやサーバー向けのカーネルを提供するというものではないためだ。そうではなく、産業機器向けの組み込みLinuxシステムのためのオープンソース基盤を確立するというのがミッションなのだ。そしてこの基盤によって、公共インフラのプロジェクトに必要となるソフトウェアのビルディングブロックの配備と統合を促進することがCIPの目標となっている。

 このディストリビューションは、インフラの監督や制御、管理を担う技術システムを対象としている。こうしたシステムには発電や電力供給、石油/ガス、上下水道、ヘルスケア、通信、運輸、コミュニティー管理といったものが含まれている。

 CIPの狙いは、既存のオープンソース基盤と専門知識に基づくことで、ドメインをまたがる共通テクノロジーの再発明を避けつつ、公共インフラのシステム開発を迅速化していくところにある。これによって、電力網や石油/ガスパイプライン、緊急通信システムといったミッションクリティカルなサービスのための基本となるリファレンス実装が提供され、事実上のオープン標準を確立するための原動力となっていくはずだ。

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