ゲーム業界のマーケティング課題をAIで解決するには
今回は「ゲーム業界のマーケティング課題をAIで解決するには」についてご紹介します。
関連ワード (マーケティング等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
人工知能(AI)が再び脚光を浴びるにつれ、ゲーム業界でもAIの活用について耳にすることが増えてきました。
Appierでは、10年以上前から高度なAIを搭載したマーケティングソリューションを企業に提供しており、ゲーム会社の生産性や投資対効果(ROI)の向上も支援しています。これまでの業界での知見に基づき、データサイエンスやAIを活用したマーケティングがゲーム業界の発展に対し、どのように貢献しているかについて概説したいと思います。
当社の主な強みはデータサイエンスにあります。AppierはAIサイエンティストを中心とした創業者たちが2012年に設立した会社で、世界最高峰のデータマイニング大会である「KDD Cup」で7回優勝した実績を有しています。また、当社の全ての製品とコンサルティングサービスはAI技術を搭載して展開されています。
それでは、AIと人間のコラボレーションについて具体例を使って話したいと思います。例えば、海外にいて外国語の文章が理解できない場合、スマートフォンでその文章の写真を撮れば、瞬時に翻訳できます。仮想現実(VR)の領域でこれは拡張現実(AR)として知られていますが、ここでいう「拡張」とは、私たちの世界を完全にバーチャルなものに変えるという意味ではなく、スマートフォンが生成したコンテンツを人間の世界に付加することで、私たちが今必要としているサポートを受けられることを意味します。
生成AIは、画像や動画の生成に使用できます。しかし現在活用されている多くの場合を見ても、「ChatGPT」や他の生成AIツールは、人間が持つ知識の全てを理解したり、感情を認識したりすることは難しいのが現状です。そこでAppierが現在注力していることは、AIをマーケティング担当者の手に委ね、AIとの共同作業により仕事の効率化を図ること、そして、ゲーム会社であれば 「ゲームの発売日から1周年までのマーケティングライフサイクル」全体において、データサイエンスやAIがどのように支援できるかを検証することです。
モバイルゲームの発売を例に挙げると、ソフトローンチの際のリソースは、AIを使わずともはるかに充実しています。この段階では、少数ユーザーのデータを蓄積し、市場の反応を見て、製品を改良できます。欧米市場をターゲットにしたゲームは、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの国でテストリリースされることがよくあります。その後、ゲーム開発者はゲームのプロットやビジュアルデザインなどの要素に基づいて、改良と最適化を行います。
ではここで、ゲームの構想からリリース1年目までのライフサイクルステージを例に考えてみましょう。ゲーム発売後1~3カ月目、または6カ月目くらいまではアプリ内課金を継続するユーザーの特定が目標となります。50~60ユーザーを分析することは可能ですが、50万~60万ユーザーとなると分析は困難になります。現在、ゲームは発売1カ月で数百万ダウンロードされることもあり、企業のROIに最も貢献する上位10%のユーザーを特定するのは特に難しいと言われています。ゲームの活動におけるROIが上がれば上がるほど、マーケティング担当者はAIを活用し、企業にとって価値の高いゲームユーザーの特性や利用習慣をより良く理解することが求められます。また、まだゲームをダウンロードしていないものの潜在的に価値が高いと予測される海外のプレイヤーを識別するために、AI技術を活用して比較的安定したモデルのトレーニングも可能です。
また、同時期になると、多くのプレイヤーは既に100回以上、あるいは150回以上広告に接触している可能性があり、広告疲れが生じてきます。この段階でマーケターは通常、プレイヤーの興味を一新させるためにさまざまな種類のコンテンツを制作します。その際、AIを活用することで、コンテンツクリエイターは楽しい表情や悲しいシーンなど、さまざまなシーンを描いた広告コンテンツを大量に生成できます。安定運用の段階では、マーケティング担当者はこれらの広告コンテンツをテストして、どの広告がより良い反応を得られるかを測定可能になります。
6~12カ月目と進むにつれて、マーケティング担当者は通常のユーザー獲得手法にとどまらず、非アクティブになったユーザーを再エンゲージするためのマーケティングに着手します。例えば、非アクティブユーザーが15万人いた場合、AIはこのグループから将来的にアクティブ化する可能性のあるプレイヤーを5000人特定し、このプレイヤーをリターゲティングアプローチの対象にすることで、より効果的な広告キャンペーンへの予算の配分と成果を可能にします。
ゲーム発売後1~14日目の初期段階では、プロモーションの焦点はメディアでの露出にあります。当社のデータサイエンス分析によれば、約300人の有料ユーザーを獲得した時点で、安定したAIモデルを構築できます。有料ユーザーの比率は全体の10%と言われているため、少なくとも3000人のインストールユーザーのプロファイルを取得する必要があります。よって、ゲーム発売後1~14日間は、この3000人のユーザーデータを蓄積します。そして、300人が有料ユーザーになれば、ユーザーの行動から広告予算を投資する価値のあるユーザーをさらに特定していきます。このサイクルはプロモーション期間後も継続します。