デロイト「Tech Trends」から読み解く、2024年に生成AIが企業に与える影響
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2022年11月にリリースされた「ChatGPT」は熱狂的な生成人工知能(AI)ブームを巻き起こし、2023年の1年間を通して生成AIの飛躍的な成長と発展をもたらした。
それから12カ月が経った。Deloiteのレポート「Tech Trends 2024」では、生成AIを取り上げてこの1年間に起きた出来事を掘り下げるとともに、これから12カ月の間に生成AIが企業にどのような影響を与えるかをまとめている。
Deloitteは毎年、年末にその年の技術動向をまとめたレポート「Tech Trends」を発表し、企業のビジネスリーダーやITリーダーに対して、新たなテクノロジーがビジネスにどのような影響を与えるか、それらのツールをどのように導入すべきかを説明しているのだが、15回目となるTech Trendsの主なテーマに生成AIが選ばれたことを不思議に思う人はいないだろう。
OpenAIは、ChatGPTの公開から60日間で1億人のユーザーを獲得した。ちなみに、ソーシャルメディア界をけん引する代表的なサービスの1つである「TikTok」は、その数字に到達するまでに9カ月かかっている。
このような関心の高まりが生まれたのは、ChatGPTが直感的に利用でき、技術的なスキルがなくても誰でも利用できただめだろう。また、ChatGPTにはさまざまな用途があることが明白だった。
Deloitteのチーフフューチャリストであり、レポートの共著者の1人であるMike Bechtel氏は、「これまでデスクとキーボードの前に座って、機械的なロボットによって製造工程が自動化され、スプレッドシートの分析が自動化されるのを見ていた人々が、突如として、機械の知能によって自分たちの仕事が自動化され始めるところを目撃することになった」と述べている。「筆者は、この『Transformer』モデルの難解な進化に対する関心が、一般の人々の間に野火のように広まったのはそれが原因だと考えている」
ビジネスリーダーも、一般の人々と同じく、生成AIに非常に高い関心を示している。2023年夏に実施されたDeloitteの調査「CEOサーベイ」では、ビジネスリーダーの80%が、生成AIによって組織の効率が向上すると考えていた。
生成AIは、非常に高い能力を持つインテリジェントな技術であり、レポートでも強調されているように、その能力はしばしば人間を凌駕する。
例えばChatGPTは、AP生物学試験(訳注:米国のカレッジボードが高校生を対象として実施している高難易度試験)で5点満点中5点を獲得しており、Anthropicのチャットボットである「Claude 2」は、大学院や専門学校の入学試験に使われるGRE試験の読解と作文で90パーセンタイルを上回るスコアを獲得した。
こうした能力を知ると、多くの知識労働者は、生成AIが自分たちに取って代わるのではないかとパニックに陥った。しかし今回のレポートによれば、いかなる規模においても、ビジネスリーダーが知識労働を自動化したいと考えていることを示す本格的な兆候はない。
Bechtel氏は、「長年にわたって見られたパターンのひとつは、『成功への道は縮小にあらず』というものだ」と述べている。