AIと自動化は小さく始める–的を絞ったアプローチで大きな成果を
今回は「AIと自動化は小さく始める–的を絞ったアプローチで大きな成果を」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ビジネスリーダーは、自動化によって企業の運営が変わりつつあることを認識している。期待されているのは、ロボットや機械学習、人工知能(AI)など、自動化がどのような形態をとるにせよ、誰もがそう遠くない未来に生産性の向上を果たすことだ。
しかし、自動化が私たちの仕事生活を向上させる段階までたどり着くのは、決して簡単ではない。この1年間でAI関連の不協和音のような過剰宣伝があったにもかかわらず、新興テクノロジーを慎重かつ思慮深く検討する必要がある、と専門家は指摘する。
まさにそのアプローチを採用しているのが、保険会社Hastings Directの最高情報責任者(CIO)であるSasha Jory氏だ。同氏のチームは、自動化に関する「あらゆる種類のこと」を調査しているが、その探求からすでに貴重な教訓を得たという。
「自動化に関して1つ分かったのは、プロセスが壊れていて、正常に機能しない場合、そのプロセスを自動化しても、混乱が加速するだけだということだ」とJory氏は語る。
その悪夢のシナリオを回避するには、自動化に対して戦術的なアプローチを取る必要がある。「変化を起こすことができそうな場所を慎重に選んでいる」とJory氏。「当社の自動化の多くは、手作業のプロセスを排除し、合理化を実現して、ロボティクスによってプロセスを実行する機会を生み出し、これまで人間がやっていた作業のやり方をテクノロジーに教えることだ」
Jory氏とチームは、全社規模のサービスへの巨額投資に依存するロボティクスプロセスオートメーション(RPA)のようなビッグバンアプローチではなく、小規模な機会を追及している。
これは、IT業界がRPAの可能性に熱狂していた数年前と比べて大きな変化だ。RPAはソフトウェアロボットやAIエージェントを使用して、かつて人間が遂行していたような反復作業を実行する。
たとえば、AdobeのCIOであるCynthia Stoddard氏は、2021年の米ZDNETとのインタビューで、同社がRPAを導入したときのことを説明している。
AdobeはUiPathと提携してRPAのセンターオブエクセレンスを設立した。このグループが、Adobeにおける自動化プラットフォームの構築、ツールの準備、実装、さらにはビジネスプロセスの自動化を管理する。
Stoddard氏によると、財務におけるRPA活用の成功が、同技術の採用を全社に広げる後押しとなり、生産性が大幅に向上したという。
しかし、すべての企業が莫大な資金と労力を投じて全社規模の自動化アプローチを確立できるわけではない。この点についてはHastingsのJory氏も同様の見解だ。
「大きな規模でのプロセス自動化は追求していない。それには時間がかかり、非常に困難であることが多いからだ」とJory氏。「当社のアプローチは、変化を起こすことができる小さな対象を見つけることだ」
小規模なプロセス自動化の方法を検討しているデジタルリーダーは、Jory氏だけではないかもしれない。その可能性を示す証拠がある。
Gartnerの調査では、RPAソフトウェアへの支出は2022年に28億ドルに達し、2021年の23億ドルから増加したが、RPA市場の年間成長率はこの数年間で鈍化しており、2019年の62%から2022年には22%に低下したという。
Nash Squaredが先頃発表した「Digital Leadership Report」でも、RPAの成長が遅くなっていることが示されている。2023年は、自社で大規模なRPAを導入していると回答したCIOの割合が、10%から12%への微増だった。