AWSはなぜ今、投資計画や経済効果の推計を強調するのか
今回は「AWSはなぜ今、投資計画や経済効果の推計を強調するのか」についてご紹介します。
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Amazon Web Services(AWS)が今後の日本への投資計画とそれによる経済効果の推計を明らかにした。同社が投資計画を公表するのは初めてのことだ。なぜ、今、同社は投資計画や経済効果の推計を強調するのか。
AWSの日本法人アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は1月19日、今後の事業方針について記者説明会を開いた。その中で、同社 代表執行役員社長の長崎忠雄氏は、AWSによる日本への投資計画とそれによる経済効果の推計を公表した(写真1)。
それによると、日本でのクラウドサービスに対する顧客需要の拡大に対応するために、2023年から2027年までに東京と大阪のクラウドインフラに2兆2600億円を投資する計画。これにより、AWSが日本にもたらす経済効果としては、日本の国内総生産(GDP)に5兆5700億円貢献し、国内で年間平均3万500人以上の雇用を支えると推計している。同社は2011年から2022年にかけて既に日本で1兆5100億円を投資しており、国内でのクラウドインフラへの総投資額は、2027年までに約3兆7700億円に達する見込みだ(表1)。
長崎氏は投資計画について、「AWSのクラウドインフラへの投資は日本経済全体にポジティブな影響をもたらす。私たちの投資が、官民問わずさらに多くのお客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速し、AIや機械学習(ML)といった最新のデジタルテクノロジーを利用できるようになると考えている」とコメント。また、経済効果については、日本経済における生産性向上の加速、スタートアップや 中小企業を含む企業のDXの推進、AWSパートナーネットワークの強化、クラウドおよびデジタル人材のスキルアップ、再生可能エネルギープロジェクトの発展、およびAWSが事業を展開するコミュニティーにおけるプラスの影響によって生じるものとの認識を示した。
会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、本稿では、AWSがなぜ、今、投資計画や経済効果の推計を強調するのか、掘り下げたい。
長崎氏は会見の質疑応答で、「AWSはなぜ、今、日本での投資計画や経済効果の推計を初めて公表したのか」と問われて、「これらの内容は日本だけでなく、クラウドインフラ拠点がある各国でそれぞれに公表している」と前置きした上で、次にように答えた。
「DXが進展する中で、今、生成AIをはじめとする新しいテクノロジーの波が押し寄せてきており、日本のお客さまもそれらを積極的に使おうという機運が高まっている。そうしたお客さまのご要望にお応えし、貢献していきたいという、AWSとして日本へのさらなるコミットを表したものだ」
日本での投資計画や経済効果の推計を初めて公表したことについては、「AWSとして日本へのさらなるコミットを表したものだ」との長崎氏の言葉に集約されるだろう。ただ、「なぜ、今か」については物足りない回答だった。この点についてさらに突っ込んで質問しようと構えていたが、質疑応答の時間切れになったのと、質問してもおそらく「日本へのさらなるコミット」の繰り返しの答えのような気がしたので、ここからは筆者なりに深掘りしたい。