デルのサーバー事業にみる「ITインフラ需要の新たな動き」とは
今回は「デルのサーバー事業にみる「ITインフラ需要の新たな動き」とは」についてご紹介します。
関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンターソリューションズ事業統括の松本光吉氏と、日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏の発言を紹介する。
デル・テクノロジーズは先頃、サーバー事業の状況と今後の戦略展開についてオンラインで記者説明会を開いた。松本氏の冒頭の発言はその会見で、サーバー事業において最近目立った動きの1つとして挙げたものである。
会見全体の内容については速報記事をご覧いただくとして、ここでは松本氏の発言に注目したい。
同氏は、同社のサーバー事業が堅調に推移していることを述べ、その要因の1つとして「最新技術に基づく提案を積極的に行っている」点を強調。具体的には、「5Gモバイル基盤での圧倒的な実績」「大規模プライベートクラウドへの導入」「人工知能(AI)/高性能コンピューティング(HPC)システムの相次ぐ採用」の3点を挙げた(表1)。
この中で筆者が注目したのは、2つ目の大規模プライベートクラウドへの導入だ。松本氏はこれについて、「当社のお客さまのクラウドへの対応からすると、ハイパースケールのパブリッククラウドサービスとプライベートクラウドを比較した分析や評価はかなり明確になってきていると感じている。その上で、大規模なプライベートクラウドの構築に向けて当社のサーバーを多数導入していただくケースも出てきている」と説明した。
そうした動きの中でも、2022年においては「万単位の台数のサーバーをドンと導入していただき、その運用も含めてご支援したケースもあり、日本法人としても未体験の規模とスピードだったので懸命に対応させていただいた」といったエピソードがあったことも明らかにした。
松本氏はまた、2023年のサーバー市場の展望として、表2に示したように6つの動きを予測。中でも筆者が注目したのは、2つ目の「クラウドを体験したユーザーが適材適所でオンプレ回帰を具体化する」という予測だ。「クラウドに慣れたお客さまから、クラウドに匹敵する運用や簡便性などをサーバーにも求められるようになっていく」というのがデルの見立てだ。これにより、ユーザーはオンプレミスでの効果的なシステム利用も選択肢として保持できるようになるというわけだ。この「オンプレへの回帰」は、先述した大規模プライベートクラウドの話にもつながっていくという印象を持った。
こうした2022年の経験と2023年の展望を受けて、松本氏は今後のデルのサーバー事業における戦略の1つとして、「プライベートクラウド大規模プロジェクト体制の確立」を掲げた。
IT市場では今後の大きな流れとして、ハイパースケールのパブリッククラウドサービスの利用が着実に広がっていくという見方が大勢を占めている印象があるが、松本氏による大規模プライベートクラウドの話は方向性が異なり、むしろ大手の企業はプライベートクラウドの利用が主流になる可能性も感じる。果たして、今後どうなっていくのか。ITインフラの在りようの将来に向けた話だけに注視していきたい。