AIガバナンス協会、4つのWGでAIガバナンスの社会実装を加速
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AIガバナンス協会(AIGA)は2月19日、活動を周知する記者発表会を開催した。同協会は、AI活用で企業および社会が持続可能な成長を目指すため、2023年10月に設立した任意団体。研究会などを通じて基盤モデル開発者やAIサービス提供者におけるAIガバナンスの議論・共通理解の醸成、AIに関する制度整備の在り方に関する検討と政府への政策提言を目的としている。現在の正会員企業数は、当初の29社から41社に増加した。
経済産業省は2021年7月に「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」を公表しているが、社会実装に至ったとは言いがたく、現状の改善を目的に発足したのがAIGAである。同協会理事の大柴行人氏は、「企業だけでAIガバナンスを考えるのは難しい。そこで積極的に先進企業間で実装の知見を共有して具体的な取り組みを実践する」ことが目的だという。
同協会は「AIガバナンス実装」「行動目標」「政策提言」「認証・標準」と4つのワーキンググループ(WG)を発足して活動している。AIガバナンス実装は、先進企業の事例や有識者の知見を紹介する研究会を実施し、知見の共有や蓄積を目的とするWGだ。
行動目標は、各類型のリスク対応や具体的な手続きを旗印とする独自の「AIガバナンス行動目標」を会員企業の努力目標と定めるWG。同協会理事の羽深宏樹氏は、「政府の情報収集後に全てのオーダーを出すガバナンスモデルは限界を迎えているのは誰の目にも明らかだ。現場の各企業が自主的に取り組むのも難しいため、方向性を示す指針(構築)を目指す。大学においても社会的価値の実現やマルチステークホルダーとの信頼構築を通じた革新を目指している」と述べ、現在14項目の声明を発している。
さらに米国の主要なAI企業が政府との議論を通じて発した自主的なコミットメントや、欧州連合(EU)主導のルールや制裁に基づくガバナンスを参考に、日本は革新とガバナンスを両立させた関係者の協業を目指すという。
政策提言は文字通り、政府へのパブリックコメント提出などを通じてAIの現場にある課題解決を目指すWG。既にいくつかのパブリックコメントを提出しており、経済産業省にはさらなる議論・明確化が必要な論点として、ガイドラインや履行確保手段の再考、ガイドラインの対象範囲とリスクを前提としたアプローチやリスク検証および評価手法と4つの意見を提出した。
文化庁へもAIの活用促進を見据えた検討課題を提示し、事業者の取り組み余地を確認する意見を提出している。同協会理事の山本忠司氏は、「提出した意見がより良い形で検討・反映される」ことを活動目標に掲げた。なお、認証・標準は認証制度の標準化など企業におけるAI普及の枠組みを検討するWGである。
同協会理事の生田目雅史氏は、「第一に行動目標の実現推進とコミットメントを広げていきたい。各会員企業が各自の行動目標に沿って努力し、ベストプラクティスの知見を蓄積する。第二は協会内の研究会をはじめとした議論を今まで以上に活発化させ、意見の取りまとめを発信する取り組みを推進する。特にAIリスクの技術的な評価は各企業の第一線で活躍するメンバーが集合し、共通認識の醸成に大きく貢献する。最後は政府や国内外のAIガバナンス関連企業とのコラボレーションを推進する」と今後の活動を説明した。