Dataikuは「データの設計図」となる基盤–生成AIのコスト管理機能なども
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Dataikuは、2013年にフランス・パリで創業したソフトウェア企業で、人工知能/機械学習(AI/ML)向けの統合プラットフォームを提供している。「Everyday AI」(日々のAI)をビジョンに掲げ、データや人工知能/機械学習(AI/ML)の活用が日々の業務の一部となるような世界観を描いている。Dataiku Japanのカントリーマネージャーを務める佐藤豊氏に、最新の動向と今後の展望を聞いた。
2015年に本社を米国・ニューヨークに移し、2022年にDataiku Japanを立ち上げた。佐藤氏によると、同社の顧客数はグローバルで600社を超え、そのうちの200社は「Forbes Global 2000」のランキングに名を連ねる世界有数の大企業だという。現在の従業員数は世界で1000人超になる。
Dataikuの特徴は、データサイエンティストやビジネスユーザーなど幅広いユーザーをターゲットとし、チームが協力して日々の業務にデータやAIを組み込むことを可能にするエンドツーエンドのプラットフォームである点だ。同社の製品は、データの取り込み/準備/可視化、生成AIの利用、モデル開発、DataOps、モデルの監視と運用(MLOps)、ガバナンスといったデータパイプラインに必要な機能をシングルプラットフォームでカバーする。
現在、企業からのニーズが最も高いのが、大規模言語モデル(LLM)になる。3月には、LLMのコストを管理する「LLM Cost Guard」を発表している。これは、企業によるLLMの使用状況を追跡・監視し、生成AIのコストをより適切に予測・管理するためのソリューションになる。
例えば、特定のプロジェクトへのコスト配分により、財務の明確さが向上し、説明責任が保たれるとともに、コストの過剰な増加を早期に発見し、ガバナンスの問題から生じる財務リスクを減少する。また、LLMの使用状況と支出に関するダッシュボードにアクセスすることで、データに基づく決定を行い、投資を効果的に管理できるという。
LLM Cost Guardは、「Dataiku LLMメッシュ」の機能の一つになる。LLMメッシュは、OpenAI、Microsoft Azure、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Databricks、Anthropic、AI21 Labs、Cohereなどが提供するLLMサービスへの接続を一元管理するソリューション。アプリケーションとサービスをつなぐ中間層として機能し、生成AIアプリケーションの大規模で効率的な構築・展開を可能にする。
「アクセス制御、リクエスト管理、コスト効率、コンプライアンス順守、技術的な依存度の低減といった企業のニーズに対応し、エンタープライズレベルの生成AIアプリケーションをよりスムーズに開発することができる」(佐藤氏)
生成AIの導入は急速に進行しており、多くの組織が投資を増やすことを計画している。その一方で、コスト管理については見過ごされてきたといい、「かつてのクラウドのようにコストが青天井となってしまう可能性もある」と佐藤氏は指摘する。その上で、生成AIの取り組みを強力な財務の正当性に裏打ちされたものにすることで、重要な投資領域となり得るという。
日本航空(JAL)は、DX戦略の一環として、Dataikuを活用して顧客データ分析の基盤を充実させている。これにより、個々の顧客のニーズに応じたサービスを提供し、顧客体験(CX)を高めることを目指している。さらに、分析担当者が分析手法を共有することで、航空サービスだけでなく日常の顧客接点も考慮した大量のデータを横断的に分析できるようになった。企業内に蓄積されたビッグデータを生かし、顧客に合わせた最適なコンテンツを迅速かつ適切に提供できるようになるとしている。
導入については、Dataikuの販売代理店である野村総合研究所(NRI)が担当し、JALの既存システム環境とDataikuを組み合わせて短期間で大規模なシステムの導入を可能にした。
佐藤氏によると、国内では、まず金融、製薬、製造といった業界の中でデータ活用に取り組んでいる企業に訴求していくという。パートナーエコシステムとブランドリレーションシップも強化するといい、パートナー企業やコミュニティー活動などを通じて、ビジネスでのAI/ML活用のユースケースを示していく。
「Dataikuはデータの設計図となるプラットフォームだ。データの設計図があれば、再現性を高めたり、改良や再利用したりするのも容易になる。こうした取り組みは国内企業の得意とするところだ」(佐藤氏)