岡山大学と両備システムズ、早期胃がんの深達度を判定するAIを開発
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両備システムズと岡山大学は4月24日、AIを活用して早期の胃がんの深達度を判定し、医師の診断を支援する「早期胃癌深達度AI診断支援システム」を開発し、オージー技研が医療機器製造販売の承認を取得したと発表した。同分野のシステムとしては初の認可取得で、各社は2024年内を目標に事業化する予定だ。
同日に記者会見した両備システムズ 執行役員 ヘルスケアソリューションカンパニー長の青木勉氏は、「診断・診療支援AIシステムの市場規模は、2021年の25億円から2027年には160億円以上へ拡大する。今回の早期胃癌深達度AI診断支援システムをはじめメディカルAI事業に注力していく。テクノロジー活用により健康で明るい社会づくりに貢献したい」と述べた。
開発された早期胃癌深達度AI診断支援システムは、内視鏡で撮影した早期の胃がんの画像に対するAIの解析結果を基に深達度を判定し、医師の診断を支援するのが特徴だ。
研究開発では、医師が分かりやすく実際の診断に使えるような画像を選別してAIに学習させたほか、さまざまな条件下での内視鏡検査に対応できるよう、1枚の画像を基に多様な角度や、溶液がかかった多様な色、内視鏡メーカー各社の特徴を捉えた画像など、さまざまなパターンの画像を作成して、AIに学習させたという。岡山大学病院では約500人の患者の画像を対象に約5000枚をAIに読み込ませ、それを基にAIが拡張した画像も学習させたという。
また診断時に、部位の色素が明確な画像など特徴的な6枚程度の画像を選んで早期胃癌深達度AI診断支援システムに読み込ませ、AIが判断する。粘膜内がんである「Mがん」や、浸潤している「SMがん」であることを1分弱で判定し、AIの確信度も表示する。ヒートマップでAIがどこを見て診断を下したのかが分かり、その部分を“ブラックボックス化”せず、医師はAIが正しい場所を見て判断していることを確認できるという。
国内の胃がんの罹患数は、大腸がん、肺がんに続く3位で、年間4万人以上が死亡している。胃がんの場合、早期発見なら根治が可能で、5年生存率は90%以上となる。だが、早期での胃がんの深達度は判定が難しく、優秀な専門医でも正診率は72%程度だと言われている。
また、胃がんの治療には、腫瘍を内腔から切除して胃を温存できる内視鏡治療と、胃の一部~全部を切除する外科手術があるが、その選択には腫瘍の深達度に対する正確な診断が必要で、そのための診断の精度は、現時点では不十分だも指摘されている。実際に深達度の診断は、病変の内視鏡写真の所見などを基に個々の医師が経験に照らして行っているのが現状だという。今回開発したシステムの正診率は約82%の精度に高めることが可能であり、誤った診断の低減が期待できるという。