freee、介護業界の業務を効率化–処遇改善加算の自動計算など
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freeeは6月22日、介護業界の処遇改善加算を自動計算する「freee介護加算」の提供を開始した。処遇改善加算に関する計画書の作成から手当を自動計算、報告書の作成、加算取得通知までを行える。「freee人事労務」と併用すれば、事業所や従業員の基本情報をAPIで自動連携する。
処遇改善加算の計算対象者を1ユーザーとして数え、1ユーザー当たり月額300円で利用できる。業種特化事業部 事業責任者の田井野佐介氏は、介護事業の市場規模について「2021年度で約30万事業所、介護職員数は214万9000人、高齢者人口増に向けて市場規模の拡大が見込まれる」と展望した。
政府は2009年から「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」を提供して、福祉や介護に関わる従業員の処遇改善を目指している。2022年度はコロナ禍による経済的な疲弊を踏まえて、約3%の引き上げ措置も講じた。高齢者人口の増加は改めて説明するまでもないが、肝心の福祉・介護職員は人手不足となっている。
経済産業省の「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会報告書」では、直近の2025年で43万人、2035年には79万人の高齢者と福祉・介護職員の需給ギャップが生じると予測している。介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査結果」によれば、福祉・介護職員が課題と感じるのは「人材不足」(52%)、「低賃金」(38.6%)、「身体的負担の大きさ」(30.6%)が上位に並んだ。また、退職理由も別の調査で54.9%が給与額だと回答している。
そのため、厚生労働省は福祉・介護職員向けの給与増を目的に処遇改善加算を用意しているが、その算出方法は複雑だ。端的に“サービス提供の価格×一定乗率”と述べることも可能だが、企業の事務管理部門は提供サービスに即した計画書作成から従業員の給与・賞与計算、後に報告書も作成しなければならず負担が大きい。そこで処遇改善加算に関する事務処理を軽減するソリューションの需要が生まれた。
freee介護加算は、処遇改善加算の計画書や報告書、従業員に対する手当の自動計算、事業所が取得可能な加算要件の通知機能を備えるクラウドサービスだ。申請に必要な計画書作成も事業所の基本情報を入力すればよく、従業員に対する加算手当も自動で計算する。提供方法は介護企業によって異なるものの、多くの福祉・介護職員が望むであろう月々の給与に反映することも難しくない。一連の情報を保持するため、報告書も自動的に作成する。「加算要件通知は利用者情報も必要となるため、大手の介護請求システムとの連携を予定している」(田井野氏)
これまで経理・財務や人事労務の領域で存在感を高めてきたfreeeだが、今回は福祉・介護業界向けに統合型経営プラットフォームの提供を開始した。特に行政提出資料はルール変更が頻繁に加わり、福祉・介護業務への注力を妨げる一因になりかねない。また、freee独自の取り組みに見えるが、freee介護加算はfreeeと介護業務を運営するシューペルブリアンとの共同開発だ。今後も加わるであろう福祉・介護職員等特定処遇改善加算の制度改定対応も期待できる。