IFS、日本市場への投資拡大–ワークスアプリケーションズと戦略的業務提携

今回は「IFS、日本市場への投資拡大–ワークスアプリケーションズと戦略的業務提携」についてご紹介します。

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 スウェーデンのエンタープライズソフトウェア大手のIFSは7月10日、日本市場に対する投資を強化すると表明した。新たにワークスアプリケーションズとERP分野で戦略的業務提携を開始することも発表した。

 同社は、航空宇宙、サービス、通信、建設、エネルギー、製造の6分野に注力して、80カ国で事業を展開している。フィールドサービス管理や設備資産管理、ERP、ライフサイクル管理のソフトウェアおよびクラウドサービスの「IFS Cloud」を手掛ける。2023年の収益は約10億ユーロ、収益成長率は業界平均の3倍、2023年の年間定期収益(ARR)は79%増、IFS Cloudの収益は70%増という。

 同日に記者会見した最高製品責任者のChristian Pedersen氏は、同社の製品群がGartnerのマジッククアドラントでリーダーに位置付けられ、Gartner調査の4月時点で業界トップシェアに立ったと説明した。各製品は個別導入だけでなく、顧客組織が必要に応じて機能モジュール単位でも柔軟に組み合わせて利用できるなどの点が顧客からの支持の獲得につながっているとアピールした。

 またPedersen氏は、AIなどの取り組みについても触れ、各産業分野で数十年にわたり蓄積している顧客の膨大なデータを基に、AIや機械学習(ML)で最適化に貢献する知見を顧客に提示するなどの価値を提供しているとした。同氏は、単一のソフトウェアプラットフォーム、組み込み型のテクノロジー、オンプレミスやクラウドで利用可能な柔軟性、優れたユーザー体験が同社の成長につながっているとする。

 同社は、こうしたグローバルでの成長をさらに加速させる上で、日本市場をより重視していくという。アジア中東地域担当プレジデントのVincent Carvalho氏は、「日本は世界第4位の経済規模で、当社と関係の深い製造業が盛んな市場だ。自動化やイノベーションへのニーズが高い一方、人手不足などの課題に直面している。日本のエコシステムはとても強力であり、コラボレーションによる成長機会に恵まれている」などと説明した。

 取り組みついてIFSジャパン 代表取締役の大熊裕幸氏は、「既に投資の強化を始めており、まず日本で活躍する社員のために充て、2025年以降の成長につなげる」と述べた。IFSジャパンの社員数が急増していることから、10月にはオフィスを東京・渋谷から大手町に移転してさらなる増員を図り、サポートやクラウド、カスタマーサクセスなどの体制整備を急ぐ。また、日本も製品の研究開発機能を設け、日本向けの製品のローカライズを推進するという。

 新たに開始するワークスアプリケーションズとの戦略的業務提携では、資産管理などのIFSのソフトウェアとワークスアプリケーションズのERPを組み合わせ、日本の大手企業顧客に対する基幹業務システム製品の提供価値を高めるのが狙いになる。

 記者会見にゲスト登壇したワークスアプリケーションズ 代表取締役 最高経営責任者の秦修氏は、「大手顧客の多くが古く肥大化したERPの刷新を課題にしており、IFSと連携することにより、国産ERPベンダーとして当社が足りていなかった領域の価値を顧客に提供できるようになる」と述べた。

 他方で、IFSもERP製品を手掛けているため、ワークスアプリケーションズとは競合にもなる。秦氏は、キーワードとして「2層ERP」と「コンポーザブルERP」、「競創」と「共創」を挙げ、ERPでの完全標準化と脱アドオンを推進したいなどと述べた。2層ERPとコンポーザブルERPは、IFSの資産管理とワークスアプリケーションズの財務会計の連携のような両社の得意領域を柔軟に組み合わせて利用できることを目指すという。「競創」と「共創」では、それぞれの強みを自社製品の競争力強化に生かしたり、互いに付加価値の創造を目指したりしていくものだという。

 大熊氏も、IFSのグローバルでの製品力に日本企業特有の業務プロセスなどを取り入れて日本の顧客に対応していく上で、ワークスアプリケーションズとの戦略的業務提携が重要になるとした。

 IFSは、今後もパートナーシップの拡大を推進していくといい、Carvalho氏は、「例えば、顧客の重要テーマの1つにサステナビリティーがあり、二酸化炭素の排出削減を推進していくための協業といった新たな価値を提供していくためのさまざまな協業を拡大したい」と話した。

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