「今のNECは何が得意なのか」と聞いてみた–森田社長は何と答えたか

今回は「「今のNECは何が得意なのか」と聞いてみた–森田社長は何と答えたか」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 最高経営責任者(CEO)の森田隆之氏が先頃、メディアの共同インタビューにオンラインで応じ、今後の事業戦略などについて語った。筆者はその中で、「今のNECは何が得意なのか」と聞いた。この質問に対し、森田氏は何と答えたか。

 森田氏は冒頭で、「NECにとってこの4月からスタートした2023年度は(2021年度から2025年度までの)中期経営計画の3年目であり、私が社長に就いて3年目となる。これまでの2年は順調な業績の伸びを示すことができた。そしてこれから3年間、中期経営計画を進めていくために最適だと考える事業セグメントとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)をドライバーとする『ITサービス』と、融合が急速に進んでいる宇宙、防衛、通信を対象とした『社会インフラ』を中心に、分かりやすい形態に再編成した。これによって、中期経営計画の目標達成に徹底してこだわっていきたい」とあいさつした(写真1)。

 筆者の質問におけるやりとりの前に、上記の森田氏のあいさつにあった「ITサービス」に関する質疑応答も興味深い内容だったので、まずはそちらの話題を取り上げよう。

 ITサービスに関する質問は、「2023年度から組織体制としてビジネスユニット(BU)を変更し、開示セグメントも変更してITサービスという大きなくくりにした。その狙いとして、対外的な分かりやすさを挙げているが、くくることで社内への波及効果をどう見ているのか。各BUは収益責任を持っており、組織のサイロ化など古くから言われてきた課題を越えてうまく連携して収益が出せる体制になり得るのか」といった内容だ。これに対し、森田氏は次のように答えた。

 「組織のサイロ化については、私を含めて当社のマネジメントを担う中核メンバーは複数の事業や業務の責任者を経験してきており、誰もそうした意識は持っていないと思う。特に今回の組織変更においてITサービス分野で重要なのは、全てのエンジニアリングリソースやテクノロジーリソースをデジタルプラットフォームBUに集結したことだ。今まで起きていた開発の重複は極めてできにくい形になり、逃げられない体制になった。また、ITサービスや社会インフラという緩やかな枠を設けたことによって、ビジネス面でのリソース配分について今までよりBUを越えた対応が取りやすくなった。全社で調整しなくても、お互いに合意すればスムーズに進められる形になっている。今回変更した組織は、中期経営計画を実行する上でこの先3年間変えるつもりはなく、これで遅滞なく動けるはずだと考えている」(図1、図2)

 続いて、「ITサービスとして、売り上げで年間平均二桁成長できると考えているか」との質問には、「そう考えているが、売り上げの成長はあまり意味がないと思っており、社内には利益を伸ばせと言っている。売り上げを伸ばしてもしようがない。利益伸長が大事。つまり、どれだけ自分たちの付加価値を高められるかが重要だ」

 上記のやりとりで印象が強かったのは、ITサービスという大きなくくりによって、あらゆるリソースを効果的に活用しようという狙いだ。ただ、質問にもあるように、NECにとって組織のサイロ化は長年の課題だ。それを打開するマネジメント力が問われることになる。

 一方、気になったのは、「利益重視」の発言だ。これは森田氏が以前から述べており、経営として正論だろうが、「売り上げを伸ばしてもしようがない」との発言は「ビジネスを大きくする気はない」との印象を与えかねない。表現の仕方が気になったことを記しておきたい。

 さて、本題である筆者の質問におけるやりとりに話を移そう。

 筆者の質問は、「最近、一般の人だけでなく従来からNECのことを知る人たちからも、今のNECは何が得意なのか、よく分からないという声を耳にすることが少なからずある。そうした人たちに共感と理解を得られるような、NECのビジネスにおける代名詞は何か」といった内容だ。

 これに対し、森田氏は次のように答えた。

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