IT部門社員を共有するユナイトアンドグロウが事業拡大する理由

今回は「IT部門社員を共有するユナイトアンドグロウが事業拡大する理由」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 「ITからデジタル、DXへ」と、ビジネスにテクノロジーを駆使する場面が広がる中、中小企業がIT人材を雇用するのは容易なことではない。フィットする外注先を見つけ出すのも難しい。そんな状況の中小企業に、自社のITシステム担当のように活用できる“シェアード社員”を送り込んでいるのがユナイトアンドグロウだ。中小企業はスキルレベルと料金が分かるシェアード社員を必要な時に必要なだけ使える。

 そんなビジネスを展開する同社は、2019年に株式を公開し、創業19年目の2024年12月期に売上高31億円超、営業利益5億円弱を見込む。社員数約270人になる同社の成長への道のりを探った。

 2005年5月、ユナイトアンドグロウ 代表取締役社長の須田騎一朗氏が中小企業のIT部門を助けたいとの思いから立ち上げたのがユナイトアンドグロウ。このビジネスを始めるきっかけは、同社を創業する前に立ち上げたテクニカルユーザーサポート会社の経営者として約8年間携わる中で、IT部門の人繰りに苦労したことがあったからだという。そこで、希望に合う外注先を探したものの、1社も見当たらなかったという。それならば、データベース(DB)システムを自ら開発するなどITシステムの活用に強い関心を持っていた須田氏自身が、「自分でやろう」と思い立ったというわけだ。

 しかし同氏は、IT部門をどのように支援するのかはっきり分かっていたわけではなかったため、思いつくことを全て試みたという。「うまくいくか、いかないかを確認し、次のステップに進める」と同氏は語る。なぜかというと、中小企業向けITサポートで大成功した事業会社は無かったからだ。手本がないため、ゼロから実験し、最適な方法を編み出すしかなかったということだ。

 例えば、「事務機器販売会社のようにIT関連機器を販売しながら、サポートする」「ITベンダーと中立の立場で、サポートだけを提供する」、さらには「顧客先に出向いてサポートする」「サポートセンターを設けて、遠隔地からサポートする」などだ。このほか、「定額料金でサポートする」「問題が発生したらその都度サポートし、料金を支払ってもらう」なども試行した。うまくいかないことはやめる一方、この方法なら拡大できると確認しながら続けた結果、今日の姿といえる「人の時間を売るという人海戦術的な方法に至った」という。

 業界関係者からは「このビジネスモデルではもうからないし、事業を拡大できない」などと指摘されたが、須田氏は「この方法が一番」と確信したという。中小企業がITを導入・活用する際に最も課題と感じているのは、IT人材の不在や不足に尽きるからだ。人が深く関わらない限り課題を解決できないため、「究極のサポートは、ユーザーのIT部門社員のように振る舞うこと」になる。

 だが、このビジネスは当初、赤字になってしまったという。ユーザーA社は月曜だけ、ユーザーB社は午後だけ、ユーザーC社は困った時だけ対応してくればいいとなり、シェアード社員の効率的な配置ができず、稼働率が低くなったからだ。社員20人程度の2006~2007年はその経営状況だったが、それでも人材を数多く採用しなければ「このビジネスは始まらない」と考え、赤字覚悟で人員を増やし続けた。須田氏は、「計算では、60人、70人になれば黒字化できる」と推測していたという。

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