ネットスコープとマクニカ、SD-WANの国内展開で協業–ゼロトラスト具体化も
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Netskopeとマクニカは5月9日、SD-WAN(ソフトウェア定義型WAN)の国内展開で協業すると発表した。金融や製造など多拠点を有し、ゼロトラストセキュリティ環境の整備を検討する企業などに提供する。
協業では、マクニカがNetskopeのSD-WANソリューション製品「Netskope Borderless SD-WAN」の国内1次代理店となり、大手顧客や2次代理店およびパートナーに販売する。マクニカでは、他に協業する認証やエンドポイントセキュリティ、セキュリティ運用管理などのベンダー製品とも組み合わせたソリューションを顧客に訴求し、ゼロトラストセキュリティモデルに基づくセキュリティ対策環境の実現を支援するとしている。
同日記者会見したネットワークス カンパニー バイスプレジデントの星野喬氏は、「2015年よりSD-WANおよびゼロトラストセキュリティに取り組んでいる。SD-WANのビジネスに大きな可能性を感じており、ネットスコープとの協業に期待したい」とコメントした。
Netskope日本法人カントリーマネージャーの大黒甚一郎氏は、2013年の創業時から一貫してクラウドセキュリティに注力し、クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)やデータ漏えい防止(DLP)、セキュアウェブゲートウェイ(SWG)、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)などのソリューションサービスを順次投入してきたと説明。現在は国内の顧客の78%がCASBとSWGをセットで導入しているといい、コロナ禍でのテレワークの拡大を背景にクラウドセキュリティの需要の高まっているとした。
CASBやSWG、DLP、ZTNAなどのソリューションは、「セキュアサービスエッジ」(SSE)、あるいはSSEを包含する「セキュアアクセスサービスエッジ」(SASE)と呼ばれるカテゴリーになる。両社が展開するBorderless SD-WANは、SSE/SASEとSD-WANの機能を一体的に提供するもので、これにより多拠点間通信をソフトウェアベースで動的に制御・運用可能なSD-WANと、オンプレミス/マルチクラウドにおけるセキュリティ対策を組み合わせたゼロトラストセキュリティ環境を具体化していけるようになるという。
マクニカとの協業について大黒氏は、「顧客は働き方改革への対応とそのセキュリティ対策の運用、コスト削減に課題を抱えており、マクニカの豊富な経験とノウハウでこれらの課題を解決していける。また、マクニカも手がけるサードパーティーのセキュリティやクラウドアプリケーションとも組み合わせることができ、顧客やパートナーへの手厚いサポートも期待できる」などと話した。
米Netskope グローバルソリューションアーキテクト部門長のMichael Koyfman氏は、企業における多拠点間通信のソリューションについて、まず2000年代前半にマルチプロトコルレイヤースイッチング(MPLS)の登場で20億~30億ドル規模の市場が生まれ、2010年代にはSD-WAN技術の台頭で市場が50億~60億ドル規模に拡大したと説明した。
SD-WANは、当初から複雑な多拠点間通信を効率的に運用できる有望な技術として期待されていた。だがコロナ禍以前は、SD-WAN自体のコストが高く、その必要性に迫られるほどの状態にある企業自体が少なかったことから、導入は交通など多拠点間を有する社会インフラ系企業などが中心だった。
だが2020年代は、コロナ禍によってあらゆる企業で多数の従業員が自宅などから社内外の業務システムやデータにアクセスするようになった。2020~2023年は、セキュリティ対策が先行してゼロトラストセキュリティの考え方や、ゼロトラストセキュリティを具体化するSSE/SASEが注目を集めている状況だが、SSE/SASEなどは本質的にSD-WANのネットワーク基盤において有効に機能するソリューションとされるため、Netskopeとマクニカの協業もその点に基づく取り組みであるようだ。Koyfman氏は、今後のSD-WAN市場の規模が120億~150億ドルになるとした。
Koyfman氏は、Borderless SD-WANの使い方について、社内外の分散する多数の従業員が社内外の業務システムやデータに接続するという現状の用途だけでなく、例えば、全国を走行する多数のトラックのリアルタイムな運行管理のための通信や、膨大な数のIoTデバイスとの通信や管理にも適用するといった想定用途も挙げた。
両社は協業初年で100社への導入を目指す。マクニカの星野氏は、まず多店舗展開する金融機関と世界中に生産拠点があるグローバル製造企業に提案するとし、次に在宅/オフィス勤務などのハイブリッドな働き方を推進する企業にも訴求していくと説明。顧客やパートナーのSD-WANの運用を支援するトレーニングメニューなども準備中だとした。
また、Koyfman氏が挙げた今後の使い方について星野氏は、「当社は半導体商社事業でも膨大な数のデバイスを取り扱っているので、ここにSD-WANを適用していく可能性は考えられる。とても将来性があるが、顧客がそうした用途を検討するのはさらに数年後だろう」との見解を示した。