ヴイエムウェアの変化を丁寧に伝えていく–アジアと日本の責任者に聞く現状

今回は「ヴイエムウェアの変化を丁寧に伝えていく–アジアと日本の責任者に聞く現状」についてご紹介します。

関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 Broadcomが2023年11月にVMwareを買収して以降、VMwareのビジネスモデルが大きく変化し、顧客やパートナーらにもさまざまな影響が生じている。「VMware by Broadcom」となってからの変化や現状などについてBroadcom アジア太平洋地域営業担当プレジデントのSylvain Cazard氏とヴイエムウェア 代表取締役社長の山内光氏に話を聞いた。

 VMware by Broadcomは、8月26~28日に米国ラスベガスで開催した年次イベント「VMware Explore 2024」で、企業のオンプレミス/プライベート市場に注力していく新たな方針と、そこでの中核製品となる「VMware Cloud Foundation 9」(以下VCF)などを発表した。また、イベント開催以前の2023年12月には、永続版ライセンスの販売を廃止してサブスクリプションに一本化するライセンス提供モデルの大きな変更も実施した。

 特にライセンスモデルの変更が顧客やパートナーらに与えた影響は大きく、今後のVMware利用に伴うさまざまなコストがどう変化するのかが不透明であるなど混乱が生じている。現在の国内市場では、VMwareを継続利用するか、それとも別のソリューションへ移行するのかなども大きな関心事となっている。

 まず製品体系は、サーバー仮想化の「vSphere」やストレージ仮想化の「vSAN」、ネットワーク仮想化の「NSX」といったITインフラの各コンポーネント製品がVCFに統合された。VCFは中~大規模環境向けの位置付けで、小規模環境向けの「VMware vSphere Foundation」(VVF)の2つのパッケージに集約された。

 この変更に対する日本の顧客やパートナーの反応について山内氏は、「とてもポジティブに受け止めていただいている。従来は8000種類以上の製品があり、大きく2つに簡素化した当社の方向性が明確になったと評価いただいている」と話す。

 Cazard氏も「日本では長年VCFでデータセンターを数多く構築してきた実績があり、製品自体の変化を懸念する声はほとんどない。他方で、日本で非常に重要なパートナーエコシステムについては大きく変わったため、現在まで長い時間をかけてパートナーの皆さまに説明を行っている状況だ」と説明する。

 新たなパートナーエコシステムでは、大きく「ハイパースケーラー」「クラウドサービスプロバイダー」「OEM」「ディストリビューター/リセラー」の4つがあり、それぞれで顧客に提供するモデルなども、既存内容の修正やVMwareの新たな製品/ライセンスに即した内容の新規開発など、対応が本格化していく。

 Cazard氏は、「パートナーのタイプごとにも確かに影響が出ているが、われわれ側がシンプルになったことで、パートナーのGo-To-Market戦略に幅の広がりが出たとの評価もある」と述べる。山内氏によれば、既存パートナー各社は、VMwareとの関係性を維持しているという。

 VMware by Broadcomが打ち出したオンプレミス/プライベートクラウド市場への注力という方針についてCazard氏は、「2025年の崖」問題への対応が大きな動向の1つとなっている日本市場の現状に合致すると説明する。

 「アジアの中で日本特有の動きがレガシーなITインフラのモダナイズ(最新化)だ。日本では大きな需要にある。また、日本はセキュリティやコンプライアンスへの要件が厳しいため、自社所有や専有的な利用を求める傾向が強い。われわれのオンプレミスやプライベートクラウドへのフォーカスは合致するものであり、ITインフラ製品の品質に対する要求が高い日本においてVCFはとても信頼され、実績のあるものになっている」

 「ITインフラのモダナイズとは、クラウドモデルを導入することでもある。コンポーネントを個別に調達して組み上げる伝統的なやり方だと、現代の動きの速いビジネスへの対応が難しく、システムが複雑化する原因にもなる。そうした要求もあるが、10年後のITインフラはクラウドモデルが標準になる。その将来に備えて、今このタイミングでわれわれは変化しなければならなかった。顧客が将来の変化で取り残されることなく、常により良いものを顧客へ提供し続けていくために必要だった」

 山内氏は、「われわれの中核技術そのものが変わるわけでないので、安心していただきたい。われわれの新しい提供モデルでは、(顧客やパートナーが)将来の変化に対応していくことが容易になるものと考えており、プライベートクラウドへの対応の成熟度に応じて段階的に展開していけるモデルも用意し、プライベートクラウドの本格的な導入を支援していく」と話した。

 ITインフラ製品分野におけるサブスクリプションモデルは、Hewlett Packard Enterprise(HPE)の「GreenLake」やDell Technologiesの「APEX」、Lenovoの「TruScale」などハードウェアベンダーが先行導入しているものの、普及ペースは緩やかだといわれる。VMwareでの見通しはどうか。

 Cazard氏は、「ITインフラ製品でのサブスクリプション導入は、われわれが最も遅い部類に入る。しかし、ソフトウェア製品では、サブスクリプションモデルが一般的になっているので、ハードウェア製品におけるサブスクリプションモデルの状況とは異なる。もちろんサブスクリプションモデルに抵抗感のある人も一定数おられるだろうが、われわれも例えば、オンプレミスやクラウドのさまざまな稼働環境で製品を利用できるライセンスのポータビリティーを実現しており、新しいモデルへの対応をこれからも丁寧に説明していく所存だ」と話している。

(取材協力:VMware by Broadcom) 

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