オリックス生命、開発テスト環境を大幅改善–自動化ツールで拘束時間が30分に
今回は「オリックス生命、開発テスト環境を大幅改善–自動化ツールで拘束時間が30分に」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
AIを活用したノーコードのテスト自動化ツールなどを提供するAutifyは10月17日、導入企業であるオリックス生命保険(オリックス生命)を招き、メディア勉強会を開催した。AIを活用したウェブサイトの開発や業務効率化、改善事例などについて説明した。
Autifyが提供する「Autify NoCode」は、AIを使ったノーコードテスト自動化ツール。エンジニアとして開発に従事してきたオーティファイ 最高経営責任者(CEO)の近澤良氏が、開発の重要な領域であり、コストも労力もかかる開発テストの工程を何とかしたいという思いから立ち上げた。
「日本のIT分野における開発力向上は急務となっている。2030年には80万人のIT人材が不足すると言われており、この状況を打破するアプローチとしてAutifyは、ソフトウェアテスト領域に注目している。システム開発の工数のうち、テストが占める割合は33%。繰り返し作業が多いテストは、AI化、自動化を使った効率化に非常に向いている。デジタル化を進める上でボトルネックの1つとなっているソフトウェアのテストをAIで効率化、自動化することによって解消していきたい」(近澤氏)とテスト自動化の重要性を話した。
オリックス生命では、2020年ごろからテスト自動化の取り組みを開始。現在、協力会社のスタッフを含む約150人がAutify NoCodeにアクセスできる環境を整えている。
「オリックス生命では、ご契約者向けのウェブサイトに給付金を請求できる機能がある。数年前までは紙での手続きだったが、どうしても時間がかかってしまうため、ウェブサイトから請求できるメリットはとても大きい。ただ、ご利用いただくタイミングが、入院や手術など精神的にも身体的にも苦労されている時のため、『ブラウザーのバージョンアップがあったからボタンが出なかった』では済まない。品質を担保するためにもテストは重要で、これがテストの自動化を強く進めてきた背景の一つ」(オリックス生命保険 ITプロダクトマネジメント部の松井康浩氏)と説明する。
以前は、PC、スマートフォン、タブレットと全て手動でテストしていたというが、2020年からはリグレッションテスト(回帰テスト)、2022年からはマルチブラウザーテストを自動化したほか、スマートフォンにおける手動の実施テストは操作確認のみになるなど、大幅な効率化に結びついているという。
なかでもスマートフォンは、250分かかっていた手動テストが、自動化により30分まで短縮できた。「手動テストではテスト端末の準備から、エビデンス作成、テスト効果検証と約70のステップを3機種のスマートフォンで実行し、250分程度の時間がかかっていた。Autify NoCodeを使うと、スタートボタンを押すだけで、あとは自動的に操作し、エビデンスも保存してくれる。人間は最終確認をすればよいだけになる」(松井氏)と、大きな効果を上げる。
現在、オリックス生命では、週1回のテストを実施し、リリースしていくのが平均的な運用。Autify NoCodeを使い、土曜日と日曜日にスマートフォンのテストを実施し、月曜日に確認するのがルーティンになっているという。
「スマートフォンにおける手動テストでは、3機種をテストしていたが、Autify NoCodeでは細かいバージョンなども含め100以上の環境でテストができる。こうした環境を整えられたことは非常に有効だと思うが、それ以上に効果を感じているのが『マインド変革』。リグレッションテストは多くの数をこなすといった文化が社内にあまりなかったが、今では『リグレッションテストは実施した?』という声が聞こえてくるようになった。テストは自動化するものという考え方が社内に浸透してきている」(松井氏)
今後については「生成AIを使い、テスト設計の部分も自動化していきたい。自動化によりできた時間は、高度な作業や検討の時間に当てていきたい」(松井氏)とした。