「ジョブ型」と「AIエージェント」はセットで考えるべきではないか
今回は「「ジョブ型」と「AIエージェント」はセットで考えるべきではないか」についてご紹介します。
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異なる分野のモノやコトを掛け合わせることで、これまで達成できなかった効果や見えなかった問題が浮き彫りになってくる――。そんな発想から、本稿では人事分野の話である「ジョブ型」の働き方とIT分野の話である「AIエージェント」の活用を掛け合わせると、どんなことが起きるのか、考察してみたい。
ジョブ型は、人材を適材適所でなく「適所適材」で生かそうという人事制度で、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で効果的な施策とも言われている。
ジョブ型人事制度とは、ジョブ(職務)内容を明確にした雇用形態と、それに基づく採用、人材配置、評価の仕組みのことを指す。雇用形態として注目されがちだが、この制度の導入は、「今いる人材で何ができるか」という従来のメンバーシップ型の発想から、「事業戦略を遂行するためにどんな人材が必要か」という考え方への、人的資本と組織の在り方に対する戦略的アプローチの転換を意味する。
また、メンバーシップ型は人が会社に就く「就社型」、ジョブ型は職務に人を就ける「就職型」とも言われる。ただし、前者は新卒採用で能力やスキルがなくても教育を施して終身雇用を前提とするが、後者は職務遂行に対する能力やスキルで評価され、それらが足りないと判断されれば解雇もあり得る。さらに、前者は労働時間で管理されるが、後者は時間に関係なく成果で評価されることも重要なポイントである。
一方、AIエージェントは、2024年後半から注目されるようになり、2025年に入って一気にブレイクしたような話題沸騰ぶりだ。生成AIの出現も衝撃的だったが、そこから進展したAIエージェントは、企業にとって非常に大きなインパクトをもたらすものになりそうだ。
AIエージェントは、業務のタスク処理を効率化できる生成AIから進展して業務のプロセスを効率化、さらには自動化できるので、コスト削減や生産性向上といった業務改善効果が期待される。さらにさまざまな業務のAIエージェント同士が連携して自律的に作業を実施するようになると、もっと広い範囲の業務プロセスの効率化が可能となり、人間を強力にサポートしてくれる存在となり得る。
ただ、AIエージェントはそれを操る人がうまく使えないと業務に支障をきたす事態に陥ってしまう可能性もある。そのため、AIエージェントをうまく使えない人は、すなわち「仕事ができない人」と評価されて人員整理の対象になってしまいかねない。
以上、ジョブ型とAIエージェントについて解説してきたが、果たしてこの両者の相性は良いのか良くないのか。良いとしたら、どのような効果を期待できるのか。良くないとしたら、どんな問題が浮き彫りになってくるのか。以下、筆者なりに考察してみたい。