Web3.0の金融プライバシー競争で主要プレイヤーを味方につける「Secret Network」
今回は「Web3.0の金融プライバシー競争で主要プレイヤーを味方につける「Secret Network」」についてご紹介します。
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本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
世界経済を支えている現実の世界で、私たちは自分の金融活動のすべての側面をさらけ出すことはない。例えばクレジットヒストリーや銀行取引履歴など、自分の経済的なデータにアクセスできる相手を、どのような状況であれ選択したいと考えている。ブロックチェーンの世界の問題点は、このような金融プライバシーが実際には存在しないことだ。そのため、悪意のある人物がパブリックブロックチェーン上での誰かの取引を見た直後に、その人を利用することができる「フロントランニング」という行為などの悪用が行われている。求められているのは、この問題を解決するための真のインフラ整備であり、それなしには「DeFi」(分散型金融)において、暗号資産の理想の実現はあり得ない。
そのため、ブロックチェーンファイナンスの領域で名の知られている組織が、Secret Network(シークレットネットワーク)ブロックチェーンのネイティブコインであるSCRTに1150万ドル(約12億5100万円)相当の投資を行っていることは極めて大きなことだ。この投資はArrington Capital(アーリントン・キャピタル)とBlocktower Capital(ブロックタワー・キャピタル)が主導し、Spartan Group(スパルタン・グループ)とSkynet Trading(スカイネット・トレーディング)も参加している。
Secretへのこれまでの投資家には、Outlier Ventures(アウトライヤー・ベンチャーズ)、Fenbushi Capital(フェンブシ・キャピタル)、Hashed(ハッシュド)の他、Secret Foundation(シークレット・ファウンデーション)やEnigma MPC(エニグマMPC)、Figment(フィグメント)やStaked(ステークト)などのノード運用者がいる。
Secret Networkファウンデーションの創設者であるTor Bair(トール・ベア)氏は次のように述べる。「シークレットのエコシステムに貴重で経験豊富なパートナーが加わったことは、Secret Networkが急成長しているアプリケーション層の拡大とサポートに集中するさなかで重要な変曲点となることでしょう」。
事業転換前はEnigma(エニグマ)と呼ばれていたSecret Networkは、プライバシーを最優先する最初のスマートコントラクトプラットフォームであると主張している。(このブロックチェーンの最初のバージョンはEnigma Mainnet[エニグマ・メインネット]と呼ばれていたが、このブランディングは2020年夏のガバナンス投票によってSecret Networkに変更された)。
2021年のこれまでに、Secret Networkのエコシステムは、プライバシー保護機能を備えた「フロントランニングに強い」クロスチェーンAMMであるSecretSwap(シークレットスワップ)など、いくつかのネイティブアプリケーションを発表している。また、Secret NFTs(シークレットNFT)の開発も進めている。
では、なぜこれらのプライバシーが重要なのか?なぜ私たちがこのようなことを気にするべきなのか?それは単純に、プライバシーがなければ、DeFiが主流になる可能性は極めて低いからだ。
取引におけるプライバシーがなければ、従来の経済システムにおいて、Bitcoin(ビットコイン)の価格が上がるか下がるか以外の点で暗号資産やブロックチェーンが注目されることはないだろう。
確かに、この分野に取り組んでいるのはSecret Networkだけではない。同じ分野で活躍しているのはPhala(メインネットにはまだ掲載されておらず、Polkadot[ポルカドット]をベースに構築されている)、Oasis、Aleoなどのブロックチェーンプロジェクトであり、これらは最近Andreessen Horowitz[アンドリーセン・ホロウィッツ]経由で資金調達を行ったばかりだ。
これらのプロジェクトに共通しているのは、Web3.0の「アプリケーションプライバシー」と呼ばれる空間における競争だ。これらのプロジェクトは、私たちが伝統的な金融システムには期待するようになったが、ブロックチェーンの世界ではまだ実現していない金融プライバシーを再生しようとしている。
しかし、このアプローチをMonero(モネロ)やZcash(ジーキャッシュ)のようなプライバシーコインと混同するべきではない。これらはコインであり「プログラマブルプライバシー 」と呼ばれるものを目指している上記のプロジェクトとはまったく異なる。
ベア氏はこう語る。「(プライバシーコインによる)取引上のプライバシーは、取引の単純な側面を他の当事者から隠すということに過ぎず、狭い範囲のプライバシーです。スマートコントラクトのプライバシーは、私たちが『プログラマブル・プライバシー』と呼んでいるもので、より強力なアイデアです。開発者は、データのプライバシーを保護しつつ、複雑な分散型でパーミッションレスのアプリケーションを構築することができ、Web3.0のセキュリティとユーザビリティに大きな影響を与えます。例えとして、非中央集権的なFacebookを構築することを想像してみてください。通常のブロックチェーンは、デフォルトですべてのデータを公開してしまい、これはユーザーのプライバシーとセキュリティにとってはるかに悪い結果をもたらします。スマートコントラクトのプライバシーだけが、ユーザーエクスペリエンスを損なうことなく、また安全性を脅かすことなく、このようなタイプの複雑なアプリケーションを構築することができます」。
フロントランニングとは、未来に起こる既知の取引が発生する前にその取引を最初に行ってしまうことであるとよく言われる。シークレットでは、スマートコントラクトとのやりとりがすべて暗号化されており、ネットワークの検証者であっても見ることができないため、プロトコルレベルでこの問題を防いでいるとベア氏は主張する。「そのため、Secret Network上に構築されたすべてのDeFiアプリケーションは、デフォルトでフロントランニング耐性を備えているのです」と彼はいう。
とはいえ、シークレットは、例えばEthereum(イーサリアム)にすでに存在するAutomata(オートマタ)のような無数のプライバシープロジェクトと競争しなければならない。Secret Networkは独立したブロックチェーンであり、成功させるためには開発者コミュニティを必要とする一方で、イーサリアムやポルカドットは技術的に先行している。しかし、これらのブロックチェーンはデフォルトではパブリックだ。つまり、シークレットがプライバシーの問題に重点を置いていることで、シークレットがこの領域の主要なプレイヤーとなる可能性がある。
ベア氏はこうコメントしている。「DeFiの世界でユーザーと開発者にこのレベルのコントロールを与えることができるのは、プログラマブルなプライバシーだけなのです。プログラマブルなプライバシーがなければ、DeFiは純粋に投機的な活動以外で大規模に普及することはないでしょう。Secret Networkは、ユーザーの保護を強化すると同時に、従来の機関が機密データを保護しながら安全に参加できる、新しいタイプのDeFiアプリケーションの基盤になることを目指しています。また、ブロックチェーンの短期的な成功のために必要なのは、何千人もの開発者ではなく、初期の極めて重要なアプリケーションを構築できる適切な開発者なのです」。
さらにシークレットには、ブロックチェーンの分散化という性質上「勝者がすべてを手に入れる」環境ではない(大規模なビッグテックのプラットフォームの成長によってインターネット全般はそうなったが、ブロックチェーンでそれが起きると分散化の意味に反する)という好事実がある。ベア氏によれば「Secret Networkのビジョンは、すべてのパブリックブロックチェーンのデータプライバシーハブになることであり、イーサリアムのようなネットワークと競合するのではなく、協力することです(イーサリアムにはすでにブリッジと、アセットロックとして1億ドル、約108億5600万円以上があります)」。
Secret Networkは、2020年9月にメインネットで開始したが、自身のことをプライバシーを守るスマートコントラクトを搭載した最初のブロックチェーンの1つであると主張している。これはつまり、Secret Network上で構築されたすべての分散型アプリケーションが、デフォルトでデータプライバシーを持つことができるということだという。Secret Networkのブロックチェーン自体はCosmos SDK / Tendermintをベースにしており、独自の独立したコンセンサス、オンチェーンガバナンス、スラッシュやデリゲーションなどの機能を備えている。当ブロックチェーンはネイティブコインであるシークレット(SCRT)によって保護されている。SCRTは、ネットワークの検証者がステーキングする必要があり、取引や計算の手数料、ガバナンスに使用されている。
今回の投資について、Arrington Capitalの創業者であるMichael Arrington(マイケル・アーリントン)氏は次のように述べる。「シークレットは、プライバシーを優先した初のブロックチェーンエコシステムです。金融面でのプライバシーは個人の自由にとって極めて重要であり、Arrington Capitalは長年にわたり金融面でのプライバシーと検閲への耐性に尽力してきました。分散型金融の急速な拡大により、Secret Networkのようなソリューションは、DeFiエコシステムにタイムリーに加わることになります」。(Arrington Capitalは、以前TechCrunchの創業者でもあったアーリントン氏が設立した企業だが、彼は最近は創立者としての肩書きには関与していない)。
英国のOutlier Venturesの創業者でシークレットの支援者でもあるJamie Burke(ジェイミー・バーク)氏は、次のように語る。「プライバシーは、DeFiからNFT、そしてその先まで、Web3.0のセキュリティと導入に不可欠なものです。Secret Networkは、この分野に新しくユニークなプライバシー機能をもたらし、その結果、次世代のWeb3.0アプリケーションの成功の基盤となると信じています」。
Secret Networkは、Sienna Network(シエナ・ネットワーク)などのDeFiプレイヤーからも支持を得ている。プライバシーDeFi企業のチーフエバンジェリスト兼コアコントリビューターであるMonty Munford(モンティ・マンフォード)氏は、次のように語る。「世界中のあらゆるネットワークの中からSecret Networkを選んだのは、それが極めてよく考えられて作られているからです。彼らはプライバシーを理解し、我々はDeFiを理解している。私たちは最高の組み合わせなのです」。
画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images
【原文】
In the real world — the world on which the global economy runs — we don’t expose every aspect of our financial activity in public. We want to be able to select which parties can access our financial data and under what circumstances — for example, our credit history or bank transactions. The problem with the blockchain world is that this financial privacy doesn’t really exist. This has led to pretty bad abuses, such as the practice of “front-running,” where a nefarious person can take advantage of you immediately after seeing your transaction on a public blockchain. What’s required is a real infrastructure improvement to this problem, for, without it, the crypto “Shangri-La” of “DeFi” (decentralized finance) will never have a hope of taking off.
It’s therefore significant that some well-known organizations in the realm of blockchain financing are investing the equivalent of $11.5 million into SCRT, the native coin of the Secret Network blockchain. The investment was led by Arrington Capital and Blocktower Capital and also includes Spartan Group and Skynet Trading.
Previous investors in Secret include Outlier Ventures, Fenbushi Capital and Hashed, as well as Secret Foundation and Enigma MPC, and node operators such as Figment and Staked.
Tor Bair, founder of Secret Foundation said: “The addition of these valuable and experienced partners to the Secret ecosystem marks a significant inflection point for Secret Network as we concentrate on expanding and supporting our fast-growing application layer.”
Secret, which used to be called Enigma before a pivot, claims to have been the first privacy-first smart contract platform. (The first version of this blockchain was called the “Enigma Mainnet,” but this branding was changed to Secret Network via a governance vote in summer 2020).
So far in 2021, the Secret Network ecosystem has launched several native applications, including SecretSwap, a “front-running resistant,” cross-chain AMM with privacy protections. It is also developing Secret NFTs.
So why is this at all significant? Why should we care? It’s simply because, without privacy, DeFi is highly unlikely to go mainstream.
Without privacy in transactions, the traditional economic system won’t bother taking any notice of crypto and blockchain, outside of noting whether the price of bitcoin goes up or down.
Admittedly, Secret is not the only player tackling this area. It is playing in the same arena as blockchain projects such as Phala (not yet on mainnet, and built on Polkadot), Oasis and Aleo, which recently just fundraised via Andreessen Horowitz.
What these projects all have in common is this race toward what’s known as the Web3 “application privacy” space. Once again, they are trying to reproduce the kind of financial privacy that we have all come to expect from the traditional financial system, but which remains elusive in the blockchain world.
However, this approach should not be confused with privacy coins like Monero and Zcash. These are coins, and therefore not the same at all as the above-named projects, which are aiming at what’s known as “programmable privacy.”
Bair told me: “Transactional privacy [via privacy coins] just means hiding simple aspects of transactions from other parties — a narrow form of privacy. Smart contract privacy — what we call ‘programmable privacy’ — is a much more powerful idea, allowing developers to build complex decentralized and permissionless applications that also protect data privacy, with big consequences for Web3 security and usability. As an analogy — imagine trying to build a decentralized Facebook. Normal blockchains expose all data by default, a much worse outcome for user privacy and security. Only smart contract privacy allows you to build these types of complex applications without compromising the user experience and threatening their safety.”
Front-running is often described as getting a transaction first in line before a known future transaction occurs. Bair claims Secret protects against this at the protocol level because all interactions with smart contracts are encrypted and cannot be viewed even by the network validators, “so all DeFi applications built on Secret Network are front-running resistant by default” he told me.
That said, Secret will still have to compete with the myriad privacy projects already on — for instance — Ethereum, such as Automata. The Secret Network is a standalone blockchain and would still require a developer community to be successful, versus Ethereum and Polkadot, which technically have a head start, of sorts. But these blockchains are public by default. So Secret’s hyperfocus on the issue of privacy may yet make Secret a major player in this realm.
Bair commented: “Only programmable privacy can give users and developers this level of control in the DeFi world. Without programmable privacy, DeFi will never achieve mass adoption outside of purely speculative activity. Secret Network intends to become the foundation for new types of DeFi applications that better protect users while also allowing traditional institutions to participate securely, with protections for sensitive data. Also, blockchains don’t need thousands of developers to succeed in the short term — they need the right developers who build the early critical applications.”
Furthermore, Secret has in its favor the fact that due to the whole nature of decentralization of the blockchain, the space isn’t nearly as much a “winner-take-all” environment as the general internet has become due to the growth of the large Big Tech platforms — that would be counter to the point of decentralization. As Bair told me: “Secret’s vision is to become a data privacy hub for all public blockchains, collaborating more than competing with networks like Ethereum (to which we already have a live bridge with over $100 million in assets locked).”
Secret Network claims it was one of the first blockchains to feature privacy-preserving smart contracts, which it launched on mainnet in September 2020. It says this means all decentralized applications built on Secret Network have data privacy by default. The Secret Network blockchain itself is based on Cosmos SDK/Tendermint, giving it its own independent consensus, on-chain governance, and features like slashing and delegation. It is secured by the native coin Secret (SCRT), which must be staked by network validators and is used for transaction and computation fees as well as governance, said the foundation.
Commenting on the investment, Michael Arrington, founder of Arrington Capital said: “Secret is the first blockchain ecosystem to prioritize privacy. Financial privacy is critical to individual freedom, and Arrington Capital has long been committed to financial privacy and censorship resistance. The rapid expansion of decentralized finance makes solutions like Secret Network a timely addition to the DeFi ecosystem.” (Arrington Capital was established by Arrington, who was also previously the founder of TechCrunch, but who has no involvement in the title these days).
Jamie Burke, founder of Outlier Ventures in the U.K. and a Secret backer, told me: “Privacy will be essential to the security and adoption of Web3, from DeFi to NFTs and beyond. Secret Network brings new and unique privacy functionality to the space, and as a result we believe it will be foundational to the next generation of successful Web3 applications.”
Secret is also getting support from DeFi players such as the Sienna Network. Monty Munford, Chief Evangelist and Core Contributor to the privacy DeFi company told me: “Of all the networks in all the world, we chose Secret because it was a yes-yes-yes brainer. They understand privacy and we understand DeFi; it’s a match made in heaven.”
(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)
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