セールスフォースが考えるカスタマーデータプラットフォーム–その役割と日本の状況
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米Salesforce.comの日本法人であるセールスフォース・ジャパンは1月18日、「デジタルファースト時代におけるカスタマーデータプラットフォームの役割とSalesforce CDP」と題して記者説明会を開催した。
今回の説明会は、SalesforceでMarketing Cloud戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるMartin Kihn氏とグローバルプロダクト マーケティング バイスプレジデントを務めるChris Ohara氏が執筆したカスタマーデータプラットフォーム(CDP)に関する書籍の日本語版「カスタマーデータプラットフォーム デジタルビジネスを加速する顧客データ管理」の出版に合わせて開催された。
Kihn氏は、CDPについて、マーテックのカテゴリーで今とてもホットなトピックと述べる。
データを取り巻く状況が急速に変化しており、北米、欧州、アジアのどの市場でも業界を問わず、マーケターにとって厳しい状況だとKihn氏。個人情報保護や規制、データに関する消費者の関心の高まりなどにより、マーケターが使えるデータの定義が変わってきているという。顧客や見込み顧客の同意に基づいた情報をリアルタイムでマーケティングや広告で使うことになり、CDPが統合プロファイルを使うための中心なってくると同氏は述べる。
「データの引力」という言葉があるように、顧客のデータをより多く持てば、エンゲージメントが高まり、それにより顧客の情報がより多く入ってくるということが起こる。Kihn氏は、顧客のデータをより多く持ち、有効に活用することが競合上の優位性になると説明する。
Ohara氏によると、企業での課題として、顧客データがコマース、セールス、コールセンターといったさまざまな領域に分断され存在していることがあるという。そのため、分断されている情報をまとめて一人の人としての統合プロファイルを作る必要があるが、このような「信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth:SSOT)」を個々の顧客に対して持つということは、ハードルの高い課題だという。
そのため、Salesforceでは、CRMやマスターデータ管理(MDM)のようなデータからインサイトを得るためのシステムとカスタマーエクスペリエンス管理に使われるエンゲージメントのためのシステムを1つにまとめたとOhara氏。これにより、一人の顧客に関するデータが数多くあったとしても、統合されて一人の人として作業でき、データの価値を高めることができるという。
SalesforceのCDP製品「Salesforce CDP」は、顧客データを統合し、人工知能(AI)を活用することで顧客とのあらゆるやり取りをパーソナライズし、それを大規模に実現することが目的とマーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャーである前田恵氏は説明する。
既知のデータに加えて、未知のデータを顧客の同意を得た上で収集し、そのデータを集約して顧客IDを統合して、顧客一人ひとりを一人の個人として把握。そのデータを活用することで、マーケティング、コマース、サービス、セールスでよりパーソナライズされた顧客個人一人ひとりに寄り添うやりとりを実現する。膨大なデータからAIでインサイトを引き出し、実施したアクションを分析して成果を把握することで改善や意思決定をスピードアップする。そして、顧客に寄り添うマーケティングにつなげられるようにするという。
Salesforce CDPは、全ての活動の中心に顧客を据える「Salesforce Customer 360」というコンセプトに基づいている。Salesforce Customer 360は、マーケティング、コマース、サービスなど全てのチームを1つの顧客情報管理(CRM)プラットフォームに統合する。Salesforce CDPは、Salesforce Customer 360の実現を支えるSSOTとしてSalesforce製品と連携することで、その真価を発揮すると前田氏。