2023年、企業はBCP対策として地政学リスクにも目を向けよ
今回は「2023年、企業はBCP対策として地政学リスクにも目を向けよ」についてご紹介します。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)によって経営改革を進める企業にとって、事業継続計画(BCP)対策はこれまで以上に重要な取り組みとなりつつある。その現状はどうなのか。最新の調査結果を見ると、気になるリスクへの対応不足が浮かび上がってきた。今回の「一言もの申す」では、「2023年、企業はBCP対策として地政学リスクにも目を向けよ」と訴えたい。
日本能率協会が先頃発表した「当面する企業経営課題に関する調査―BCP策定の状況と課題」の結果によると、「自然災害時のBCPは6割超の企業が策定済み」の一方、「地政学リスクに対しては9割超が未策定」であることが明らかになった。調査は2022年7月から8月にかけて全国の企業経営者を対象に実施し、689社から回答を得たという。
同調査がリスクとして挙げたのは、「巨大地震・台風などの自然災害」「感染症・パンデミック」「サイバーテロなどの情報セキュリティリスク」「サプライチェーンの毀損」「急激な為替変動」「紛争・戦争等の地政学リスク」の6つだ。
各リスクに対する企業のBCPの取り組み状況は図1に示すように、巨大地震・台風などの自然災害に対して全体の61.4%が策定済みということで、6つのリスク項目の中で最も策定が進んでいる結果となった。この自然災害に対しては、現在BCPを策定していない企業でも、「計画策定中」「これから検討する」が共に17%程度で「取り組む予定なし」はわずか3.0%と、最も計画策定が進んでいるリスクとなっている。
企業規模別で見ると、自然災害は大企業の80.0%が策定済みだが、中小企業では43.5%にとどまっている。他のリスクも同様に、企業規模が大きいほど「計画策定済み」の割合が高く、企業規模でBCPの取り組み状況に違いがあることが見て取れる。
同協会ではこうした企業規模による違いを受けて、「BCPの策定は、緊急事態が起こった時にできるだけ早く平常時に戻すだけでなく、取引先からの信用や、市場関係者からの評価につながる。現在は大企業の取り組みが先行しているが、今後は中堅・中小企業についてもBCPの策定がより進むことが期待される」との見方を示した。
図1に示したリスクの中でサプライチェーンの毀損に目を向けてみると、これに対するBCPを策定している、もしくは検討予定のある企業(533社)に対して、具体的なサプライチェーンの見直し内容を尋ねたところ、図2に示すように「調達先企業の分散化(集中の是正)」が55.3%で最も高く、次に「日本国内でのサプライチェーン確保」(39.4%)が続く結果となった。