日本HP新社長が「第2の創業」を打ち出した理由
今回は「日本HP新社長が「第2の創業」を打ち出した理由」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏と、NEC 新事業推進本部 本部長の新井智也氏の発言を紹介する。
日本HPは1月20日、今後の事業展開についてオンラインで記者説明会を開いた。冒頭の発言はその会見で、2021年11月1日付けで同社の社長に就任した岡戸氏が経営トップとしての意気込みを示したものである。
岡戸氏は会見の冒頭で次のように語り始めた。
「2022年は先行きが不透明なスタートとなったが、コロナと共存しながらデジタルトランスフォーメーション(DX)やハイブリッドワークが加速していく変化の年になるだろう。私はこれまで日本HPでビジネスの立ち上げや変革を推進してきたので、変化は望むところだ」
さらに、経営トップとしての意気込みをこう表現した。
「今年は寅年。私は4回目の年男となる。『虎穴に入らずんば虎子を得ず』のことわざのように、このような変化の時だからこそ、リスクをとって大胆な施策を打ち、果敢にチャレンジしていきたいと思っている。日本HPの社長として『第2の創業』との思いで、この会社を新しく創り上げていきたい」
冒頭の発言は、このコメントから抜粋したものである。
グローバルでPCやプリンティング事業を中心にビジネスを展開するHPは、2021年10月期の業績で、売上高約7.3兆円という巨大企業だ。それだけにPCやプリンティングの市場における影響力も大きい。
岡戸氏は会見で、日本HPの両市場での事業展開について説明したが、その内容は他稿に委ねるとして、ここではグローバルのPC市場の動きについて、同氏が興味深い説明を行ったので取り上げたい。
同氏は図1を示しながら、2024年のグローバルのPC市場規模について、HPの予測を説明した。それによると、周辺機器やサービスを合わせて64.4兆円規模になるという。
興味深いのは、図1の右上に記されている「1.5倍」という数字だ。これは、64.4兆円という規模が新型コロナによる影響以前の2019年に予測した金額と比較して50%増えるということだ。
この予測について、同氏は次のような見解を示した。
「ニューノーマルのワークスタイルや生活様式において、PCは重要なデバイスであることが再認識され、今後もその価値が高まっていく成長市場であると、私たちは考えている。ただ、ワークスタイルや生活様式が変化する中で、PCの使い方もゼロベースで創り上げていく必要がある。第2の創業と言ったのは、そうした決意の表れでもある」
4回目の年男は、経営者として脂がのるところか。弁舌の爽やかさが印象的だった岡戸氏の経営手腕に注目していきたい。