海賊、麻薬、汚染、違法漁業など海上監視に最適化された産業ドローン用AI特化のTekeverが約26億円調達

今回は「海賊、麻薬、汚染、違法漁業など海上監視に最適化された産業ドローン用AI特化のTekeverが約26億円調達」についてご紹介します。

関連ワード (問題発生時、急速、観察等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


産業用ドローンは、消費者が余暇に楽しむ無人航空機を事業用に補完するものである。その市場は、バッテリー寿命やリーチ、パフォーマンスを向上させるソフトウェアおよびハードウェアテクノロジーの新しい波と、データオペレーション活動の強化を目的にこれらのサービスに投資する企業の増加を追い風に、急速に拡大している。米国時間1月25日、海上展開向けドローンのAI開発に特化した企業が、そのデバイスとサービスに対する強い需要を見据えて、資金調達ラウンドを発表した。

水上の活動を監視および検知するAIを組み込んだドローンを手がけるTekever(テクエバー)が、2000万ユーロ(現在のレートで2300万ドル[約26億円]弱)を調達した。このラウンドをリードしたのはVentura Capital(ベンチュラ・キャピタル)で、Iberis Capital(イベリス・キャピタル)と海洋産業からの複数の匿名の戦略的投資家が参加した。同社は今回調達した資金を、人材の雇用拡大とテクノロジー開発の継続に活用する予定である。

歴史的な海洋大国ポルトガルのリスボンに本拠を置くTekeverは、2001年に設立され、2018年から商用サービスを開始した。だが同社はすでにかなりの期間にわたって収益性を確保しており、今後3年間でCAGR(年平均成長率)60%の成長を見込んでいる。そして実際、これは同社にとって初めての外部資金調達であり、ビジネス機会の増大にともない、テクノロジーの拡張、そしてより広範な組織への販売を視野に入れたものである。

Tekeverの顧客には、違法行為に備えて水域を監視する目的で同社のサービスを利用している各国政府および政府機関が含まれる。また、民間の船舶会社やその他の海洋関連会社も、気象パターンや水上交通など、事業にインパクトを与える可能性のある物理的活動をドローンで追跡している。

Tekeverを創業したのはインテリジェンスとAIの専門家チームで、共同創業者兼CEOのRicardo Mendes(リカルド・メンデス)氏は、自社を垂直統合ビジネスとして位置づけている。同社はドローンと塔載テクノロジー両方の設計と構築を手がけており、そのテクノロジーは、機体の下に広がる水上で起きていることの監視と「読み取り」、さらには次に何が起こるかの予測を行う。

垂直統合されたドローン会社はそれほど珍しいものではないが、より独自性のある側面として、Tekeverがそのスタックを構築した順序を挙げることができる。

「私たちは、ドローン業界の他のどの企業とも正反対の方向からスタートしました」とメンデス氏は冗談交じりに語った。同社はまず地形(同社の場合は水域)を読み取るテクノロジーの構築に着手し、その後、自社のソフトウェアを動作させる目的に適したドローンを構築した。それには機体自体に組み込まれる特別仕様のアンテナ、センサー、電力機能などが含まれている(このことは、現時点では、同ソフトウェアが他の航空機で動作することを本質的に不可能にしている)。一方でこのソフトウェアは、エッジAI、衛星通信、クラウドコンピューティングを組み合わせて使用するように設計されている。

ドローン専用のハードウェアを自前で構築するのは難しい(そして費用がかかる)。しかし、それは同社にとって意図されたものであった。Tekeverは両方のコンポーネントを販売しているが、最も広く展開されているのは、自社フリートのオペレーション、そして「Atlas(アトラス)」というブランド名の、メンデス氏が筆者に「サービスとしてのインテリジェンス」と形容した、ドローンを使った監視サービスの販売である。同氏によれば、このアプローチは同社のプロダクトを可能な限り広範にアクセス可能にするために特別に取り入れられたもので、翼幅2メートルから最大8メートル、飛行時間が20時間にも及ぶドローンは、最大規模の顧客以外にはコストが高すぎることが背景にあるという。

「私たちが答えを出そうとした問いは『富裕国に限らず、世界中で手軽にこれを利用できるようにするには、何をする必要があるだろうか』というものでした」と同氏は語っている。「ドローンはバリューチェーンの一部にすぎません」。

Tekeverがどのように利用されているかの例として、欧州海上保安庁(EMSA)と英国内務省の両方が顧客である一方、アフリカの小さな共和国も顧客に含まれている。こうした機関では、海賊行為、麻薬、人身売買、移民の密入国、汚染、違法漁業、インフラの安全上の脅威に関与する船舶を監視する目的で、同社のテクノロジーが幅広く使用されている。

The Guardian(ガーディアン)紙が最近報じたところによると、欧州の政府機関は難民グループの監視体制強化に向けて、ドローンやその他の軍事技術に数百万ユーロ(約数億円)を投資しているという。これらの投資は不法移民を抑止するものではなく、脆弱な人々に対してさらに危険なルートを取るよう促すだけであるという明確なメッセージがそこには記されている。この分野の他の企業の中には、Anduril(アンドゥリ)のように、彼ら自身の論争を踏み台にして莫大な金銭的報酬を得ていると思われる企業もある。しかし、TekeverのCEO兼創業者は、自身の会社が市場の特定の技術的ギャップを埋めるということだけではなく、その利用は害をもたらすよりも利益をもたらすものであることを確信している。

関連記事:Oculus創業者が起ち上げたAI防衛企業Andurilの評価額が約5000億円超に

「海のような広大な領域では、何が起きているのかわからないことが多く存在します」と同氏はいう。一般的に、組織は水上で起きていることの状況把握を衛星画像に頼ってきたが、ほとんどの衛星画像はユーザーが見るときには数日経過しているため、その方法は理想的ではない。「漁業、密輸、人身売買、移民、これらはすべて、リアルタイムのインテリジェンスが必要な分野です。当社のソリューションは単なる映像にとどまらず、問題解決の糸口になるものです。その目的は、悪い事象が発生する前に行動できることに置かれています」。Tekeverは予測的アナリティクスも使用しているため、何が起こるかを予見することができる。

「私たちが行っているのは、問題発生時にその問題を解決する膨大な量のデータを収集することです」と同氏は述べ、対応に5分余分に時間がかかっただけでも、水の状態が変化する速度のために違いが生じる可能性があると指摘した。例えば、英国内務省の場合、イギリス海峡で移民船を特定し、彼らを岸まで送る手助けをし、潜在的な悲劇的事故を回避することが優先事項の1つであると同氏は指摘した。「メディアは移民問題そのものに焦点を当てていますが、これは大きな人道的問題でもあると思います」と同氏は語る。

Tekeverが今後、そのテクノロジーを発展させる可能性のある方法は山ほどある(方法の海であふれている、ともいえようか)。水域を観察してその意味を理解するには膨大なデータを処理する必要があるが、同時にそれによって同社は大量のデータセットを利用できるようになる、とメンデス氏は説明する。遠洋航海用船舶に搭載されているライダーやレーダーで識別するような、海底での活動を読み取ることはまだできていない。だが同社はこの分野を開拓し始めている。他にも、原油流出の特定と分類が考えられる、と同氏は述べている。

Tekeverは現在、メンデス氏が筆者に「ブルーエコノミー」と表現したものに注力しているが、同社はまた地上においても地歩を固めつつある。その焦点は、極めて複雑な地形を観察する新しい方法の創造を追求し続けることに置かれているようである。同氏はさらに取り組みたい分野として、森林、特に熱帯雨林に言及している。同社は数年前にブラジルのドローン会社Santos Lab(サントス・ラボ)に投資しており、その分野に足場を築いている。

「Tekeverはとても型破りなUAS(無人航空機システム)企業であり、卓越したテクノロジー、何千時間ものオペレーション経験、経験豊富なリーダーシップチーム、そして急成長する市場において驚異的かつ収益力が強いビジネスビジョンを有するマーケットリーダーです」とVentura CapitalのマネージングパートナーであるMo El Husseiny(モ・エル・ハッシニー)氏は声明で述べている。「これらの特性は、VenturaがTekeverをフラッグシップ投資として位置づけた背景をなす要素であり、テクノロジー分野のディスラプターで構成される私たちのポートフォリオと整合するものです」。

「Tekeverは欧州で最も注目されているディープテックスケールアップの1社であり、このチームと協働し、彼らがグローバル市場のディスラプションを創出するのを支援していくことを大変誇りに思います」とIberis CapitalのパートナーであるDiogo Chalbert Santos(ディオゴ・チャルバート・サントス)氏は続けた。「Tekeverがすでに自力で成し遂げていることは驚くべきものであり、今回のラウンドで空は果てしなく広がる(可能性は無限に広がる)といえるでしょう」。(サントス氏は言葉遊びを使わずにはいられないようで、私の心にかなった投資家の1人である)。

画像クレジット:Tekever AR5


【原文】

Industrial drones — the enterprise complement to the unmanned aerial vehicles that consumers own for leisurely use — are taking off in the market, fueled by a new wave of software and hardware technology that improves their battery life, reach and performance, and a growing number of organizations investing in these services to raise their data operations games. Today, a company focused specifically on developing AI for drones for maritime deployments is announcing a round of funding after seeing strong demand for its devices and services.

Tekever, which builds drones with integrated AI specifically tailored for monitoring and detecting activity on water, has raised €20 million (just under $23 million at today’s rates). Ventura Capital led the round, with participation from Iberis Capital and a number of unnamed strategic investors from the maritime industry. It will be using the funding to hire more people, and to continue building out its technology.

Tekever — based, fittingly, in historic maritime superpower Lisbon, Portugal — was founded back in 2001 and has only been offering commercial services since 2018. But it has been profitable for some time now and expects to grow at a CAGR of 60% over the next three years. And indeed, this is the company’s first outside funding, made to double down on expanding its technology and selling to a wider set of organizations as the business opportunity grows.

Tekever’s customers include governments and their agencies, which use the company’s services to monitor waters for illegal activity; and private shipping and other seafaring companies, which use the drones to track weather patterns, traffic on the water, and other physical activity that might impact their businesses.

Tekever was started by a team of intelligence and AI specialists, and co-founder and CEO Ricardo Mendes describes it as a vertically integrated business, where it designs and makes both its drones and the technology that is loaded onto them to monitor and “read” what is going on in the water below, and even predict what might happen next.

A vertically integrated drone company is not such a rare thing, but what is a little more unusual is the order in which way Tekever built its stack.

“We started from the opposite direction of every other company working in the drone sector,” Mendes joked. The company first set out to build the technology to read its terrain — in its case, bodies of water — and then built drones fit for the purpose of making its software work. That included specific antennae, sensors and power integrated into the body of the aircraft themselves. (This also makes it essentially, at this point, impossible for the software to work on other aircraft.) The software, meanwhile, is architected to work using a mix of edge AI, satellite communications and cloud computing.

Building your own very specialized drone hardware is hard (and expensive). But that was intentional, it turns out. Tekever sells both components, but most commonly operates its own fleet, and sells drone-based surveillance services, branded Atlas, which Mendes described to me as “intelligence as a service.” He said that approach was specifically taken to make its products as widely accessible as possible, since its drones — with wingspans that start at two meters and can be as wide as eight meters, with flying times as long as 20 hours — are too cost-prohibitive for anyone but the very biggest customers.

“The question we set out to answer was, ‘what do you need to do to make this simple and available all over the world, not just to the richest nations?” he said. “The drones are just one part of the chain.”

As an example of how Tekever is used, both the European Maritime Security Agency (EMSA) and the United Kingdom’s Home Office are customers, but so are smaller African republics. They variously use the technology to monitor their waters for vessels involved in piracy, drugs, human trafficking, migrant smuggling, pollution, illegal fishing or infrastructure security threats.

A recent report in the Guardian laid bare how European government agencies are investing millions of euros on drones and other military technology to expand their surveillance of refugee groups, its clear message being that those investments are not deterring illegal migration and are only encouraging vulnerable people to take even more risky routes. Others in the space, like Anduril, have reaped huge financial rewards, arguably on the back of their own controversy. But Tekever’s CEO and founder believes that his company not only fills a specific technical gap in the market, but that its use ensures more good than it does harm.

“When you are talking about vast regions like the ocean there are a lot of unknowns about what is going on,” he said. Typically, organizations have relied on satellite imagery to get pictures of what is going on in the water, but this is not ideal since most satellite imagery is days old by the time it’s seen by a user. “Fishing, smuggling, trafficking, immigration — these are all areas where real-time intelligence is required. It’s not just footage, but the beginning of solving the problem. The objective is that you should be able to act before something bad happens,” and, because Tekever is also using predictive analytics, to preview what will come.

“What we are doing is gathering vast amounts of data to solve problems as they occur,” he said, noting that even having an extra five minutes to respond can make a difference because of how fast conditions can change in the water. For the U.K.’s Home Office, for example, he noted that one priority has been to identify migrant boats in the English Channel to help escort them to shore, to avoid potentially tragic accidents. “The press focuses on the migration issue itself, but it’s a huge humanitarian issue,” he said.

Going forward, there is a vast amount — a sea, even — of ways that Tekever might develop its technology. Looking at and making sense of bodies of water requires the crunching of vast amounts of data, Mendes said, but that also gives the company a large number of data sets that could be put to use, too. It has yet to be able to read submarine activity, something that today needs lidar and radar on seacraft to identify; but that is an area it’s starting to develop. Another is to identify and classify oil spills, he said.

Right now, Tekever’s focus remains on what Mendes described to me as “the blue economy”, but it is also breaking ground on… ground. Its focus seems to be to continue trying to create new ways of looking at the most complicated terrains. One area he noted it wants to do more in is forest and specifically rainforest. It invested in a Brazilian drone company, Santos Lab, several years ago, giving it a foothold in that part of the world.

“Tekever is a very unconventional UAS company and a market leader with outclass technology, thousands of hours of operational experience, a seasoned leadership team and a phenomenal and profitable business vision in a fast-growing market,” said Mo El Husseiny, managing partner at Ventura Capital, in a statement. “These attributes have made it a flagship investment for Ventura, aligned to our portfolio of disruptors in technology.”

“Tekever is one of the hottest European Deeptech scaleups, and we’re very proud to continue working with the team and helping them disrupt the global market” added Diogo Chalbert Santos, a partner at Iberis Capital. “It’s amazing what Tekever has already achieved as a bootstrapped business and I’d say not even the sky is a limit with this round.” (It seems that Santos can’t resist a pun, an investor after my own heart.)

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

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