Elastic、AWSとの「Elasticsearch」に関する商標問題が解決したと発表。今後「Elasticsearch」を名乗るのはElasticのみに

今回は「Elastic、AWSとの「Elasticsearch」に関する商標問題が解決したと発表。今後「Elasticsearch」を名乗るのはElasticのみに」についてご紹介します。

関連ワード (明確、相次、行動等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、Publickey様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Elasticは、Amazon Web Services(AWS)との「Elasticsearch」に関する商標問題の訴訟が解決したと発表しました。

Elastic and @amazon have resolved the Elasticsearch trademark infringement lawsuit. Learn more on our blog: https://t.co/738RR78bRD

— Elastic (@elastic) February 16, 2022

発表によると、今後AWSおよびAWS Marketplace上でElasticsearchサービスと名乗るのは、Elasticが提供するElastic Cloudのみである、とのこと。

Elasticsearchはログ解析による運用監視やセキュリティインシデントの発見、データ分析などに使われている、この分野でもっとも人気のあるソフトウェアの1つ。

Elastic Cloudとは、Elastic社がAWSやMicrosoft Azure、Google Cloudなどのパブリッククラウド上でるエンタープライズサーチの機能などをマネージドサービスとして提供するサービスです。

AWSはオープンソースのElasticsearchを用いたマネージドサービス「Amazon Elasticsearch Service」(現在は「Amazon OpenSearch Service」に変更済み)を提供していましたが、今後同社が提供するサービスでElasticsearchを名乗ることはできなくなりました。

Elasticは当初からAWSがElasticsearchの名称を用いた独自サービスを提供していたことに不満を表明していました。この決着はElasticの要求がそのまま通ったことになります。

Elasticは発表の中で、Elasticが提供するものだけが唯一Elasticsearchを名乗るとし、AWSが提供するサービスはElasticsearchではないことを明確にしました。

There is only one Elasticsearch, and it comes from Elastic. This means when you use Elasticsearch, whether as the Elastic Cloud service in AWS, Azure, or Google Cloud, or when you download and run Elasticsearch yourself, you can be sure that you’re getting the best possible experience because you are benefiting from 12 years of constant development and innovation from the people who created the product.

Elaticsearchは唯一のものであり、それはElasticから提供されます。これはつまり、利用者がElastic CloudサービスをAWS、Azure、Google Cloudのどこで利用したとしても、あるいは自分でElasticsearchをダウンロードして実行する場合でも、この製品を開発した人たちの12年にわたる絶え間ない開発とイノベーションの恩恵を受け、最高のエクスペリエンスが得られると確信しています。

Elasticが名指しでAWSを非難したことが発端

この問題は2021年にElasticがAWSを名指しで非難したことから広く知られるようになりました。

2021年1月、ElasticのCEO Shay Banon氏はブログ「Amazon: NOT OK – why we had to change Elastic licensing」(Amazonはだめだ – なぜ私たちはElsticのライセンスを変更せざるを得なかったか)で、AWSがElasticsearchの名称を用いた「Amazon Elasticsearch Service」を提供していることはオープンソースの商標を軽視していること、さらに独自のElasticsearchの独自ディストリビューションを開発したことでコミュニティの分断まで引き起こしていると強く非難しています。

  • AWSをElasticが名指しで非難。ElasticsearchとKibanaのライセンスを、AWSが勝手にマネージドサービスで提供できないように変更へ

そして同社はAWSが勝手にElasticsearchとKibanaをマネージドサービスとして提供できないようにするため、オープンソースとして開発してきたElasticとKibanaのライセンスをそれまでのApache License 2.0から、商用サービス化を制限する「Server Side Public License」(SSPL)と「Elastic License」のデュアルライセンスへ変更します。

この影響で、AWSはElasticsearchとKibanaをフォークして独自のディストリビューションの開発を開始。

  • AWS、商用サービス化を制限するライセンス変更に対抗し「Elasticsearch」をフォーク、独自のオープンソース版へ

Amazon Elasticsearch Serviceの名称も変更します。

  • 「Amazon Elasticsearch Service」の名称が「Amazon OpenSearch Service」に変更。ElasticsearchからフォークしたOpenSearchも採用

今回の発表により、こうした一連のElasticの行動の中で少なくともElasticsearchの商標に関してはElasticの主張が認められ、決着したことになります。

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  • AWSをElasticが名指しで非難。ElasticsearchとKibanaのライセンスを、AWSが勝手にマネージドサービスで提供できないように変更へ
  • AWS、ElasticsearchとKibanaのフォークによる「OpenSearch」プロジェクトを発表。Elasticとの溝は埋まらないまま
  • ElasticのクライアントライブラリがAWS OpenSearchへの接続を排除。AWSは仕方なくクライアントライブラリのフォークを発表
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