【レビュー】MINIクーパーSE、楽しいEVだが追いつくべきところが残っている

今回は「【レビュー】MINIクーパーSE、楽しいEVだが追いつくべきところが残っている」についてご紹介します。

関連ワード （利用状況、影響、継承等） についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。

2ドアMini Cooper（ミニクーパー）のようなクルマを電動化することは「なぜ今まで思いつかなかったんだ」的なすばらしいコンセプトに思えるが、もちろんMiniも同じ意見だ。

同社はこのコンセプトを2009年以来試しており、全電動クーパーの実用性と魅力を実地テストするためのプログラム、Mini Eを限定販売したこともある。

テクノロジーの進歩と、そんなクルマへの需要からMini Cooper SEが生まれた。熱烈な支持を得ている同社の2ドア・ハッチバックの電動バージョンだ。これは、会社が自らに課した期限、2030年までの全電動化に向けた第1ステップだ。

結論：Mini Cooper SEは、ブランドが期待するの遊び心あるファンに向けた軽快な1台だが、残念ながら年老いたハッチバックに2022年には物足りない電動パワートレインを載せたクルマである。

Mini Cooper SEは、2年前に登場したばかりの第3世代Cooper（市場によってはHatchで知られる）の完全バッテリー駆動バージョンだ。陽気な2ドア車の内燃臓器が、同社の新しい電動内蔵で置き換えられた。

燃料タンクの代わりにバッテリーが配置され、ケーブルはトランスミッション・トンネルを通り、エンジンルームの大部分を駆動ユニットが占めている。

従来のターボチャージャー付きエンジンに代わり、このMiniは前輪を駆動する電動モーターを備え、181馬力、最大トルク199ポンド・フィート（27.5kgf・m）を引き出す。

他のCooperと比較すると、Cooper Sあるいはターボチャージャー付き2.0リッター4気筒とほぼ同等だ。SEのパワーを蓄えているのが28.9kWhバッテリーで、フル充電で約114マイル（約183 km）の走行が可能。レベル3 DC高速充電器ならバッテリーの80％を約35分間で、レベル2充電器では1時間当たり20％充電できる、と同社はいう。家庭用コンセントでは1時間当たり2％充電できる。

画像クレジット：Alex Kalogianni

標準搭載されているテクノロジーに関して、Mini Cooper SEは基本部分を押さえている。8.8インチのタッチスクリーンが運転席と助手席の主要なインターフェースだ。ここにエンターテインメントとナビゲーション機能があり、後者はリアルタイムの交通状況を表示する。BMW（ビー・エム・ダブリュー）ファミリーの他の車と同じく、Cooper SEには細かい機能をカスタマイズできる設定ページがたくさんある。すべて「ライブ・ウィジェット」形式になっていて、大きくてカラフルなグラフィクスを指でスワイプして操作する。これが肌に合わない人は、Apple CarPlayも利用できる。

安全および運転支援には、アダプティブクルーズコントロールと車線逸脱警報システムを備えている。車と歩行者の両方を監視する前方衝突予測警報もある。

BMW製フォーマットをデザイン変更、再使用して以来、MiniのデザインはCooperの精神を注意深く強調してきた。このため、ユーザー体験はさまざまな基本的部分が驚くほどドライバー・フレンドリーだ。

まず、運転席まわりは見た目以上にゆったりしている。コックピットは運転席と助手席にわたってこぢんまりと配置され、どちらの席でも心地よく感じられる。ドライバーのハンドル越しに見えるシンプルなディスプレイは、必要最小限の情報を提供して雑音をヘラしている。現在の速度の他には、充電状態と利用状況、回生充電状態かどうかを示す2つの計器がある。ドライバーはこれらの表示と常時変化を続ける予測走行距離を、ときとして過剰に、見続けることになる。ありがたいことに、別のクルマに近づきすぎた際には、常時有効な衝突予測警報が、同じディスプレイに明るい赤のグラフィックを表示して注意を促してくれる。

このMiniは、かつてスピードメーターを包んでいた丸形のダッシュボード・ディスプレイを継承している。このオリジナルMiniのユニークなデザインへのオマージュは、どこにでもあるインフォテイメント画面の時代に残された過去の痕跡だ。8.8インチのタッチスクリーンは丸い穴の中の四角い杭のように居座り、黒いピアノ型ボタンが隙間を埋めている。ウィジェットのUIは適切な色遣いで楽しいが、ナビゲーションの直感性は損なわれている。目的の機能を見つける方法は必ずしも明快ではなく、貴重な運転中の注意を削がれることがしばしばあった。

その他の物理的入力装置は、飛行機風のスイッチからエアコンのダイヤルまで、かなり重厚で存在感がある。すべてが理に適った機能的なかたちに配置されており、必要な瞬間に探さなくてはならないことは稀だろう。Mini SEを運転することがアクティブな体験であることから、これは重要だ。

画像クレジット：Alex Kalogianni

いにしえのMiniたちほどミニではないが、それでもCooper SEはコンパクトで機敏なクルマであり、ずんぐりとした特徴あるスタイルを軽快な性能が支えている。電動モーターの優れたトルクと相まって、このクルマはポケモンのピカチュウカーのようにそわそわと動き回るだろう。

Miniの担当者はすかさず、このクルマの「ゴーカート」のような運転フィーリングを指摘し、そうすることは間違っていないと話した。

電動パワートレインの恩恵も大きく、Cooper SEの性能はレスポンスに優れ、持て余すこともないだろう。そのトルクはいつでも発揮可能で、0～60mphが7秒という数字は誰かを興奮させるものではないが、渋滞の隙間に入り込む能力は称賛に値する。

Cooper SEが機嫌を損ねることは滅多にないが、状況は個人による。スリルを求めて足回りがを気にする人もいるが、他の人達は今のままで満足だろう。

Cooper SEには運転モードが4種類ある。デフォルトの「Mid」モードでは、バッテリーは効率と性能のバランスをとり、アクセルを強く踏んだ時にはパワーを出すが、それ以外はできる限り電力を節約する。「Green」モードは、利用できる加速エネルギーを制限し、ペダルからの入力を緩和する。「Green+」は、人間の心地よさを一部犠牲にして最大の省エネを求める。「Sports」はアクセルの感度を高め、できる限りのパワーを出力するが、当然バッテリーを消耗させる。

どのモードを使うかによって走行距離は変わってくる。それぞれのモードによって、クルマの動作形態は大きく変わる。他に、2段階の回生ブレーキ発電が常時働く。デフォルトでは、ワンペダル運転を可能にする積極的な設定になっているが、効率の低いより自然な設定に変えることもできる。

これらのモードはどこにでもあるものだが、100マイル（160km）程度というMiniの走行距離は、運転体験に大きく影響する。この限られた距離のために、ドライバーが設定を繰り返し調節することが容易に想像できる。

典型的な乗り方はこんな感じだろう。Midモードで表示されている予測マイレージがなんであれ、Greenの方が常に心配が少なく魅力的なので、できる限りGreenモードで走り続け、交通量が増えてきたらMidに切り替える。Sportモードは非常に贅沢なごちそうとして常に背後で待機している、なぜならわずかな気まぐれの爆発が貴重な電力を貪り食うからだ。同時に、走行距離の延長と心地よさを天秤にかけて回生ブレーキモードを切り替えることも珍しくない。

普通の人は1日に100マイルも走らないという意見もあるだろう。それは真実だが、家庭の充電環境が充実していたとしても、バッテリー不足の心配は運転の楽しさを半減させる。

今後のEV開発について、TechCrunchはMiniの考えていることを以前取り上げており、親会社のBMWが2030年までにMiniを完全電動化する計画であることもわかっている。

関連記事：Miniの電気自動車の未来はどうなる？期待されるコンバーチブル化やさらなる小型化

現在の取り組みは、急速に迫りくる期限を前にしてゆっくりとした歩みに見えるが、Miniの製品計画部門責任者であるPatrick McKenna（パトリック・マケンナ）氏、その理由の一部をTechCrunchに話した。「会社がどのように転換するかは現在も流動的ですが、今後数年の私たちの焦点は戦略的柔軟性であり、引き続きガソリン車とバッテリー駆動車を提供できる体制です」とマケンナ氏は語る。

「Cooper SEは、内燃機関のF56ハードトップと同じ生産ラインに載っています」とマケンナ氏は続けた。「（この柔軟性によって）隣り合わせで違うクルマを作ることが可能なのです」。

生産の視点から見て、2種類の顧客を満足させられるポジションにいることは理に適っているが、この戦略には自ずから限界がある。使用しているバッテリーに何か進化が起こらない限り、Cooper SE最大の問題は、改善の物理的な余地がないことだ。パワートレインは生産中止されたBMW i3からのものであり、近い将来それが起きるかどうかもわからない。

Cooper SEには、好きになれるところが山ほどあり、Miniの斬新なスタイルのファンならなおさらだ。しかしそうでない人にとっては、メーカーがいつまでこのクルマを楽しく運転させ続けてくれるかどうかを考えないわけにはいかない。

そして、既存の車両をEVに変換していることと走行距離の短さは、このクルマの売り方を難しくしている。十分なバッテリー寿命を備えたスポーティーEVが、数年前と比べて珍しくなくなっている今はなおさらだ。Miniという、その特徴を強く過去に依存しているブランドにとって、全電動化の未来はあるのかもしれないが、現在の取り組みはライバルの数歩後を歩んでいるように思える。

画像クレジット：Alex Kalogianni

【原文】

Electrifying a car like the two-door Mini Cooper seems like a brilliant, forehead-slapping, “why didn’t we think of this before” kind of concept, and Mini certainly agrees.

The brand has been toying with the concept since 2009, with the limited run of the Mini E, a program designed to field test the viability and attractiveness of an all-electric Cooper.

Advancements in technology and demand for such a car led to the Mini Cooper SE, a fully electric version of the manufacturer’s stalwart two-door hatch. It’s a first step toward the brand’s recent self-imposed deadline to be fully electric by 2030.

The upshot: The Mini Cooper SE is a jaunty car with the playful performance fans of the brand expect, but sadly — and a bit on the nose — retrofitting a long-in-the-tooth hatchback with an electrified powertrain doesn’t get it very far in 2022.

Nuts and volts

The Mini Cooper SE is a full battery electric version of the third-generation Cooper or Hatch, as it’s known in other markets, which debuted just two short years ago. The combustion guts of the cheerful two-door have been replaced with its new electrified innards.

The battery sits in place of a fuel tank, cables run through the transmission tunnel and the car’s drive unit occupies most of the engine bay.

In lieu of a standard turbocharged engine, the Mini is fitted with an electric motor powering the front wheels, delivering 181 horsepower and 199 pound-feet of torque.

In comparison to the rest of the Coopers in the lineup, it’s about on par with the Cooper S and its turbocharged 2.0-liter 4-cylinder power plant. Power for the SE is stored in a 28.9 kWh battery, providing the SE with roughly 114 miles of range on a full charge. Mini claims the Cooper SE can charge 80% of the battery in roughly 35 minutes on a level 3 DC fast charger, and as much as 20% per hour on a level 2 charger. Basic home outlets can trickle out 2% per hour.

The tech

Image Credits: Alex Kalogianni

In terms of baked-in tech, the Mini Cooper SE has the basics covered. An 8.8-inch touchscreen is the main interface for drivers and passengers. This houses the entertainment and navigation functions, the latter of which Mini provides with real-time traffic status displays. As one familiar with other cars within the BMW family, the Cooper SE has pages of settings that can be sifted through to customize myriad little functions. Everything is arranged in a “live widget” format, which manifests as big colorful graphics available with a swipe of the finger. If it’s not your cup of tea, Apple CarPlay is available as an alternative.

For safety and driving assistance, there is an adaptive cruise control system as well as lane departure warnings. There’s even forward collision detection that keeps an eye out for both cars and pedestrians.

The UX

Since it was redesigned and reintroduced in its current, BMW-produced form, nu-Mini has always been careful to emphasize the spirited dynamics of the Cooper. As such, it’s incredibly driver-friendly in many fundamental ways.

For starters, the driving position is much roomier than it appears to be. The cockpit conforms snugly around the driver and passenger seats, making both positions feel connected to the jovial plaything they’re seated in. For the driver, a simple display sits behind the steering wheel, which avoids clutter by providing the minimum amount of required information. Apart from the current speed, two gauges spell out the state of charge, how it’s being used and if it’s in a regenerative state. Between these two readouts and the ever-changing range estimates, drivers will be eyeballing this for most of the drive, sometimes too much, in fact. Thankfully, the always-on collision detection throws up a bright red graphic on the same display when they are approaching another vehicle, reminding them to look up.

This Mini retains the circular dashboard display that once housed the speedometer. An homage to this unique characteristic of the original Mini, it feels more vestigial than ever in the era of ubiquitous infotainment screens. The 8.8-inch touch screen sits like a square peg in a round hole, with piano black buttons occupying the negative space. The widget UI is appropriately colorful and cheerful, but it’s at the detriment of intuitive navigation. Oftentimes, it’s not particularly clear how to get to a selected function at the cost of precious driving attention.

The rest of the physical inputs are very chunky and substantial, from the aircraft-like switches to the dials for the HVAC. Everything is laid out in a reasonable, functional way and with these, it’s rare that you are searching for that moment’s desired input. This is fortunate, because driving the Mini SE is an active experience.

On the go

Image Credits: Alex Kalogianni

Though not as mini as the Minis of old, the Cooper SE is still a compact, agile car that lays its character on pretty thick while backing it up with sprightly performance. Pair that with the superior torque delivery of an electrified ride and the car darts around enthusiastically like an automotive Pikachu from Pokémon.

Reps from Mini are quick to point out the “go-kart” feel of the car’s handling, and they’re not wrong to do so.

Probably now more than ever thanks to an electrified powertrain, the Cooper’s performance is responsive and never feels like it’s too much of a handful. Its torque is readily available, and though the 7-second zero-to-60 mph sprint time isn’t going to get anyone hot under the collar, its ability to dart into corners or gaps in traffic is commendable.

Rarely does the Cooper SE get out of sorts, and how this lands depends on the individual. Thrill-seekers may desire a little loose-wheel squirreliness, but others will be happy the car stays within its limits.

There are four driving modes baked into the Cooper SE. In its default “Mid” mode, the EV balances efficiency with engagement, providing power when a heavy foot is delivered onto the throttle but otherwise conserving as much juice as possible. “Green” limits available acceleration energy and also softens the pedal’s input, while “Green+” does this while also shutting off some of the creature comforts for maximum power-saving. “Sport” ups the throttle sensitivity while offering up as much power as possible, at the expense of battery power, naturally.

All of this is to say your mileage will literally vary when using these modes. Each changes the dynamics of the car in a very tangible way. There are also two levels of regenerative braking active at all times. By default, the Cooper SE starts in the more aggressive setting that allows for one-pedal driving, but it can be switched to a less effective and more natural setting.

Available modes such as these are commonplace, but the Mini’s 100 or so miles of range greatly influences the driving experience. Due to this limited range, it’s easy to find yourself repeatedly readjusting things.

A typical journey looks like this: Whatever mileage estimate the Mini displays in Mid, it’s always going to be a more attractive and anxiety-reducing one in Green, so you try to cruise in Green mode as much as possible, occasionally switching to Mid when traffic picks up. Sport is always lingering in the background as a very indulgent treat, because it means even a short burst of whimsy costs a precious amount of the dwindling charge. Meanwhile, it’s not uncommon to fiddle with the regen switch to balance out comfort with stretching out the miles.

You’ll hear arguments that people don’t typically drive over a hundred miles a day anyway, which is true, but even with a robust home charging solution, the concern of getting caught short diminishes the enjoyment of the car.

The future

In terms of future EV development, we have an idea of what Mini has in mind, and we know that parent company BMW plans to make Mini fully electric by 2030.

Efforts seem like a slow burn toward a rapidly approaching deadline, but Patrick McKenna, Department Head for Mini Product Planning, gave TechCrunch some insight as to why.

“The specifics of how we’re transitioning is still being formulated, but what we’re focusing on in the coming years is strategic flexibility, the ability to still offer internal combustion and battery electric vehicles,” McKenna told TechCrunch.

“The [Cooper SE] runs on the same production line as the internal combustion F56 hardtop,” McKenna continued. “[This flexibility] allows us to produce the cars right next to each other.”

From a manufacturing standpoint, it makes sense to be in a position to satisfy two different kinds of customers, but this strategy is inherently limiting. Unless there are some advancements to the efficiency of the battery used, the Cooper SE’s largest issue physically doesn’t have room to improve. Since the powertrain was derived from the now-discontinued BMW i3, it’s unclear if this will happen anytime soon.

There’s tons to like about the Cooper SE, especially if you’re into Mini’s style of whimsy. If you’re not, it’s still hard to ignore how well the automaker continues to keep its cars consistently fun to drive.

And yet, the conversion of the existing car to EV and its lackluster range makes it a hard sell, particularly in an era where sporty BEVs with ample battery life aren’t as rare as they were even just a handful of years ago. Mini, a brand that leans heavily on its past to inform its style, may have an all-electric future ahead of it, but its efforts in the present feel a few steps behind the competition.

（文：Alex Kalogiannis、翻訳：Nob Takahashi / facebook ）