ナイスのコンタクトセンターに仮想エージェント–AIが意図や文脈を理解して対応
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コンタクトセンター向けシステムを提供するナイスジャパンと人工知能(AI)を活用したプラットフォームを展開するAmelia Japanは3月17日、両社の提携を解説する記者説明会を開催した。ナイスジャパンのクラウドベースのコンタクトセンター機能を包括する「CXone」から、Ameliaの仮想エージェントシステム「Amelia」を呼び出すことで、電話でもデジタルチャネルでも自然な顧客対応が可能になると両社は主張する。
ナイスジャパン 社長 安藤竜一氏は「多くの企業がチャットボットを導入するが、一辺倒の陳腐な会話しかできず、辞めてしまう企業が多い」と指摘しつつ、会話を分析して可視化する、CXoneの「Enlighten XO」とAmeliaを組み合わせて「新サービスを作り出したい」と述べている。金融業界2社の導入実現を目指し、来年以降はECなど他業種への展開も目標に掲げた。
ナイスジャパンは顧客や消費者に情報を提供する「CXone Expert」や能動的な対話型AIの「CXone SmartReach」などを多数提供しているが、その背景には対話データを分析するEnlighten XOが存在する。安藤氏は「仮想エージェントは裏側に会話モデルをベースにしたインテント(意志)が欠かせないが、(ここに開発資源を割くと)開発プロジェクトの肥大化や複雑化につながり、諦めてしまう企業は少なくない」と現状を分析し、Ameliaとの協業によるクラウド型コンタクトセンターの可能性を強調した。
米Ameliaはすでに7年以上におよぶ対話型AIを開発してきている。Amelia Japan セールスディレクター 浅田逸朗氏は自社システムについて「一般的なチャットボットは一問一答型で定例文を返すだけだが、(Ameliaは)人間の脳と同じく(異なる記憶・判断領域を用意して)対話を進めていく」という。
Ameliaは自然な会話を実現するための知識を有する「Semantic Memory」、対応相手の感情を分析して対応を変更する「Affective Memory」、過去の会話履歴を参照する「Episodic Memory」などの機能を兼ね備える。必然的に事前学習が必要となる。そのエンジンとなるのが「Amelia Trainer」だ。
顧客の発話文例をAmelia Trainerに読み込ませると、求められている業務内容を理解して異なる各業務工程に割り振ることができる。例えば、金融機関のコールセンターに消費者が振り込み手続きを申し込んでいる最中に、残高照会を申し出ても文脈を理解して、必要な業務工程を呼び出す仕組みだ。
Amelia JapanはAmelia Trainerを“インテント学習モデル”、業務振り分けを“ビジネスプロセスネットワーク(BPN)”と称しているが、スクリプトを記述すれば、顧客情報管理システム(CRM)や業務プロセス管理システム(BPM)、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)などとデータを連携できるという。
基本的にテキストベースで動作するAmeliaが、顧客の音声認識や音声合成には他社のエンジンが欠かせない。そのためCXoneのインターフェースとAmeliaを組み合わせに両社が手を組む優位性が生まれるという。説明会で披露したAmelia Japan単独のデモンストレーションでは、Googleの「Text-to-Speech」や「Speech-to-Text」を用いていた。
Ameliaの浅田氏は「Ameliaは人の代わりに業務対応が可能。グローバルでは米国やスペインの金融機関で顧客対応にあたっている」とアピールした。