日立の知財責任者が語った「知財戦略における発想の転換」とは
今回は「日立の知財責任者が語った「知財戦略における発想の転換」とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日立製作所 Chief Intellectual Property OfficerのStephen Manetta氏と、アマゾンウェブサービスジャパン パブリックセクター技術統括本部 統括本部長の瀧澤与一氏の発言を紹介する。
日立製作所(日立)は先頃、記者およびアナリスト向けに研究開発・知財戦略説明会をオンラインで開いた。冒頭の発言はその中で知的財産(知財)戦略を説明したChief Intellectual Property Officer(CIPO)のStephen Manetta(スティーブン・マネッタ)氏が、この分野における基本的な発想を転換する必要性について強調したものである。
日立は2022年5月に知財戦略を担う役職としてCIPOを新設し、Manetta氏を迎え入れた。同氏は日立に入社する前、2011年から2022年までシュナイダー エレクトロニクスの副社長 兼 知財担当グローバルディレクター 兼 最高知財顧問を務めていた。2006年から2010年まではGeneral Electric(GE)のオイル&ガス事業の知財部門を担う上級弁護士、1994年から2006年まではニューヨークに本拠地を置く知財法律事務所のMorgan & Finneganのパートナーを務めていた。
また、知財分野に関わる前は、Sikorsky Aicraft(当時はUnited Technologiesの一部)でシステムエンジニア(SE)としてデジタルフライトコントロールシステムの設計・開発を担当していた経歴も持つ。すなわち、SEの経験もある知財分野のベテランエキスパートである。
そんなManetta氏は、日立のCIPOとして次の3つのことを主導したいと語った。
以上を踏まえ、知財部門の大目標としては「知財を通じて、イノベーションを加速し、事業成長を支援」することを掲げている。図1が、日立の事業と知財の進化を示したものである。
その上で、イノベーションのための統合された知財戦略を推進していくため、図2に示すように、バリュードライバー、テクノロジー、知財を融合して、戦略的に知財ポートフォリオを構築し、企業価値の創造・向上につなげていくとした。
こうした知財活動の基本的な考え方として、Manetta氏が繰り返して強調したのが、従来の発明起点から「価値起点」に変えるという発想の転換だ。これはいわば「ベンダー視点からユーザー視点へ」、あるいは「作る側の視点から使う側の視点へ」と解釈することができよう。
長らく日本の製造業はアグレッシブな知財戦略において、海外の同業者よりも対応力が弱いとも言われてきた。その意味で、日立がどう変わるか。Manetta氏の手腕に注目したい。