「差別化の前にまずは同質化」–ベイシアが説く、オムニチャネルへの挑戦
今回は「「差別化の前にまずは同質化」–ベイシアが説く、オムニチャネルへの挑戦」についてご紹介します。
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ecbeingは3月30日、ベイシアのオムニチャネルに関する取り組みについて記者向け勉強会を開催した。ベイシアはecbeingの電子商取引(EC)基盤を活用してアプリを開発し、ポイント付与などの基本的な機能を押さえながら、オンラインで注文した商品の店舗受け取りなども行っている。
ベイシアは同名のスーパーマーケット「Beisia」などを展開する企業で、カインズやワークマンなども擁するベイシアグループの中核をなす。
同社は2019年11月、「ベイシアアプリ」の提供を開始。店舗関連のアプリはダウンロードしても使われないケースもあるが、レジ前でベイシアアプリの画面を提示する来店客は全体の半分以上だという。また、アプリをダウンロードした人のうち、約9割が毎月使っている。同社はアプリのダウンロードや利用を訴求する策として、200円につき1ポイントを付与するほか、買い物の度に「会員価格」を適応している。
ベイシア 流通技術研究所 グループIT戦略室 室長 グループデジタル戦略担当 兼 海外Eコマース担当の竹永靖氏は「われわれの取り組みは後発で、『今頃ポイントカード機能のアプリ?』と言われてしまうので、『もともと低価格なBeisiaの商品がアプリを出せばさらに安くなる』ということを徹底してやるようにした」と説明した。
2022年1月には、アプリとECサイトのシングルサインオンを実施した。例えば、恵方巻きの販売では従来、紙のカタログを基に店舗で注文してもらう形を取っていたが、ecbeingのEC基盤を活用し、顧客がアプリを通してECサイトを訪れ、注文できるようにした。アプリからECサイトへの遷移がスムーズなため、利用しているのがECサイトだと認識せずに注文している顧客もいるという。
この仕組みでは、注文はオンラインで行う一方、受け取りと支払いは店舗で行っている。現在もカタログを基に店舗で注文する顧客もいるが、その場合は受付の担当者が代わりにEC基盤の管理画面で注文する。これにより同社は、在庫や注文の状況を一括して把握している。
管理画面では、商品マスター(商品名や価格などのデータ)も登録する。ECサイトのデザインはコンテンツ管理システム(CMS)を活用し、マウスでレイアウトを決めたり、HTMLタグで店舗からのお知らせを掲載したりしている。ecbeing eビジネス営業本部 執行役員の斉藤淳氏は「EC基盤は海外発のものもあるが、われわれは国内企業のため、名前が姓から名の順番になっているなど、日本の細かい慣習に沿っている。そういった使い勝手の良さも竹永さんには評価していただいている」とアピールした。
オムニチャネルを実現するポイントとして、竹永氏は「同質化と差別化」を挙げた。「社内で議論をすると、どうしても競合他社がやっていないことをやろうという話になるが、まずは他社がやっていることをやらなければいけない。ベイシアはオムニチャネルの取り組みにおいて後発なので、アプリでのポイント付与やチラシの表示などは競合他社もやっているが、まずはそれらをスムーズにやることが大事であり、それから差別化ポイントを考えるべきだと思っている」(竹永氏)